消防設備士4類は、電気工事士や電気主任技術者の免状がある人にとって、受け方がいちばん変わる類です。甲4の受験資格になるうえに、筆記の「電気」の科目が免除されて、問題数も試験時間も大きく減ります。
一方で、免除を受けると「残った問題で合格ラインを満たす」ことになるので、1問の重みが増します。このページでは、消防試験研究センターが公表している受験資格と「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表」をもとに、乙4と甲4の免除の内容を表にし、免除後の合格ラインを問題数で計算し直します。
- 乙4は誰でも受けられ、甲4は資格か学歴か実務経験が必要
- 乙4の免除は、電気工事士で筆記14問・鑑別1問が消える
- 甲4の免除は、電気工事士で筆記22問・鑑別1問が消える
- 免除で受けると、法令と規格で落とせる問題が減る
- 免除を使うかどうかは、電気の得意さと残り科目の準備で決める
- 電気工事士と電気主任技術者では、鑑別1問の免除があるかどうかが違う
- 甲4への道は「電気工事士で直接」と「乙4の実務経験2年」の2本
- 免除で受けた人の合格率は公表されていない
- 乙4と乙7を同じ日に受けると、電気工事士なら合計1時間45分
- 免除の申請には、免状のコピーなどの証明書類が必要
- 免除で受ける人は、問題集で法令・規格・製図の区分だけを選んで練習できる
- 出典
乙4は誰でも受けられ、甲4は資格か学歴か実務経験が必要
消防試験研究センターの受験資格のページで、乙種は「誰でも受験できます」とされています。甲種(特類を除く)は、国家資格等によるものと学歴によるものの2系統の受験資格があります。4類に関係が深いものを抜き出します。
| 系統 | 対象者(4類に関係の深いもの) | 補足 |
|---|---|---|
| 国家資格等 | 甲種消防設備士 | 受験する類以外の甲種の免状。試験の一部免除あり |
| 乙種消防設備士 | 乙種の免状交付後、工事整備対象設備等の整備の経験が2年以上 | |
| 電気工事士 | 第一種・第二種の免状。試験の一部免除あり | |
| 電気主任技術者 | 第一種・第二種・第三種の免状。試験の一部免除あり | |
| 技術士 | 第二次試験の合格者。免除される類は部門で限定(4類は電気電子部門) | |
| 工事の補助5年 | 受験する類の消防用設備等の工事の補助者として5年以上の実務経験 | |
| ガス主任技術者 | 第4類の受験に限って受験資格になる | |
| そのほか | 管工事施工管理技士、工業高校の教員、無線従事者(アマチュア無線技士を除く)、建築士、配管技能士、給水装置工事主任技術者、消防行政3年など | |
| 学歴 | 大学・短大・高専(5年制)の卒業者 | 機械・電気・工業化学・土木・建築に関する学科または課程 |
| 高校・中等教育学校の卒業者 | 同じ学科または課程。該当する学科名がない場合は、関係する授業科目を8単位以上修めたことを単位修得証明書で確認 | |
| 15単位修得者・修士・博士 | 大学・専修学校等で関係する授業科目を15単位以上。理学・工学・農学・薬学に相当する修士・博士 |
出典:消防試験研究センター「受験資格」「甲種について」(2026年10月確認)。細かい条件は、受験する都道府県の支部に確認するよう案内されています。
電気の仕事をしている人は、第二種電気工事士の免状があれば、それだけで甲4の受験資格になります。乙4で経験を2年積んでから甲4に進む道もありますが、電気工事士の免状がある人は最初から甲4を受けられます。
乙4の免除は、電気工事士で筆記14問・鑑別1問が消える
乙4の筆記は30問(法令 共通6・類別4、基礎的知識 電気5、構造・機能・整備 電気9・規格6)、実技は鑑別5問、試験時間は1時間45分です。免除の内容を一覧表から抜き出します。
| 免除資格 | 免除される科目 | 残る筆記 | 残る鑑別 | 試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| 免除なし | なし | 30問 | 5問 | 1時間45分 |
| 甲種1〜5類または乙種1〜3・5・6類の免状 | 法令(共通) | 24問 | 5問 | 1時間30分 |
| 乙種7類の免状 | 法令(共通)、基礎的知識(電気) | 19問 | 5問 | 1時間15分 |
| 電気工事士(電工) | 基礎的知識(電気)、構造・機能・整備(電気)、鑑別1問 | 16問 | 4問 | 1時間00分 |
| 電気主任技術者(電主) | 基礎的知識(電気)、構造・機能・整備(電気) | 16問 | 5問 | 1時間15分 |
