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厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)では、グループホーム包括型(GH包括型)の収支差率は社会法人8.5%・NPO法人8.7%に対して、営利法人2.3%と大きな差があります。同じGH包括型サービスで法人形態によって6ポイント以上の差が生じている背景を整理します。
GH包括型の法人形態別収支差率(再掲)
| 法人形態 | 事業所数 | 平均年収入 | 収支差率 |
|---|---|---|---|
| NPO法人 | 72件 | 3,637万円 | 8.7% |
| 社会法人(他含む) | 87件 | 4,498万円 | 8.5% |
| その他 | 49件 | 3,916万円 | 13.2%(参考) |
| 営利法人 | 133件 | 3,697万円 | 2.3% |
営利法人が最多(133件・全体の39%)で最低の収支差率(2.3%)です。「その他」のn=49は参考値として扱います。
社会法人・NPOが高い収支差率を維持できる理由
稼働率の高さ:社会法人・NPO法人が運営するGH包括型は、地域での実績・信頼があることが多く、入居希望者の確保が比較的安定している傾向があります。稼働率85〜90%以上を維持している社会法人系のGHでは、収入が安定して高い収支差率につながります。
重度障害者支援加算の取得実績:社会法人・NPO法人は重度障害者(行動障害・医療的ケア等)の受け入れ実績が長い事業所が多く、強度行動障害支援者養成研修修了者の配置が進んでいるケースがあります。重度障害者支援加算は収入を大幅に増加させるため、この加算の取得有無が収支差率に大きく影響します。
施設の安定した運営(固定費の分散):社会法人が運営するGHは、複数の施設・事業を持つ法人が運営しているケースが多く、管理費・設備費用が複数の事業に按分されます。単独事業所として運営する場合より、固定費負担が軽くなる構造があります。
営利法人のGH包括型が低い収支差率にとどまる理由
新規参入事業所が多く稼働率が低い:GH包括型は近年、営利法人の新規参入が増加しています。新設事業所は入居者確保に時間がかかるため、稼働率が低い状態(60〜75%程度)で運営している事業所が多い可能性があります。
重度障害者支援加算の取得率が低い可能性:営利法人の新設GHは、重度障害者への対応経験が少なく、強度行動障害支援者養成研修修了者の配置が進んでいないケースがあります。この加算が取れていない事業所では収入が低くなります。
人件費・施設費の初期コストが高い:新設のGH包括型は入居者確保前から人件費(世話人・夜間支援員)・家賃が発生します。設立後1〜3年は赤字になることが多く、この時期の事業所が平均値を引き下げています。
自事業所の法人形態での位置づけ確認
GH包括型を運営している場合、自事業所の収支差率と法人形態別の全国平均を比較します。
- 社会法人で収支差率が8.5%を下回る場合:稼働率・重度障害者支援加算の取得状況・夜間支援等体制加算の確認が優先です
- 営利法人で収支差率が2.3%以上の場合:全国平均並みの経営ができている状態。稼働率85%以上・主要加算の取得で社会法人並みの8%台が見えてきます
- 営利法人で収支差率が2.3%を下回る場合(赤字含む):設立からの年数・入居者確保の進捗を確認します。立ち上げ期であれば中期的な稼働率改善計画を持つことが重要です
GH包括型の収支差率を社会法人並みに引き上げるために
営利法人のGH包括型で収支差率を2.3%から8%台に引き上げるためには、次の2つが主要な改善ポイントです。
稼働率85%以上の確保:社会法人の平均年収4,498万円と営利法人の3,697万円の差(約800万円)は、定員・稼働率の差によるものです。稼働率を75%から85%に上げると、年収は3,697万円×(85/75)≒4,193万円に増加します(試算)。この収入増加が収支差率の改善に直結します。
重度障害者支援加算の取得:強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)の修了者を配置し、重度障害者支援加算を算定することで収入を増やせます。算定要件を満たした上で重度利用者を受け入れると、1人当たりの収入単価が大幅に上昇します。
法人形態別の収支差率の差は、サービスを提供している年数・利用者の重度化対応・加算取得状況によって縮まります。長期的には社会法人並みの8%台を目標にした経営改善が可能です。
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GH包括型の加算取得が収支差率に与える具体的な影響
GH包括型の収入を構成する主な加算と、取得による収入増加の目安を整理します(定員16人・稼働率85%の事業所を想定)。
| 加算名 | 算定要件の概要 | 収入増加効果の目安 |
|---|---|---|
| 夜間支援等体制加算(Ⅰ) | 夜間支援員を1名以上配置 | 定員16人で年間約240〜350万円 |
| 重度障害者支援加算 | 強度行動障害支援研修修了者配置+重度利用者受入 | 対象利用者1名あたり年間約60〜80万円 |
| 個別支援加算 | 支援計画の個別作成・実施 | 年間数十万円規模 |
| 医療連携体制加算 | 看護師等の定期訪問・医療的ケア実施 | 対象利用者に応じて変動 |
夜間支援等体制加算(Ⅰ)は、夜間支援員を配置していれば算定できるケースが多く、GH包括型の基本的な加算です。この1つだけで年間240〜350万円の収入増加になります。重度障害者支援加算は要件が高い分、1人当たりの収入増加効果が大きく、重度利用者を4〜5名受け入れることができれば年間240〜400万円の収入増加につながります。
営利法人の新設GH包括型が収支差率2.3%にとどまる一因は、これらの加算が未取得・算定漏れのケースがあることです。加算の算定状況を棚卸しすることが、収支差率改善の出発点になります。
出典:厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。法人形態別の詳細は同調査の事業所別集計にもとづきます。加算の収入増加効果は参考値です。実際の算定額は障害支援区分・地域区分等により異なります。

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