計画相談支援の処遇改善加算、令和8年6月から始まる5.1%の仕組み。

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令和8年6月から、計画相談支援(指定特定相談支援)に処遇改善加算が新たに設けられます。これまで計画相談支援には処遇改善加算がなく、相談支援専門員は他の障害福祉サービスの職員と比べて処遇改善の恩恵を受けにくい状況にありました。

この記事では、令和8年6月から始まる計画相談支援の処遇改善加算の仕組みと、収入への影響を整理します。

なぜ今まで計画相談支援に処遇改善加算がなかったのか

障害福祉サービスの処遇改善加算は、もともと「直接支援職員」の賃金改善を目的として設けられてきました。就労支援員・生活支援員・指導員といった現場の直接支援職員が対象でした。

計画相談支援の相談支援専門員は「相談援助職」の位置づけであり、直接支援職員とは異なる扱いとなっていました。同様の理由で、介護保険の居宅介護支援のケアマネジャーも長らく処遇改善加算の対象外でした。

この状況が見直され、令和8年6月の障害福祉サービス等報酬改定(中間見直し)で、計画相談支援に処遇改善加算が新設されることになりました。

令和8年6月に新設される処遇改善加算の仕組み:加算率5.1%

令和8年6月から計画相談支援に新設される処遇改善加算の加算率は1000分の51(5.1%)です。区分は1種類のみで、居宅介護支援の2.1%よりも高い加算率が設定されています。

処遇改善加算の計算式は次のとおりです。

計算式:処遇改善加算 = 基本報酬の合計 × 5.1%

出典:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援に要する費用の額の算定に関する基準」(告示125)。令和8年6月施行分。加算率(1000分の51)は施行時点の告示・通知を確認してください。

担当件数ごとの処遇改善加算の試算

担当件数ごとの処遇改善加算の月次試算を示します(地域単価11.20円・1級地・通常型の基本報酬で試算)。

担当件数 基本報酬月額の目安 処遇改善加算(5.1%)の目安
20件 約23万円 約11,730円/月
30件 約35万円 約17,850円/月
40件 約47万円 約23,970円/月

※基本報酬はモニタリング頻度(毎月・3か月・6か月の構成)や費の区分(Ⅰ・Ⅱ)によって変わります。上記はあくまで概算です。

担当件数40件で月約2.4万円、年間で約29万円の増収になります。相談支援専門員1名の賃金改善として、月額換算すると給与に上乗せできる水準になります。

処遇改善加算の取得要件

処遇改善加算を算定するには、指定権者(都道府県または市町村)への体制届出が必要です。主な要件は次のとおりです。

要件 内容
賃金改善計画の策定・届出 加算で得た収入を従業者の賃金改善に充てる計画を策定し、指定権者に届け出ること
賃金体系の整備 職員の職位・職責・職務内容等に応じた賃金体系を整備すること
実績報告 年度終了後に賃金改善の実績を指定権者に報告すること

加算で得た収入は全額を従業者の賃金改善に充てる義務があります。事業所の利益として留保することはできません。

加算率5.1%は居宅介護支援の2.1%よりも高い理由

計画相談支援の処遇改善加算率5.1%は、同時期に新設された居宅介護支援の2.1%と比べて高い水準です。

この差には、計画相談支援の担当件数あたりの基本報酬が居宅介護支援よりも低く、相談支援専門員の賃金水準が介護支援専門員(ケアマネジャー)よりも全体的に低いという実態が背景にあります。賃金水準の是正を図るため、より高い加算率が設定されています。

ただし加算率が高いとはいえ、担当件数が少ない開業直後の事業所では加算額の絶対値は小さくなります。収支計画では加算額を過大に見積もらず、担当件数の伸びとあわせて試算することが重要です。

特定事業所加算との違い

計画相談支援には処遇改善加算のほかに、特定事業所加算も存在します。両者の位置づけを整理します。

加算の種類 目的 収入の使途
特定事業所加算(Ⅰ〜Ⅳ) 事業所の体制整備・地域連携への取り組みを評価(機能強化型の加算) 制限なし(事業所の収益に計上できる)
処遇改善加算 従業者の賃金改善 全額を従業者の賃金改善に充てる義務がある

特定事業所加算(機能強化型)は事業所の経営改善に活用できますが、処遇改善加算は従業者への賃金改善のみに使用できます。開業後の収支計画では、2つの加算の性質の違いを把握した上で収益として計上できる金額を整理することが必要です。

令和8年6月算定に向けた手続きの流れ

令和8年6月から算定するためには、5月末(または指定権者が定める期限)までに体制届を提出する必要があります。

具体的な手続きの流れは次のとおりです。

  • 令和8年4〜5月:指定権者からの通知・届出様式の確認
  • 令和8年5月末(目安):賃金改善計画書を添えて体制届を提出
  • 令和8年6月:処遇改善加算の算定開始(翌月の国保連請求から反映)
  • 令和9年7月:前年度(令和8年6〜令和9年3月)の実績報告書を提出

実績報告では、加算収入のうち確かに従業者の賃金改善に充てた実績を示す書類が必要になります。年度末の報告に備えて、加算収入の使途を記録しておくことが重要です。

まとめ

  • 令和8年6月から計画相談支援に処遇改善加算(加算率5.1%)が新設される
  • 加算率は居宅介護支援の2.1%より高く、相談支援専門員の賃金水準を引き上げるための水準に設定されている
  • 担当件数40件・地域単価11.20円で月約2.4万円(年約29万円)が目安
  • 加算収入は全額を従業者の賃金改善に充てる義務があり、事業所の利益にはできない
  • 特定事業所加算(機能強化型)とは目的・使途が異なり、収支計画では区別して扱う

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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