すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 福祉事業所の経営診断ツール(無料で試せます)
厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)によると、生活介護の年間収入(平均)は79,388千円(約7,939万円)です。そこから収支差額(5,015千円・約501万円)を除いた費用74,372千円(約7,437万円)がどのように構成されているかを把握することが、経営改善の出発点です。
生活介護の費用内訳(全国平均)
| 費用項目 | 金額(千円) | 収入比率 | 費用比率 |
|---|---|---|---|
| 人件費 | 54,885千円 | 69.1% | 73.8% |
| その他費用 | 13,616千円 | 17.2% | 18.3% |
| 減価償却費 | 3,286千円 | 4.1% | 4.4% |
| 外注費・委託費 | 2,585千円 | 3.3% | 3.5% |
| 費用合計 | 74,372千円 | 93.7% | 100% |
| 収支差額 | 5,015千円 | 6.3% | − |
費用の73.8%が人件費、18.3%がその他費用(家賃・光熱費・消耗品・修繕費等)です。減価償却費(4.4%)・外注費(3.5%)は比較的小さい割合です。
最大の費用項目:人件費(74%)を管理する
人件費54,885千円(5,489万円)は費用の約74%を占めます。生活介護の人件費管理のポイントは次のとおりです。
稼働率84.2%(WAM参考値)の維持:利用者が欠席しても人件費は発生します。稼働率が1ポイント下がると収入は794千円減少しますが、人件費は変わらないため収支差率が直接悪化します。毎月の欠席状況を確認し、長期欠席・退所の予兆を早期に把握することが重要です。
常勤・非常勤比率の最適化:生活介護は常勤職員を必要とする配置基準がありますが、時間帯ごとの利用者数に応じて非常勤職員を効果的に配置することで、人件費を抑えられます。ただし、専門的支援加算等の算定に必要な有資格者の常勤配置要件との整合が必要です。
職員の離職防止:介護職員の離職・採用コスト(求人費・採用面接費・研修費等)は見えにくい人件費です。職員1人の離職と採用に100〜200万円のコストがかかるケースもあります。職員の処遇・職場環境の改善が、長期的な人件費管理につながります。
第2の費用項目:その他費用(18%)の内訳
「その他費用」13,616千円(約1,362万円)は収入の17.2%を占める、人件費に次ぐ費用項目です。この中には次のような費目が含まれます。
- 家賃・リース料:通所施設のテナント家賃(月20〜60万円程度が一般的)
- 光熱費:電気・ガス・水道(定員28人規模なら月10〜20万円程度)
- 消耗品費:日常支援で使う消耗品・福祉用具(月5〜15万円程度)
- 修繕費:施設・設備の修繕(年間50〜200万円程度)
- 管理費・一般管理費:法人本部からの管理費配分(法人規模による)
- 保険料:施設賠償責任保険等(年間10〜30万円程度)
その他費用の中で、定期的な見直しが可能な項目は家賃・光熱費・管理費です。家賃は更新時の交渉、光熱費は省エネ対策、管理費は法人全体の効率化で削減できる余地があります。
減価償却費(4.1%)の役割
生活介護の減価償却費3,286千円(約329万円)は収入の4.1%です。施設の建物・設備への投資が毎年費用として計上される額です。「現金が出ない費用」であるため、キャッシュフロー上は収支差率(6.3%)に4.1%(減価償却費率)を加えた10.4%相当が実際のキャッシュ創出能力になります。
外注費・委託費(3.3%)の内訳
生活介護の外注費2,585千円(約259万円)は収入の3.3%で、7サービス中で絶対額が最大です。主な内訳は給食委託・専門職(理学療法士・作業療法士等)の業務委託・洗濯等の委託です。
外注費は削減しすぎると支援の質が下がるリスクがあります。加算算定に必要な専門職の委託を継続しながら、それ以外の委託(清掃・洗濯等)で費用対効果を確認することが適切です。
全国平均との費用比較:どこが高いか・低いか
自事業所の費用内訳(人件費・その他費用・減価償却費・外注費)を計算し、全国平均(生活介護)と比較することで、収支差率の改善余地を特定できます。
例えば、自事業所の人件費率が73%(全国平均69.1%より3.9ポイント高い)の場合、年収7,939万円の事業所では3,093千円(約309万円)が全国平均より多い人件費を使っていることになります。この差額を人件費率改善で取り戻せると、収支差率は6.3%から10.2%に改善できる計算です(試算値)。
反対に、その他費用(家賃・光熱費等)が全国平均17.2%より低い場合、施設の規模が小さいか家賃が安い立地にある可能性があります。この場合は人件費率の管理が収支差率の鍵となります。
費用内訳の全国平均との比較は「どの費用項目が収支差率を下押ししているか」を特定する最も直接的な方法です。まず年間の費用を4つの区分(人件費・その他・減価償却・外注)に分けて集計し、全国平均との差を計算することから始めることが有効です。
費用内訳を活用した収支差率改善のアプローチ
生活介護の収支差率6.3%を改善するためのアプローチを費用項目ごとに整理します。
| 費用項目 | 削減難易度 | 改善アプローチ |
|---|---|---|
| 人件費(74%) | 中 | 稼働率向上(収入増)・常勤非常勤比率の最適化 |
| その他費用(18%) | 低〜中 | 家賃・光熱費の見直し・省エネ対策 |
| 減価償却費(4%) | 低(固定) | 短期的な削減は困難。長期では設備の適切な更新で管理 |
| 外注費(3%) | 中 | 委託契約の見直し・内製化できる業務の確認 |
収支差率改善の最大のレバレッジは「稼働率を上げて収入を増やす」ことです。費用の削減も有効ですが、生活介護は支援の質が稼働率(利用者の継続意向)に直結するため、費用削減が支援の質を下げないように注意が必要です。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 福祉事業所の経営診断ツール(無料で試せます)
出典:厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。費用内訳の区分・金額は同調査の集計にもとづきます。

コメント