計画相談支援の黒字化。月3件の新規ペースで13か月後、月5件なら8か月後の試算。

福祉事業の開業と運営

計画相談支援は開業当初から黒字になるわけではなく、担当件数が採算ライン(30〜40件前後)に達するまでの期間は赤字が続きます。月に2〜3件の新規を受け入れる標準的なペースで計算すると、損益分岐点に達するまでに約6〜18か月かかることが多いです。この記事では、担当件数の積み上がりペースと月次収支の推移を使って、黒字化までの期間を試算します。

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担当件数の積み上がりペースは地域と営業力による

計画相談支援は開業直後から大量の依頼が来るわけではありません。地域の基幹相談支援センター・市区町村・障害福祉サービス事業所との連携を通じて、少しずつ担当件数が増えていきます。月の新規受付件数は事業所によって差がありますが、1〜5件の範囲が多いとされています。

開業地域に既存の計画相談支援事業所が少ない(セルフプランの利用者が多い)場合、市区町村から積極的に紹介が来て早期に件数が増えるケースもあります。一方、競合が多い都市部では件数の積み上がりに時間がかかります。

月3件の新規受付ペースで積み上げた場合の収支推移

月3件の新規、モニタリング3か月に1回、固定費35万円、その他地域(1単位10.00円)で12か月分の収支推移を試算します。

月 担当件数 月収概算 月次収支
1か月目 3件 約56,160円 ▲293,840円
3か月目 9件 約89,040円 ▲260,960円
6か月目 18件 約174,240円 ▲175,760円
9か月目 27件 約260,400円 ▲89,600円
12か月目 36件 約346,600円 ▲3,400円
13か月目 39件 約359,640円 +9,640円

月収は(サービス利用支援費(Ⅰ)1,572 + 初回加算300)× 3件 + 継続サービス利用支援費(Ⅰ)1,308 × 月モニタリング件数 × 10.00円で計算。月モニタリング件数は前月末担当件数÷3(3か月に1回の概算)。処遇改善加算は含まない。初回加算は全新規受付が対象の想定。

月3件の新規ペースでは、12〜13か月で黒字転換する計算になります。この間の累計赤字(資金不足)は約200〜250万円になります。

月5件の新規受付ペースでは、早期に黒字化できる

月5件の新規受付ができる場合、担当件数の積み上がりが速くなります。

月 担当件数 月収概算 月次収支(固定費35万円)
3か月目 15件 約145,800円 ▲204,200円
6か月目 30件 約283,920円 ▲66,080円
8か月目 40件 約374,640円 +24,640円

同じ条件(固定費35万円・その他地域・3か月に1回モニタリング)。

月5件のペースでは7〜8か月で黒字転換の試算です。累計赤字は約120〜150万円程度に抑えられます。

黒字化を早める3つのポイント

① 地域の「待ち」需要を把握する:計画相談支援を希望しているが受け入れ事業所がない(セルフプランを余儀なくされている)利用者が多い地域では、市区町村から積極的に紹介が来て件数が早期に増えます。開業前に市区町村の障害福祉担当窓口に相談して、地域の需給状況を確認することを勧めます。

② 固定費を低くスタートする:相談支援専門員が経営者を兼ねる形で人件費を抑えてスタートすると、損益分岐点が下がります。担当件数が安定した後にスタッフを増やす形が資金効率の点で有利です。

③ 処遇改善加算を取得する:令和8年6月から処遇改善加算(1区分5.1%)が算定できます。月収35万円で約17,850円の加算収入になり、損益分岐点が実質的に2〜3件分下がる効果があります(処遇改善加算の詳細はこちら)。

赤字期間を乗り越える資金の確保

上記の試算では、黒字化まで6〜13か月の赤字期間があります。この間の資金不足を補うために、開業前に自己資金または融資で150〜300万円程度の運転資金を確保しておく必要があります(開業に必要な資金の詳細はこちら)。

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この記事の試算は、指定障害福祉サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号・別表第17・令和8年6月1日適用分)の単位数を使っています(確認日:2026年11月1日)。実際の収支は地域・担当件数の増加ペース・固定費の水準によって大きく異なります。事業計画の作成時は専門家(税理士・中小企業診断士等)にも確認してください。作成:fufumumu_design

この記事の出典

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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