| 甲種または乙種の免状+電工 | 法令(共通)、基礎的知識(電気)、構造・機能・整備(電気)、鑑別1問 | 10問 | 4問 | 0時間45分 |
| 甲種または乙種の免状+電主 | 法令(共通)、基礎的知識(電気)、構造・機能・整備(電気) | 10問 | 5問 | 0時間45分 |
| 技術士(電気電子部門)または検定協会等職員 | 基礎的知識(電気)、構造・機能・整備(電気・規格) | 10問 | 5問 | 0時間45分 |
| 技術士等+甲種または乙種の免状 | 上に加えて法令(共通) | 4問 | 5問 | 0時間35分 |
| 技術士等+電工 | 基礎的知識(電気)、構造・機能・整備(電気・規格)、鑑別1問 | 10問 | 4問 | 0時間45分 |
| 技術士等+甲種または乙種の免状+電工 | 法令(共通)、基礎的知識(電気)、構造・機能・整備(電気・規格)、鑑別1問 | 4問 | 4問 | 0時間35分 |
出典:消防試験研究センター「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(乙種)」乙種第4類の欄(2026年10月確認)。「残る筆記」「残る鑑別」の問題数は、一覧表の免除の内容から当サイトが計算しました。
どの組み合わせでも、法令(類別)4問と構造・機能・整備(規格)6問は免除されません(技術士等の場合を除く)。電気工事士で受ける人は、法令10問と規格6問の16問が筆記のすべてになります。
甲4の免除は、電気工事士で筆記22問・鑑別1問が消える
甲4の筆記は45問(法令 共通8・類別7、基礎的知識 電気10、構造・機能・工事・整備 電気12・規格8)、実技は鑑別5問と製図2問、試験時間は3時間15分です。
| 免除資格 | 免除される科目 | 残る筆記 | 残る実技 | 試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| 免除なし | なし | 45問 | 鑑別5・製図2 | 3時間15分 |
| 甲種1〜3・5類の免状 | 法令(共通) | 37問 | 鑑別5・製図2 | 3時間00分 |
| 電気工事士(電工) | 基礎的知識(電気)、構造・機能・工事・整備(電気)、鑑別1問 | 23問 | 鑑別4・製図2 | 2時間30分 |
| 電気主任技術者(電主) | 基礎的知識(電気)、構造・機能・工事・整備(電気) | 23問 | 鑑別5・製図2 | 2時間30分 |
| 甲種1〜3・5類の免状+電工 | 法令(共通)、基礎的知識(電気)、構造・機能・工事・整備(電気)、鑑別1問 | 15問 | 鑑別4・製図2 | 1時間45分 |
| 甲種1〜3・5類の免状+電主 | 法令(共通)、基礎的知識(電気)、構造・機能・工事・整備(電気) | 15問 | 鑑別5・製図2 | 1時間45分 |
| 技術士(電気電子部門) | 基礎的知識(電気)、構造・機能・工事・整備(電気・規格) | 15問 | 鑑別5・製図2 | 1時間45分 |
| 技術士等+甲種1〜3・5類の免状 | 上に加えて法令(共通) | 7問 | 鑑別5・製図2 | 1時間30分 |
| 技術士等+電工 | 基礎的知識(電気)、構造・機能・工事・整備(電気・規格)、鑑別1問 | 15問 | 鑑別4・製図2 | 1時間45分 |
| 技術士等+甲種1〜3・5類の免状+電工 | 法令(共通)、基礎的知識(電気)、構造・機能・工事・整備(電気・規格)、鑑別1問 | 7問 | 鑑別4・製図2 | 1時間30分 |
出典:消防試験研究センター「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種)」甲種第4類の欄(2026年10月確認)。残る問題数は当サイトの計算です。
甲4で免除されないのは、法令(類別)7問、構造・機能・工事・整備(規格)8問(技術士等を除く)、製図2問です。製図はどの免除でも残ります。甲4を電気工事士で受ける人の勉強は、法令・規格・鑑別・製図の4つに絞られます。
免除で受けると、法令と規格で落とせる問題が減る
合格基準は、筆記が科目ごとに40%以上かつ全体で60%以上、実技が60%以上です。免除を受けると、残った問題だけで判定されるため、科目ごとの最低限の正解数と落とせる数は次のようになります。当サイトが問題数から計算したもので、免除後の合否の判定方法そのものは、受験する年の受験案内で確かめてください。
乙4を電気工事士の免除で受ける場合(筆記16問・鑑別4問)
