緩降機の設置基準は消防法施行令第25条と消防法施行規則第27条第6号で定められています。緩降機は使用者が自重で降下する器具で、ロープに取り付けた調速器によって降下速度を一定に保ちます。設置できる用途と階は施行令第25条の表で定められており、2階から5階の防火対象物に広く設置できますが、6階以上には緩降機を設置できない建物の種類があります。
問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
▶ 消防設備士 第5類(乙5・甲5)AI問題集
緩降機を設置できる防火対象物と階
消防法施行令第25条第2項の表には、防火対象物の用途(別表第一の項番号)と階に応じて、設置が認められる避難器具の種類が定められています。緩降機が設置できる条件を整理します。
| 防火対象物の用途 | 階 | 緩降機の設置可否 |
|---|---|---|
| (六)項(病院・福祉施設・保育所等) | 地階 | ×(設置不可) |
| 2階 | ○ | |
| 3階 | ○ | |
| 4・5階 | ○ | |
| 6階以上 | ×(設置不可) | |
| (五)項(ホテル・旅館・共同住宅等) | 地階 | ×(設置不可) |
| 2階 | ○ | |
| 3階 | ○ | |
| 4・5階 | ○ | |
| 6階以上 | ×(設置不可) | |
| (一)〜(四)項・(七)〜(十一)項(劇場・百貨店・学校・工場等) | 地階 | ×(設置不可) |
| 2階 | ○ | |
| 3階 | ○ | |
| 4・5階 | ○ | |
| 6階以上 | △(一部の用途は設置不可) |
出典:消防法施行令第25条第2項の表(e-Gov法令検索・消防法施行令)
重要なポイントは、(六)項と(五)項は6階以上に緩降機を設置できないという点です。病院・福祉施設・ホテル・旅館などの建物では、6階以上に避難器具を設置する場合は滑り台・救助袋・避難橋のいずれかを選ぶ必要があります。緩降機は高層部に弱い器具と覚えておいてください。
施行規則第27条第6号の設置細目
緩降機の設置基準の細目は消防法施行規則第27条第6号で定められています。試験でよく出る数値と条件を整理します。
| 項目 | 基準の内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| ロープの長さ | 取付け位置から地盤面その他の降着面までの長さとすること | 施行規則第27条第6号ロ |
| ロープの接触 | 降下の際にロープが防火対象物と接触して損傷しないように設けること | 施行規則第27条第6号イ |
| 取付け具の固定 | ボルト締め・溶接その他の方法で堅固に取り付けること | 施行規則第27条第6号ハ(ロ) |
| 取付け部材の規格 | JIS G3101またはG3444に適合する材料(耐食性のないものは耐食加工を施す) | 施行規則第27条第6号ハ(ハ) |
| 取付け位置 | 防火対象物の柱・床・はりその他構造上堅固な部分または堅固に補強された部分 | 施行規則第27条第6号ハ(イ) |
出典:消防法施行規則第27条第6号(e-Gov法令検索)
「ロープの長さ=取付け位置から降着面まで」の意味
緩降機のロープ長さは「取付け位置から地盤面その他の降着面まで」と定められています。これは「窓枠の取付け高さから地面まで」の距離にロープを合わせる意味です。ロープが短すぎると地面に着く前に降下が止まり、長すぎると使用時にロープが地面に触れて絡まる危険があります。
試験では「緩降機のロープの長さはどこからどこまでか」という問いが出ます。答えは「取付け位置から降着面(地盤面等)まで」です。「地盤面から取付け位置まで」と逆に覚えないよう注意してください。
緩降機の構造と各部の名称
緩降機は主に次の部品で構成されています。試験(鑑別)では部品の名称と機能を答える問題が出ます。
| 部品名 | 機能 |
|---|---|
| 調速器 | 降下速度を一定に保つ装置。ロープに対する制動力を自重に応じて調整する |
| ロープ | 使用者が握って降下するためのロープ。長さは取付け位置から降着面まで |
| 着用具(ベルト・ハーネス) | 使用者の腰・胸に装着する器具。調速器と接続し、体重を支える |
| 取付け具(ブラケット) | 窓枠や壁面に緩降機全体を固定する器具 |
| フック | 取付け具に調速器を接続するための金具 |
鑑別問題では「写真の部品の名称を答えよ」という形式が多いです。調速器・着用具・取付け具の3つは確実に覚えてください。
緩降機の設置個数の計算
設置個数は収容人員と防火対象物の用途によって施行令第25条第2項で定められています。(五)項・(六)項・第5号の防火対象物の場合の計算式は次のとおりです。
- 収容人員が100人以下:1個以上
- 収容人員が101人以上:1個+(収容人員−100人)÷100人ごとに1個加算
例:(六)項の3階に収容人員250人の場合→ 1個+(250−100)÷100=1個+1.5個→端数は切り上げ→計3個
ただし、緩降機1台で対応できる人数は器具の仕様(1回1人の降下)によって限界があります。大規模施設では緩降機1種類だけでは対応が難しく、救助袋や滑り台と組み合わせて設置することが一般的です。
緩降機を設置できない条件(設置免除の条件と逆の確認)
次の条件に当てはまる階には、そもそも避難器具の設置義務が生じません(緩降機を設置しなくてもよいのではなく、設置義務がない)。
- 避難階(1階と同等に地上に出られる階)
- 11階以上の階
- 建物全体が耐火構造で2階であり、直通階段が一定条件を満たしている場合
- 施行令第25条第3項・施行規則第26条の免除規定に該当する場合(直通階段が2以上ある等)
試験でよく出る緩降機の設置基準の問題パターン
第5類の法令類別(4問)と構造整備(15問)では、緩降機の設置基準が繰り返し出題されます。よく出る問題パターンを整理します。
- 「(六)項の7階に緩降機を設置できるか」→ × (6階以上の(六)項には設置不可)
- 「緩降機のロープの長さの基準は何か」→ 取付け位置から降着面(地盤面等)まで
- 「緩降機の取付け具に使用する材料の規格は何か」→ JIS G3101またはG3444
- 「緩降機を設置する開口部の位置の条件は何か」→ 相互に同一垂直線上にない位置(施行規則第27条第2号)
- 「緩降機の調速器の役割は何か」→ 降下速度を一定に保つ
まとめ。緩降機は2〜5階が主な設置対象
緩降機は2階から5階の幅広い用途の防火対象物に設置できる器具ですが、(六)項・(五)項の6階以上には設置できません。ロープ長さは「取付け位置から降着面まで」、取付け具の材料規格はJIS G3101またはG3444が重要な試験ポイントです。施行令第25条の表と施行規則第27条第6号をセットで覚えておくと、法令類別・構造整備の両方で得点しやすくなります。

コメント