短期入所の感染症対策義務。指針の策定・職員研修・訓練の3点整備とBCP。
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短期入所の事業者は、感染症の予防・まん延防止のために「感染症対策指針の策定」「職員への定期研修」「定期的な訓練」の3点を整備する義務があります(省令171号第33条の2・第125条による準用)。令和3年度の省令改正で義務化されたもので、COVID-19の感染拡大を経て宿泊サービス全般に求められる要件です。
感染症対策の根拠(省令171号第33条の2・第125条)
省令171号第33条の2(第125条により短期入所に準用)は、感染症・まん延防止に関する次の義務を定めています。
- 第1項:感染症の発生・まん延防止のための計画(業務継続計画・BCP)の策定と必要な措置の実施
- 第2項:従業者への業務継続計画の周知・定期的な研修および訓練の実施
第33条の2は「業務継続計画(BCP)」の策定と感染症対策を一体で義務付けています。感染症の発生時にサービスを継続するための計画(感染症BCP)が、その中核的な書類になります。
感染症BCPとは何か
感染症BCP(業務継続計画)とは、インフルエンザ・ノロウイルス・新型コロナウイルス感染症などが事業所内で発生した場合に、サービスを継続するための対応方針・体制・手順を文書化したものです。
感染症BCPには次の内容を含めます。
- 平時の備え:衛生用品(マスク・手指消毒液・ガウン・手袋等)の備蓄量の設定・補充管理
- 感染拡大防止の対応方針:利用者・職員の感染が疑われた場合の行動フロー(隔離・医療機関への受診・保健所への連絡)
- 代替支援の確保:職員の欠員が生じた場合の代替要員の確保・協力事業所との連携
- 利用者・家族への情報提供:感染発生時の家族への連絡タイミング・内容
- 業務縮小・一時休止の判断基準:感染拡大が深刻化した場合の業務縮小・休止の判断フロー
厚生労働省は短期入所(障害者)向けの感染症BCPのひな形を公開しています。指定権者(都道府県・政令市・中核市)のウェブサイトにも様式や記載例が掲載されているため、参考にして作成することを推奨します。
職員研修の実施義務
第33条の2第2項は「従業者に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない」と定めています。
研修の内容
- 感染症の基礎知識(感染経路・潜伏期間・症状)
- 手指衛生・マスク着用・ガウンテクニック等の感染防護の実技
- 感染が疑われる利用者が発生した場合の初期対応(隔離・報告・記録)
- 事業所の感染症BCPの内容・役割分担の確認
実施頻度
「定期的に」実施することが求められており、年1回以上の実施が目安です。新規採用者には採用後早期に実施してください。研修実施後は参加者名簿・研修内容・日時を記録し保管します。
定期的な訓練の実施
研修とは別に「訓練」の実施も義務付けられています。訓練では実際の感染発生を想定した模擬訓練(シナリオ訓練・机上訓練)を実施し、BCPの対応フローに沿って職員が動けるか確認します。
訓練の種類
- 机上訓練(シナリオ演習):「利用者1名が発熱した」という想定で、対応フロー・連絡体制・記録の方法を確認する
- 実地訓練:防護服・ガウンの着脱・隔離室への誘導を実際に行う
非常災害BCPとの統合
省令171号第33条の2は「感染症・非常災害」の両方を対象とした業務継続計画を義務として定めています。非常災害対策(第70条:第125条準用)と感染症対策は、BCPとして一体的に策定することで管理書類を統合でき、職員への周知・訓練も合わせて実施できます。
厚生労働省は「感染症BCPひな形」と「自然災害BCPひな形」を別ファイルで公表していますが、実際の運営では2つを統合したBCPを作成する事業所も多いです。
指定権者の確認と経過措置
令和3年度の省令改正で義務化された感染症BCPは、経過措置として一定期間が設けられていましたが、令和6年4月1日以降は経過措置期間が終了し、感染症BCPの策定・研修・訓練の実施が本格的に義務となっています。
感染症BCPの策定状況は指定権者による運営指導(実地指導)の確認事項に含まれます。未作成の場合は「運営基準違反」として指摘を受ける可能性があります。
指導検査での確認事項
- 感染症BCP(または感染症対策指針)の作成・保管
- BCPの内容を全職員に周知した証跡(回覧記録・署名簿等)
- 研修の実施記録(日時・参加者・内容)
- 訓練の実施記録(日時・参加者・訓練内容・課題の抽出)
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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第33条の2・第125条。当ページは法令の解説を目的としており、法的助言ではありません。感染症BCPの作成にあたっては厚生労働省および指定権者(都道府県・市町村)の最新の様式・通知を参照してください。作成:2026年11月。


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