| 科目 | 問題数 | 最低限の正解(40%) | 落とせる数 |
|---|---|---|---|
| 消防関係法令(共通6・類別4) | 10問 | 4問 | 6問まで |
| 構造・機能・整備(規格) | 6問 | 3問 | 3問まで |
| 筆記の合計(60%) | 16問 | 10問 | 6問まで |
| 実技(鑑別) | 4問 | 60%以上 | 配点は公表されていない |
免除なしでは筆記30問のうち12問まで落とせましたが、電気工事士の免除では16問のうち6問までです。科目ごとに40%ぎりぎり(法令4問・規格3問)だと合計7問で、10問に3問足りません。法令と規格のどちらかで40%よりかなり多く取る必要があります。
甲4を電気工事士の免除で受ける場合(筆記23問・鑑別4問・製図2問)
| 科目 | 問題数 | 最低限の正解(40%) | 落とせる数 |
|---|---|---|---|
| 消防関係法令(共通8・類別7) | 15問 | 6問 | 9問まで |
| 構造・機能・工事・整備(規格) | 8問 | 4問 | 4問まで |
| 筆記の合計(60%) | 23問 | 14問 | 9問まで |
| 実技(鑑別4・製図2) | 6問 | 60%以上 | 配点は公表されていない |
甲4の免除なしでは45問のうち18問まで落とせましたが、電気工事士の免除では23問のうち9問までです。製図2問は免除されないので、実技6問のうち製図の比重が免除なしのとき(7問中2問)より上がります。
免除を使うかどうかは、電気の得意さと残り科目の準備で決める
免除は申請制なので、資格があっても使わない選択ができます。判断の材料を整理します。
| 観点 | 免除を使う | 免除を使わない |
|---|---|---|
| 勉強の範囲 | 法令・規格・鑑別(甲4は製図も)に絞れる | 電気の基礎と構造・機能(電気)も勉強する |
| 1問の重み | 重い(乙4は筆記16問、甲4は23問で判定) | 軽い(乙4は30問、甲4は45問で判定) |
| 電気が得意な人 | 得点源になる電気の科目を手放すことになる | 電気の科目で全体の60%を押し上げられる |
| 試験時間 | 短い(乙4は1時間、甲4は2時間30分) | 長い(乙4は1時間45分、甲4は3時間15分) |
| 鑑別 | 1問免除で4問になる | 5問 |
電気の仕事を長くしている人は、基礎的知識(電気)と構造・機能(電気)が得点源になるので、免除を使わずに受けて全体の60%を電気の科目で押し上げる考え方もあります。逆に、法令と規格の暗記に集中したい人は、免除を使って範囲を絞るほうが準備しやすいです。どちらにしても、法令(類別)と規格は免除されないので、ここは必ず勉強します。
電気工事士と電気主任技術者では、鑑別1問の免除があるかどうかが違う
一覧表で、電気工事士(電工)と電気主任技術者(電主)は、筆記の免除は同じ(基礎的知識の電気と構造・機能の電気)ですが、実技が違います。電工は鑑別が1問免除されて4問になり、電主は鑑別5問のままです。試験時間も、乙4では電工が1時間00分、電主が1時間15分と15分違います。
一覧表の備考では、「電工」は第一種または第二種電気工事士の免状の交付を受けている人、「電主」は第一種・第二種・第三種電気主任技術者の免状の交付を受けている人とされています。両方の免状がある人は、どちらで申請するかで鑑別の問題数が変わるので、一覧表を見て決めます。
甲4への道は「電気工事士で直接」と「乙4の実務経験2年」の2本
電気系の資格がない人が甲4を目指す場合、道筋は2つに分かれます。
| 道筋 | 受験資格の根拠 | 特徴 |
|---|---|---|
| 電気工事士の免状を取って甲4を受ける | 国家資格等による受験資格(電気工事士) | 電気工事士の免状があれば、甲4の受験資格と科目免除の両方に使える |
| 乙4に合格し、整備の実務経験を2年積んで甲4を受ける | 乙種消防設備士免状の交付後、工事整備対象設備等の整備の経験2年以上 | 乙4の免状で甲4の法令(共通)は免除されないが、乙4の勉強がそのまま甲4の土台になる(甲4の免除の表に乙種の免状の行はなく、免除されるのは甲種1〜3・5類の免状) |
| 学歴で甲4を受ける | 機械・電気・工業化学・土木・建築の学科または課程の卒業、または関係する授業科目を15単位以上 | 工業高校・高専・大学の該当学科の人は、卒業証書や単位修得証明書で申請できる |
出典:消防試験研究センター「甲種について」「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種)」。
