居宅介護支援事業所の運営規程。記載が必要な項目と変更届の手続き。

居宅介護支援事業所の運営規程。記載が必要な項目と変更届の手続き。 介護

居宅介護支援事業所の運営規程は、省令(平成11年厚生省令第38号)第19条に定められた必須の書類です。指定申請時に作成し、事業所の運営の基本的な方針や手続きを定めます。記載事項に変更が生じた場合は10日以内に市区町村へ変更届を提出する必要があります。この記事では、運営規程に記載が必要な項目・作成の注意点・変更届の手続きを整理します。

運営規程の法的根拠と位置づけ

居宅介護支援事業所の運営規程は、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号)第19条に基づいて作成が義務付けられています。

運営規程は、事業所の運営の基本的な事項を定めた内規であり、以下の2つの役割があります。

  • 利用者への説明の根拠:重要事項説明書の内容は運営規程に基づいて作成します。利用者・家族に対してサービス内容・費用・緊急時の対応方法などを事前に説明する際の根拠書類となります。
  • 実地指導での確認書類:市区町村の実地指導(運営指導)では、運営規程が整備されているか・内容が実際の運営と一致しているかが確認されます。

運営規程に記載が必要な項目

省令第19条に定められた記載事項は以下のとおりです。

居宅介護支援事業所の運営規程の記載事項
記載事項 記載の内容(例)
①事業の目的及び運営の方針 居宅介護支援事業の目的(利用者の自立した在宅生活の支援等)、基本方針(公正中立・利用者本位等)
②従業者の職種・員数・職務の内容 管理者・介護支援専門員・事務員の員数と職務内容。主任介護支援専門員の配置についても明記する
③営業日及び営業時間 例:月曜日〜金曜日、9時00分〜18時00分(祝日・年末年始を除く)等
④指定居宅介護支援の提供方法、内容及び利用料 ケアプランの作成から給付管理までのサービス内容、利用者負担額(居宅介護支援は原則利用者負担なし)
⑤通常の事業の実施地域 市区町村名・日常生活圏域名等で、通常サービスを提供する地域を明示する
⑥緊急時等における対応方法 利用者の状態急変時の連絡先・対応手順(医療機関・家族への連絡の流れ)
⑦虐待の防止のための措置に関する事項 虐待防止委員会の設置・責任者の明確化・研修の実施(令和3年改定で明示化)
⑧その他運営に関する重要事項 苦情対応の窓口・手順、事故発生時の対応、業務継続計画(BCP)に関する事項等

作成・管理のポイント

営業日・営業時間は具体的に記載する

「月〜金曜日・9時〜18時」のように曜日と時間帯を明記します。「原則として」「概ね」という表現はできるだけ使わず、例外(祝日・年末年始の対応)はその内容を書き添えます。実地指導では実際の対応と一致しているかを確認されます。

従業者欄は員数の変化に注意する

「介護支援専門員3名(うち主任介護支援専門員1名)」のように員数を明記する場合、採用・退職のたびに運営規程と変更届が必要になります。「必要な数」「〇名以上」という表現にしておくと、員数が変わっても記載内容が変わらずに済む場合があります。ただし、市区町村によって指導が異なるため、事前に確認することが重要です。

実施地域は広くなりすぎないようにする

通常の実施地域は、実際に対応できる範囲を記載します。「○○市全域」「○○市及び隣接市町村」のような書き方が一般的です。実施地域外でのサービス提供が常態化している場合、実地指導で指摘されることがあります。

変更届が必要なタイミングと提出先

運営規程の変更だけでなく、事業所の実態に変更が生じた際は変更届の提出が必要です。

変更届が必要な主な場面
変更事項 届出の期限 注意点
管理者の交代 変更の日から10日以内 新しい管理者の経歴書・資格証の写しが必要な場合あり
主任介護支援専門員の交代 変更の日から10日以内 主任介護支援専門員証の写しを添付する
事務所の移転 変更の日から10日以内 新事務所の賃貸契約書(写し)等が必要。移転先が市区町村をまたぐ場合は指定申請から必要になる場合あり
営業時間の変更 変更の日から10日以内 重要事項説明書も同時に改訂し、利用者に周知する
事業所の名称変更 変更の日から10日以内 法人名変更に伴う場合は法人の登記謄本の写しが必要
従業者の員数の変更 変更の日から10日以内 介護支援専門員の増減は基準を下回らないよう注意

変更届の提出先は市区町村(指定権者)です。令和3年4月の介護保険法改正により、居宅介護支援事業所の指定権者は都道府県から市区町村に移管されています。変更届の様式や提出方法は市区町村によって異なるため、事業所所在地の市区町村の担当窓口に確認してください。

重要事項説明書との関係

運営規程に記載した内容は、利用者・家族への重要事項説明書に反映します。重要事項説明書は、指定居宅介護支援を提供する前に利用者または家族に交付し、内容を説明した上で同意(署名)を得ることが義務付けられています(省令第4条)。

運営規程を変更した場合は、重要事項説明書も合わせて改訂し、既存の利用者にも内容を案内することが望ましい対応です。

実地指導で確認される主な点

市区町村が行う実地指導(運営指導)では、運営規程について以下の点が確認されます。

  • 運営規程が作成されているか(省令第19条への適合)
  • 記載事項が省令の要件を満たしているか(全8項目の記載漏れがないか)
  • 運営規程の内容と実際の運営が一致しているか(記載の営業日・営業時間・実施地域と実態の齟齬)
  • 変更が生じた際に変更届が提出されているか
  • 利用者への重要事項説明書に運営規程の内容が反映されているか

実地指導の前に、現行の運営規程と実際の運営状況を照らし合わせ、乖離がある場合は運営規程を修正するか、実際の運営を規程に合わせる対応が必要です。

運営規程の保管と閲覧への対応

運営規程は事業所に備え置き、利用者・家族から求めがあれば閲覧に供する義務があります(省令の規定に基づく)。また、省令に基づく書類として、サービス提供の完結の日から2年間の保管義務があります。廃止・休止の場合も同様です。

居宅介護支援事業所の開業から運営にかかる収支の試算は、居宅介護支援事業所(ケアマネ事務所)収支シミュレーターで確認できます。

参考・出典

  • 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第4条・第19条・第29条
  • 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(平成11年老企第22号通知)

この記事は2026年11月時点の法令に基づいています。手続きの詳細は事業所所在地の市区町村に確認してください。

福祉事業の開業・運営に関するツールと記事の一覧は福祉事業の開業と運営(入口ページ)にまとめています。収支シミュレーター・経営診断・法定研修キットを無料で試せます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
介護
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました