訪問看護の感染症対策研修、研修・訓練・委員会の3つを整理する。

訪問看護の感染症対策研修、研修・訓練・委員会の3つを整理する。 介護





訪問看護の感染症・食中毒対策、研修は年2回以上・訓練も年2回以上が義務。

訪問看護の感染症・食中毒対策、研修は年2回以上・訓練も年2回以上が義務。

訪問看護ステーションの感染症・食中毒対策は、研修を年2回以上・訓練を年2回以上実施する義務があります。この2回という数字は、虐待防止・身体拘束(年1回以上)よりも頻度が高い義務です。

この記事では、根拠条文・委員会の義務・研修と訓練の内容・記録の整備について整理します。

感染症・食中毒対策の3つの義務。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(居宅基準)第29条の2は、訪問看護ステーションに次の3つを義務づけています。

委員会:感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(感染対策委員会)を定期的に開催すること。開催はテレビ電話等の活用も可能。

指針:感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。

研修・訓練:従業者に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施すること。

(出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第29条の2)

健康保険法に基づく指定訪問看護(医療保険適用分)についても、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(第13条の2)に同様の義務が定められています。介護保険・医療保険の両方で運営している場合も、対応が必要です。

研修は年2回以上・訓練も年2回以上。

感染症・食中毒対策の研修・訓練の頻度は、「定期的に」という条文表現に対して、厚生労働省の解釈通知および「感染症及び食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手引き(訪問看護版)」で、研修・訓練ともに年2回以上の実施が求められています。

これは虐待防止・身体拘束(年1回以上)・BCP(年1回以上)より頻度が高い義務です。年1回で「定期的に実施した」と判断できるテーマとは異なり、感染症対策は年2回が最低ラインになります。

委員会の開催頻度。

委員会は「定期的に開催する」という表現で、具体的な開催回数は条文では明示されていません。ただし厚生労働省の手引きでは少なくとも3か月に1回以上が目安として示されています。

委員会で扱う内容の例は次のとおりです。

  • 感染症・食中毒の発生状況の確認(前回委員会以降の発生件数・対応内容)
  • 手指衛生・PPEの使用状況の確認
  • 感染発生時の対応手順の確認・改善
  • 研修・訓練の計画と実施状況の確認
  • 新型インフルエンザ等の情報収集と対応の検討

研修で扱う内容。

感染症・食中毒対策の研修では、次の内容を扱うことが求められています(厚生労働省「感染症及び食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手引き(訪問看護版)」より)。

  • 感染症・食中毒の基礎知識(感染経路・潜伏期間・症状)
  • 手指衛生の正しい手順(WHO推奨の6ステップ)
  • PPE(個人防護具)の正しい着用・脱着手順
  • 利用者宅での感染対策(訪問時の持ち込み・持ち出しの防止)
  • 感染が疑われる利用者が発生した場合の報告・対応手順
  • 食中毒の予防(特にノロウイルス・食材の取り扱い)

訪問看護は利用者の居宅に出向く業態のため、施設内のみの対策だけでなく「自分がウイルスを持ち込まない・持ち帰らない」という観点が特に重要です。

訓練で扱う内容。感染発生を想定した実際の動作確認。

訓練とは、研修(知識の習得)と異なり、実際の行動を模擬的に確認する演習です。感染症・食中毒対策の訓練では、次のような内容が想定されます。

  • PPEの着用・脱着手順の実技確認(正しい手順で着けられているか)
  • 感染疑いの利用者が発生したときの連絡・報告フローの確認(誰に・どのタイミングで報告するか)
  • 嘔吐物処理の手順確認(塩素系消毒液の濃度・処理手順)
  • 利用者への説明対応の確認(感染リスクがある場合の訪問可否の判断)

年2回の訓練は、季節に合わせて実施する方法が現実的です(例:インフルエンザシーズン前の秋・ノロウイルスシーズン前の冬または春)。

記録の整備。

委員会・研修・訓練の実施記録は保管することが必要です。記録に含める内容の例は次のとおりです。

  • 開催日・実施日
  • 出席者・参加者の氏名(全員)
  • 議題・研修・訓練の内容の概要
  • 決定事項・気づいた課題・改善事項

運営指導では、「年2回以上の研修・訓練を実施しているか」を記録で確認されます。日程と参加者リストが残っていれば、短い記録でも証明になります。

感染者が発生した場合の行政への報告。

訪問看護ステーションで感染者・食中毒の疑い事例が発生した場合、行政(市区町村または都道府県)への報告が義務づけられています。具体的な報告のタイミング・報告先は、指定権者(都道府県または市区町村)に確認しておくことが重要です。

「疑い」の段階から報告する義務がある点に注意が必要です。確定診断を待たずに報告する体制を整えておく必要があります。

研修・訓練キットを活用する。

訪問看護ステーションの感染症・食中毒対策の研修教材・確認テスト・委員会の議題案・記録様式をまとめたキットを公開しています。訪問看護特有の観点(利用者宅での感染対策・医師との連携・感染発生時の報告手順)に対応しています。

▶ 訪問看護ステーション 法定研修・訓練キット


出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第29条の2・健康保険法に基づく指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準第13条の2・厚生労働省「感染症及び食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手引き(訪問看護版)」。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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