注意したいのは、乙4の免状があっても甲4の筆記は免除されないことです(甲4の一覧表で免除の対象になる設備士免状は甲種1〜3・5類)。乙4で合格した人が甲4を受けるときは、法令(共通)も含めて45問を受けます。
免除で受けた人の合格率は公表されていない
消防試験研究センターの「試験実施状況」には、甲4・乙4の受験者数・合格者数・合格率が載っていますが、免除の有無で分けた数字はありません。令和8年4〜7月の合格率は甲4が37.1%、乙4が36.2%です。免除を使うと範囲が狭くなるぶん有利に見えますが、残った科目で落とせる数も減るので、免除を使った人が特に受かりやすいとは言い切れません。
乙4と乙7を同じ日に受けると、電気工事士なら合計1時間45分
一覧表には「複数受験者の試験時間」も載っています。乙4と乙7(漏電火災警報器)を同じ日に受ける場合、免除資格ごとの合計試験時間はこのとおりです。
| 免除資格 | 乙4と乙7の合計試験時間 |
|---|---|
| 電工のみ | 1時間45分 |
| 甲種・乙種の設備士+電工 | 1時間30分 |
| 技術士(電気電子部門)+甲種・乙種の設備士+電工 | 1時間20分 |
| 技術士(電気電子部門)+電工 | 1時間30分 |
出典:消防試験研究センター「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(乙種)」複数受験者の試験時間。乙7は乙4と同じ電気系の類で、乙4・甲4の免状があると乙7の法令(共通)と基礎的知識(電気)が免除されます(同一覧表の乙種第7類の欄)。
乙7の試験内容・合格率・勉強法については、消防設備士 乙種第7類(漏電火災警報器)の試験ガイドでまとめています。
免除の申請には、免状のコピーなどの証明書類が必要
免除は受験申請のときに証明書類を出して申請します。一覧表に載っている証明書類はこのとおりです。
| 一部免除を受ける資格等 | 証明書類 |
|---|---|
| 消防設備士 | 消防設備士免状のコピー |
| 電気工事士 | 電気工事士免状のコピー |
| 電気主任技術者 | 電気主任技術者免状のコピー |
| 技術士 | 技術士第2次試験もしくは本試験の合格証明書または技術士登録証のコピー |
| 特定の消防団員 | 5年以上消防団員として勤務したことを証明する書類と、消防学校の教育訓練のうち専科教育の機関科を終了したことを証明する書類の両方 |
| 日本消防検定協会または指定検定機関の職員 | 型式承認試験の実施業務の従事証明書(2年以上従事) |
甲種の受験資格の証明には、卒業証書や単位修得証明書のコピー、実務経験証明書(願書のB面)、資格の免許証のコピーなどが必要です。過去にいずれかの支部で甲種の受験願書を受理されたことがある人は、そのときの受験票または試験結果通知書で代えられます(センターの受験資格のページ)。
免除で受ける人は、問題集で法令・規格・製図の区分だけを選んで練習できる
免除で受ける人は、残る科目だけを集中的に解ける練習の場があると効率が上がります。むむ(ふふむむデザイン)の消防設備士4類の問題集は、出題区分を選んで練習できるので、電気工事士の免除で受ける人は「消防関係法令(共通)」「消防関係法令(第4類)」「構造・機能・整備(規格)」「実技(鑑別)」と、甲4なら「実技(製図・甲4)」だけを選んで解けます。確認済みの問題は答えのあとに根拠の条番号が出ます。無料で、回数の制限はありません。模試は免除がない場合の配分なので、免除で受ける人は区分を選ぶ使い方が向いています。
試験の科目と合格率は 消防設備士4類の試験科目と合格率の記事、免除されない規格の数字は 4類で覚える数字の記事、製図は 感知器の設置個数の計算の記事 と 系統図の読み方の記事 にまとめています。
出典
- 一般財団法人 消防試験研究センター「受験資格」「甲種について」「試験科目及び問題数」(2026年10月確認)
- 同「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種)」「同(乙種)」(PDF・2026年10月取得)
このページは、消防試験研究センターとは関係のない民間(個人)のものです。免除の内容と試験時間は改定されることがあるため、受験する年の受験案内と一覧表で確かめてください。免除後の合格ラインの問題数は、公表されている合格基準と問題数から当サイトが計算したもので、センターの公式の判定方法を示すものではありません。


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