就労定着支援の地域区分と単価。1級地から7級地まで、報酬額への影響。

就労定着支援の地域区分と単価。1級地から7級地まで、報酬額への影響。 福祉事業の開業と運営

就労定着支援の報酬は、地域区分によって1単位あたりの金額が変わります。同じ利用者数・同じ就労定着率区分でも、事業所の所在地によって月間収入に差が生じます。地域区分の仕組みと、区分ごとの単価・収入への影響を整理します。

地域区分とは、所在地に応じた人件費の上乗せのこと

障害福祉サービスの報酬は「単位数」で定められており、「1単位=何円」かを地域ごとに乗じて報酬額を計算します。1単位あたりの金額を「単位単価」といい、地域区分によって異なります。

地域区分は、都市部と地方の賃金水準の差を反映するための仕組みです。人件費割合が高いサービスほど、地域による単価の差が大きくなります。就労定着支援の人件費割合は60%に設定されており、地域区分の影響が収入に直接反映されます。

就労定着支援の地域区分別単価一覧

以下の単価は令和6年4月改定後の値です(就労定着支援・人件費割合60%)。

地域区分別・1単位あたりの金額
地域区分 1単位あたりの金額
1級地(東京都特別区等) 11.20円
2級地 10.96円
3級地 10.90円
4級地 10.72円
5級地 10.60円
6級地 10.36円
7級地 10.18円
その他(上乗せなし) 10.00円

出典:障害福祉サービス等報酬告示の地域区分別単価(厚生労働省)

どの市区町村が何級地に当たるかは、厚生労働省が別途公表する「地域区分の適用地域一覧」で確認できます。自分の事業所がどの級地に当たるかは、指定権者(都道府県・政令市等)に確認することをお勧めします。

就労定着支援の基本報酬単位数(令和6年4月〜)

就労定着支援の基本報酬は、就労定着率によって1〜7の区分に分かれ、月額単位数が決まります。

就労定着率区分と月額単位数
区分 就労定着率 月額単位数(1人あたり)
1 9割5分以上 3,512単位
2 9割以上9割5分未満 3,348単位
3 8割以上9割未満 2,768単位
4 7割以上8割未満 2,234単位
5 5割以上7割未満 1,690単位
6 3割以上5割未満 1,433単位
7 3割未満(新規1〜2年目含む) 1,074単位

新規事業所の1〜2年目は実績がなく、すべて区分7(1,074単位)として算定されます。3年目以降は前年度の就労定着率の実績で区分が決まります。

地域区分が違うと月間収入にどれだけ差が出るか

以下に、新規事業所が適用される区分7(1,074単位)と、就労定着率が最も高い区分1(3,512単位)での月間収入の地域別試算を示します。契約者10名・処遇改善加算なしの試算です。

区分7(1,074単位)× 契約者10名の月間基本報酬
地域区分 1単位あたり 1名あたり月額 10名合計月額
1級地 11.20円 12,029円 120,288円
3級地 10.90円 11,707円 117,066円
7級地 10.18円 10,933円 109,333円
その他 10.00円 10,740円 107,400円
区分1(3,512単位)× 契約者10名の月間基本報酬
地域区分 1単位あたり 1名あたり月額 10名合計月額
1級地 11.20円 39,334円 393,344円
3級地 10.90円 38,281円 382,808円
7級地 10.18円 35,752円 357,522円
その他 10.00円 35,120円 351,200円

区分7で契約者10名の場合、1級地とその他で月間約12,888円・年間約154,656円の差があります。区分1(就労定着率が最高の場合)では、同じ地域差が月間約42,144円・年間約505,728円に広がります。

処遇改善加算を含めた場合の試算

処遇改善加算(令和8年6月施行)を算定する場合、基本報酬の単位数にさらに加算率を乗じた額が上乗せされます。

  • 加算Ⅰイ(11.5%):区分7・10名・その他地域の場合、基本報酬107,400円 × 11.5% = 約12,351円 が上乗せ
  • 加算Ⅰロ(11.9%):同条件で約12,781円が上乗せ

処遇改善加算は、職員の給与水準の向上に充てることが要件です。事業者が自由に使える利益ではありません。

収支計画では地域区分を確認してから試算する

就労定着支援の収支計画を立てる際は、開業予定の事業所がどの地域区分に当たるかを事前に指定権者に確認してから試算することで、現実に近い数字が得られます。

詳しくは就労定着支援 収支シミュレーター(無料)をご利用ください。地域区分を選択して月間収入を試算できます。Pro版では月次36か月の収支と資金繰りも確認できます(買い切り9,800円)。

参考・出典

  • 障害福祉サービス等報酬告示(令和6年厚生労働省告示第159号による改定版)
  • 障害福祉サービス等報酬の地域区分別単価(厚生労働省・障害福祉サービス等報酬告示別表)

この記事は2026年11月時点の告示・通知に基づいています。報酬は改定されることがありますので、最新の告示を確認してください。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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