就労継続支援B型のBCP、生産活動の継続と利用者の生活支援の両方を止めないための計画。

就労継続支援B型のBCP、生産活動の継続と利用者の生活支援の両方を止めないための計画。 福祉事業の開業と運営





就労継続支援B型のBCP、生産活動の継続と利用者の生活支援の両方を止めないための計画。

就労継続支援B型のBCP、生産活動の継続と利用者の生活支援の両方を止めないための計画。

就労継続支援B型のBCP(業務継続計画)は、感染症と自然災害の発生時にサービスを継続するための計画です。策定・研修・訓練の実施が義務とされています。

就労継続支援B型のBCPには他の障害福祉サービスと違う面があります。利用者に「工賃を支払う」義務があるため、事業所を閉めたり生産活動を止めたりすると、利用者の収入に直接影響します。また、B型を利用している方の中には、日中の活動の場が自宅以外にB型しかないという方も多く、事業所が止まることは生活リズムの崩れにもつながります。この記事では、就労継続支援B型のBCPが扱うべき内容を整理します。

BCP義務化の根拠

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)では、次が義務とされています。

  • 感染症および非常災害の発生時においてサービスの提供を継続するためのBCPを策定すること
  • BCPに従い必要な措置を講じること
  • 従業者への周知・定期的な研修の実施
  • 定期的な訓練の実施
  • BCPの定期的な見直し

BCPは「感染症BCP」と「非常災害(自然災害)BCP」の2種類を策定します。

就労継続支援B型のBCPが持つ固有の課題

生産活動の停止が工賃に影響する

就労継続支援B型では、利用者が生産活動に従事し、その成果として工賃を受け取ります。大規模な自然災害や感染症の集団発生で事業所を休業せざるを得ない場合、その期間は生産活動ができないため、工賃が発生しません。

「サービスを止める=利用者の収入が止まる」という構造があるため、B型のBCPは「できる限りサービスを続ける」ための計画が特に重要です。完全に閉めるのではなく、人数を減らして継続する、在宅での作業(テレワーク的な形)を試みるといった方法も含めて検討します。

生産受託先・取引先への影響

就労継続支援B型では外部から生産物の受託を受けているケースが多くあります。自然災害や感染症で作業ができなくなった場合、納期の遅れ・受託キャンセルという問題が生じます。BCPには「取引先への連絡の手順・連絡先・代替の対応方法」を含めておくことが実務上重要です。

日中活動の場としての役割

B型の利用者にとって事業所は単なる「仕事の場」ではなく、毎日通うことで生活リズムが保たれる場でもあります。突然の休業が続くと、在宅での孤立・生活リズムの乱れ・精神的な不安定化につながるケースがあります。BCPには「サービスが止まっている間の利用者への連絡・支援の方法」も含めることが推奨されます。

感染症BCPの内容

感染症BCPには次の内容を含めます。

  • 感染疑いの利用者・職員が出た場合の初期対応(隔離・帰宅・医療機関への誘導)
  • 事業所内の消毒・換気の方法と頻度
  • 感染者が複数出た場合の規模縮小・休業の判断基準(「何名以上で休業」という目安を事前に決める)
  • 休業中の利用者への連絡頻度と方法
  • 取引先への連絡の手順
  • スタッフが大量欠勤した場合の優先するサービスの絞り込み

非常災害BCPの内容

非常災害(自然災害)BCPには次の内容を含めます。

  • 事業所のハザードマップ確認(洪水・土砂・地震)と避難場所の設定
  • 利用者が在所中に大地震が発生した場合の初期対応(安全確保・保護者への連絡・帰宅の手順)
  • 送迎を行っている場合の送迎車両での対応(車中での災害時の行動基準)
  • 建物・設備の損傷で使用不能になった場合の代替場所の検討
  • 生産作業の材料・道具・在庫の被災に備えた対応(保険の確認・取引先への報告)

研修で職員が把握すること

BCP研修では、BCPの内容を全職員が把握していることを目的とします。研修で確認する主な内容は次のとおりです。

  • 感染症発生時・自然災害発生時の自分の役割と行動手順
  • 緊急連絡先の確認(保護者・取引先・保健所・指定権者等)
  • 利用者の安否確認の方法と自分の担当する連絡先リスト
  • 休業の判断基準と報告の手順(誰が決めて、どう周知するか)

訓練の内容

BCP訓練は定期的な実施が義務です。訓練の頻度の目安については指定権者の案内で確認してください。実際に機能するかどうかを確認するための内容を訓練に設定します。

  • 感染症対応訓練:「利用者1名がノロウイルス様症状を発症した」というシナリオで、隔離・消毒・保護者への連絡・取引先への連絡の手順を確認する
  • 安否確認訓練:「大地震が発生した」想定で、全利用者の保護者への一斉連絡を実際に行ってみる。何分で連絡できたか・繋がらなかった場合の次の手順を確認する
  • 避難訓練:年2回以上実施が求められる避難訓練と合わせて実施する

BCPの見直し

BCPは定期的な見直しが義務です。職員の入れ替わり・利用者の変化・取引先の変更・ハザードマップの改訂に合わせてBCPを更新します。訓練で見つかった課題も見直しの内容に反映します。

研修・訓練キットを活用する

就労継続支援B型のBCPに対応した研修教材・確認テスト・訓練の記録様式をまとめたキットを公開しています。虐待防止テーマはすべての機能を無料で使えます(BCPテーマはProプランの対象です)。

▶ 就労継続支援B型 法定研修・訓練キット


出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)・厚生労働省「障害福祉サービス事業所等における業務継続ガイドライン」。研修・訓練の頻度・記録の保存期間の詳細は指定権者の案内で確認してください。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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