短期入所の防災・避難訓練は、基準(平成18年厚生労働省令第171号・第145条準用)の非常災害に関する措置により年2回以上の実施が義務です。火災想定と夜間想定の2種類を実施し、非常災害対策計画の策定と訓練記録の保管が求められます。利用者を安全に避難させるための具体的な手順を全職員が把握しておく必要があります。
避難訓練は基準第46条の2(第145条準用)で年2回以上の実施が義務である
基準(平成18年厚生労働省令第171号・第145条準用)は、指定短期入所サービス事業者に対して非常災害に関する措置として次の4点を義務づけています。(出典:基準(平成18年厚生労働省令第171号・e-Gov法令検索))
- 非常災害対策計画の策定:火災・地震・水害等の非常災害に備えた計画を作成する
- 訓練の実施:避難・救出その他必要な訓練を年2回以上実施する
- 地域住民との連携:地域の関係機関との連携・協力体制を整備する
- 記録の保管:訓練の実施日・参加人数・内容を記録し保管する
また、消防法(第8条)に基づく消防計画の作成と消防訓練の実施も義務です。消防計画に基づく訓練と基準に基づく訓練を同日に実施することも可能ですが、年2回の実施回数はそれぞれ満たす必要があります。解釈通知でも年2回以上が義務として確認されています。(出典:解釈通知(障発第1206001号・最終改正令和7年3月31日))
非常災害対策計画には避難経路・役割分担・連絡先一覧を明記する
非常災害対策計画は、災害の種別ごとに想定される状況・初動対応・避難方法・連絡手順を記載した書面です。計画がないと、実際の災害時に職員の判断がばらつき対応が遅れます。
計画に含めるべき主な内容:
- 避難経路(施設内の出口・避難場所・避難先の地図)
- 役割分担(誰が何をするか:119番通報・利用者誘導・管理者への連絡・記録担当)
- 緊急連絡先一覧(消防署・警察・行政・医療機関・家族)
- 利用者別の避難支援方法(車いす利用者・歩行不可の利用者の移動手順)
- 夜間帯の少人数体制での対応手順(1人夜勤時の優先順位)
計画は施設内の職員が常に参照できる場所(ナースステーション・事務室等)に掲示し、変更があった際は随時更新します。
夜間想定の避難訓練は少人数体制での優先順位を確認する内容にする
短期入所の夜間は宿直または夜勤による少人数体制で複数の利用者を対応します。昼間の訓練と夜間想定の訓練を1回ずつ実施することで、年2回の義務を満たしながら異なる体制での対応を確認できます。
夜間想定の訓練で特に確認すべきポイント:
- 1人(または2人)の体制で、まず何をするか(119番通報か・利用者誘導か)
- 119番通報しながら利用者を誘導する手順(スピーカー通話の活用)
- 自力歩行が困難な利用者が複数いる場合の優先順位の決め方
- 管理者・他の職員への緊急連絡の手順(電話リストの場所・連絡方法)
- 避難後の人員確認(施設外での利用者の把握)
訓練はシナリオを事前に知らせず「抜き打ち形式」にすることで、より実践的な内容になります。訓練後の振り返りで「うまくいかなかった点」を記録し、次回の訓練や手順書の改訂に反映します。
火災・地震・水害では初動対応が異なるため災害種別ごとに手順を確認する
| 災害種別 | 初動のポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 火災 | 119番通報・初期消火(可能な範囲)・利用者を煙から遠ざける・避難経路の確保 | 煙は低い位置を移動。エレベーターは使わない。防火扉は閉める |
| 地震 | 揺れが収まるまで身を低く・頭を守る。揺れ収束後に安全確認→避難 | 余震に注意。棚・重いものの転倒リスクあり。ガス漏れ確認 |
| 水害(浸水) | 早期の垂直避難(上の階への移動)または広域避難。行政の避難指示に従う | ハザードマップで施設の浸水リスクを事前確認。浸水後に電源操作は危険 |
表は災害種別の初動を整理したものです。施設の立地・構造によって対応が異なります。
福祉避難所との連携と個別避難計画は事前に整備しておく
障害のある利用者は一般の避難所での生活が困難な場合があり、福祉避難所(障害者・高齢者等を受け入れる特別な避難所)の利用が想定されます。施設として次の準備を行います。
- 近隣の福祉避難所の場所と受け入れ条件の確認(平時に行政に問い合わせて把握する)
- 利用者ごとの個別避難計画(避難の手段・支援者・避難先・特別な配慮事項)の作成
- 地域の自主防災組織・町内会との連携体制の構築
個別避難計画は障害者総合支援法・改正災害対策基本法(令和3年改正)に基づき、市町村が主体となって策定することが努力義務とされています。施設として利用者の状態・支援方法の情報を提供し、計画の作成に協力することが求められます。
訓練記録は実施日・参加人数・内容・振り返りを書面で保管する
訓練を実施した証拠として記録を残します。運営指導では訓練記録の提示を求められることがあります。記録には次の内容を含めます。
- 訓練実施日・開始・終了時刻
- 参加職員数・参加利用者数
- 想定した災害の種類と訓練の内容
- 訓練で確認した事項(避難経路・役割分担・通報手順等)
- 振り返りで出た課題と改善方針
訓練記録の保管期間は基準第41条(第145条準用)に基づき5年間が目安です。
緊急時のAED・心肺蘇生対応については短期入所のAED・心肺蘇生研修もあわせて確認してください。
研修資料・確認テスト・記録様式は法定研修・訓練キット(短期入所版)でまとめて用意できます。
この記事は、障害者総合支援法に基づく基準(平成18年厚生労働省令第171号)、解釈通知(障発第1206001号・最終改正令和7年3月31日)の内容を確認して書いています(確認日:2026年11月1日)。所在地の指定権者(都道府県・市)の案内もあわせて確認してください。作成:fufumumu_design


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