放課後等デイサービスでは、障害のある子どもが突然の心停止を起こした場合に備え、職員全員がAEDの使用方法と心肺蘇生法(CPR)を習得しておく必要があります。子どもへのAED使用は成人と手順が異なるため、研修で正確に身につけることが重要です。この記事では、放デイでのAED研修の義務・手順・記録方法を整理します。
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放デイでAEDを備えておく理由
放課後等デイサービスの利用児童は、てんかん・先天性心疾患・呼吸器疾患などを持つ子どもが含まれます。てんかん発作の一部は心停止に移行するリスクがあり、先天性心疾患がある子どもは不整脈による心停止が起こりやすい場合があります。
AEDの設置は、法律で一律に義務化されているわけではありません。学校・病院・大型商業施設等を対象に厚生労働省・文部科学省・総務省消防庁の通知・ガイドラインで設置が推奨されており、都道府県の指導によって設置を求められる場合もあります。放デイとして義務か否かを断定する前に、設置の有無にかかわらず近隣のAEDの場所を把握し、職員が使える状態にしておくことが重要です。
子どもへのAED使用。成人と異なる2つのポイント
AEDは子ども(未就学児は1歳以上、就学児はおおむね8歳まで)に使用する際、以下の2点が成人と異なります。
| 項目 | 成人 | 小児(概ね8歳未満・25kg未満) |
|---|---|---|
| パッドのサイズ | 成人用パッド | 小児用パッドが優先。ない場合は成人用パッドを使用(貼り位置で代替) |
| パッドの貼り位置 | 右鎖骨下・左わき腹(横隔膜上) | 前胸部(胸骨)と背中(左肩甲骨下)に前後貼りにする方法もある |
| エネルギー量 | AEDが自動設定 | 小児用パッドはエネルギーを自動で減衰。成人用を使う場合は全量をそのまま使用(国際ガイドライン) |
放デイの利用児童の年齢は6〜18歳が対象です。小学生低学年(6〜8歳・25kg未満の子ども)は小児用パッドが推奨されますが、緊急時に小児用パッドがない場合は成人用パッドをそのまま使用してください。AEDをかけないことよりも、迅速にかけることが優先されます。
放デイで使う心肺蘇生・AEDの手順(BLSフロー)
放デイで子どもが突然倒れた場合、以下の手順を職員全員が実施できるよう研修します。
- 安全確認と反応の確認:子どもの肩をたたき、名前を呼んで反応を見る。周囲の安全を確認する。
- 119番通報とAED手配:すぐ通報するか、近くの職員に「119番を呼んでください」「AEDを持ってきてください」と名指しで指示する。
- 呼吸の確認:胸の動きを10秒以内で確認する。正常な呼吸がない、または死戦期呼吸(しゃくりあげるような呼吸)の場合は、心肺蘇生を開始する。
- 胸骨圧迫:胸の真ん中(胸骨下半分)を、1分間100〜120回のテンポで強く・深く押す。小児の場合、深さは胸の厚みの約1/3(5cm未満)。成人は約5〜6cm。
- AED装着・解析:AEDが届いたら電源を入れ、音声ガイドに従いパッドを貼る。解析中は体に触れない。
- 電気ショック(必要なら):「ショックが必要です」の場合は、離れてからボタンを押す。不要の場合は直ちに胸骨圧迫を再開する。
- 救急隊到着まで繰り返す:胸骨圧迫→AEDの解析(2分ごと)を繰り返す。
人工呼吸は、感染リスクの観点から実施しなくても構いません(胸骨圧迫のみのCPRでも効果があります)。ただし、子どもの場合は呼吸停止が心停止の原因になりやすいため、人工呼吸の訓練を研修に含める事業所もあります。方針は主治医や消防の指導を参考に決めてください。
AED研修の頻度。年1回以上が目安で、記録を残す
放課後等デイサービスの法定研修の義務項目(虐待防止・感染症・BCP・身体拘束)にAEDは含まれていません。しかし、安全計画(令和5年4月から義務化)の中に「緊急時対応訓練」を位置づけることができ、AED研修はその一部として実施することが望ましいとされています。
消防庁の「救命講習」(普通救命講習Ⅰ)は、心肺蘇生法とAEDの使い方を3時間で学べるコースです。新入職員の研修として参加を求める事業所が多く、年に1回の復習を運営規程や研修年間計画に位置づけているケースが見られます。
| 研修の形式 | 時間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 消防署の普通救命講習Ⅰ | 3時間 | 修了証あり。費用は原則無料(地域による) |
| 事業所内研修(市販のAED訓練器使用) | 1〜2時間 | 手順の復習・実技確認向け |
| 動画・e-ラーニング | 30〜60分 | 知識確認向け。実技の代替にはならない |
研修を実施したら、日時・参加者・実施内容・講師を記録します。記録の書式は、他の法定研修と同じ様式で管理できます。
研修記録に残すべき内容
AED研修の記録は、運営指導(行政監査)で「安全に関する取り組み」として確認されることがあります。次の項目を記録しておきます。
- 研修実施日・時間・場所
- 参加者氏名(または人数)
- 研修内容(例:「BLS手順の確認・AED装着実技」)
- 講師名(外部講師の場合は所属)
- 参加できなかった職員のフォロー予定
AEDの設置場所と月次点検(バッテリー残量・パッドの期限)も記録しておくと、運営指導時の確認がスムーズです。
放デイ特有の2つの注意点
放デイでのAED研修を組むとき、一般の救命講習では触れられない2点を盛り込みます。
① てんかん発作と心停止の見分け方:てんかん発作の際に意識を失う場合がありますが、大部分は数分で自然に回復します。心停止との違いは、呼吸の有無と脈拍の有無で確認します。発作時は転倒・けがを防ぐよう周囲を整え、5分以上続く場合や初回発作の場合は119番に相談してください。発作が終わった後も意識がない場合は、心停止を疑い胸骨圧迫を開始します。
② 保護者への連絡と記録:子どもに対してAEDを使用・または緊急搬送した場合は、事故報告書の作成と保護者への速やかな連絡が必要です。事故報告書は都道府県・市区町村へも提出します(重大事故の場合)。事後に再発防止のための振り返りを行い、記録してください。
研修キットには、AED研修で使える資料が含まれています
法定研修キットには、AED研修でそのまま使えるスライド・手順書・テスト・研修記録様式が入っています。毎年の研修準備の時間を短縮できます。
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作成者:fufumumu_design 作成日:2026-11-01
【出典】
・日本蘇生協議会「JRC蘇生ガイドライン2020」(BLS・AED使用手順)
・消防庁「救命講習の種類と内容」(普通救命講習Ⅰ)
・児童福祉法施行規則第54条の6(放課後等デイサービスの設備・運営基準)
・厚生労働省「放課後等デイサービスに係る安全計画の策定について」(令和5年3月)
本記事の内容は情報提供を目的としたものです。緊急対応の方針は、施設の主治医や消防機関とご確認ください。


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