居宅介護支援のモニタリング。月1回の訪問義務と記録の書き方。

居宅介護支援のモニタリング。月1回の訪問義務と記録の書き方。 介護

居宅介護支援のモニタリングは、省令(平成11年厚生省令第38号)第13条第14号に定められた、ケアマネジャーの基本業務の一つです。原則として月に1回以上、利用者の居宅を訪問して面接し、記録を作成する義務があります。令和6年の改定で一定条件下でのオンラインモニタリング(訪問を2か月に1回に緩和)が導入されましたが、訪問と記録の両方が必要な点は変わりません。この記事ではモニタリングの法的義務・確認事項・記録のポイントを整理します。

モニタリングの実施頻度:原則は月1回の居宅訪問

省令第13条第14号では、「居宅サービス計画の実施状況の把握(モニタリング)は、特段の事情のない限り、少なくとも1か月に1回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接することにより行わなければならない」と定められています。

「特段の事情」とは、利用者の入院・入所中や自然災害など、居宅訪問が困難な客観的な理由がある場合です。単に「忙しい」「利用者に断られた」という理由は特段の事情には当たらないため注意が必要です。

令和6年改定でICTを活用したオンラインモニタリングが導入された

令和6年4月の改定で、一定の要件を満たす場合に、訪問を2か月に1回以上とし、訪問しない月はテレビ電話等のICTを活用したオンラインモニタリングを行う方法が認められました。

オンラインモニタリングの主な要件(令和6年改定)
要件 内容
利用者の状態が安定している 要介護状態・生活環境に大きな変化がなく、サービス内容の変更の必要性が低いと判断できる場合
利用者の同意がある オンラインモニタリングを行うことについて利用者の同意を得ている(文書による同意が望ましい)
関係者の合意がある サービス担当者会議等の場で、主治医・各サービス担当者がオンラインモニタリングへの同意を確認している

この方法を適用した場合でも、記録は毎月作成する義務があります。訪問しない月のオンラインモニタリングの実施日・方法・確認した内容を記録に残します。要件の詳細は解釈通知・市区町村の取扱いを事前に確認してください。

モニタリングで確認する内容

モニタリングは、居宅サービス計画(ケアプラン)の目標に対して実際のサービスがどう機能しているかを確認する業務です。

モニタリングで確認する主な事項
確認事項 具体的な内容
サービスの実施状況 ケアプランに位置付けたサービスが計画通り提供されているか。頻度・内容・担当者に変更はないか
利用者の心身の状況 身体機能(ADL)・認知機能・精神状態に変化はないか。疾病の変化・服薬状況の変化はないか
目標の達成状況 長期目標・短期目標の達成度合い。目標の期間内に達成の見込みがあるか
生活環境の変化 家族の状況・住環境の変化(段差・動線等)・経済的状況の変化
利用者・家族の意向 現在のサービスに対する満足度・不満。今後の意向(サービス内容の追加・変更の希望)
計画の継続・変更の必要性 以上の確認を踏まえ、ケアプランをそのまま継続するか、一部変更するか、全面見直しが必要かを判断する

モニタリングの記録:書くべき内容と保管期間

モニタリングを実施したら、記録を作成する義務があります(省令第13条第14号)。記録の様式は省令に定められていませんが、以下の内容を盛り込むことが実地指導での確認ポイントとなります。

  • 訪問年月日:実際に訪問した日付(電話・ICTの場合はその旨と実施日を記録)
  • 面接・確認した内容:利用者・家族から聞き取った状況、サービス実施状況
  • 目標の達成状況:短期目標への対応状況(達成・未達成・継続中の別)
  • 利用者の心身の状況の変化:変化があればその内容・変化なし(安定)の場合もその旨を記録
  • 今後の対応・判断:計画の継続可否、次回のサービス担当者会議の必要性、緊急時の対応が必要かどうか

記録の保管期間は2年間

モニタリング記録を含む居宅介護支援に関する記録は、サービス提供が完結した日から2年間保管する義務があります(省令第29条)。

「完結した日」とは、利用者がその事業所での居宅介護支援サービスの利用を終了した日を指します。廃止・休止の場合も、廃止・休止の日から2年間の保管義務は継続します。

モニタリング不備が指摘される主なケース

実地指導でモニタリングについて指摘が入る典型的なパターンを整理します。

モニタリングに関する実地指導での指摘例
指摘パターン 対応策
訪問記録がない月がある 特段の事情(入院中等)であっても、その理由を記録に残す。「入院中のため訪問不可・◯月◯日に病院で面接」等
記録の内容が薄い(「変化なし」のみ) 変化がない場合でも「ADL安定・服薬管理継続中・家族の介護負担なし」等、確認した内容を具体的に記録する
訪問記録の日付がサービス提供記録と合わない 訪問日は実際に訪問した日付を正確に記録する。月末に遡及して作成することは避ける
緩和条件を満たさずに2か月に1回の訪問を実施 緩和条件(状態安定・同意取得)を記録に残す。条件を満たさない利用者への2か月に1回の訪問は省令違反
目標の達成状況の記録がない ケアプランの短期目標・長期目標ごとに達成状況を記録する。目標の期間終了が近い場合は更新の要否を記録する

オンラインモニタリングの記録(令和6年以降)

令和6年改定で導入されたオンラインモニタリング(テレビ電話等によるICTを活用した訪問代替)を実施した場合は、通常の訪問記録と同様に実施日・方法・確認した内容を記録します。原則は居宅訪問による対面確認であり、オンラインはあくまで要件を満たした場合の例外的な手段です。

なお、令和3年改定ではサービス担当者会議のオンライン開催(テレビ電話等の活用)が認められましたが、定期のモニタリング訪問のICT代替は令和6年改定で導入されたものです。

ケアプランの変更が必要と判断した場合の対応

モニタリングの結果、ケアプランの変更が必要と判断した場合は、利用者・家族に説明し同意を得た上でケアプランを変更します。軽微な変更(担当者の変更・サービス提供曜日の変更等)はサービス担当者会議を省略できますが、サービスの種類・内容・量の変更はサービス担当者会議を開催することが原則です(省令第13条第9号)。

居宅介護支援事業所の開業に向けた収支の試算は、居宅介護支援事業所(ケアマネ事務所)収支シミュレーターで確認できます。

参考・出典

  • 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第14号・第29条
  • 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(平成11年老企第22号通知)

この記事は2026年11月時点の法令に基づいています。手続きの詳細は事業所所在地の市区町村に確認してください。

福祉事業の開業・運営に関するツールと記事の一覧は福祉事業の開業と運営(入口ページ)にまとめています。収支シミュレーター・経営診断・法定研修キットを無料で試せます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
介護
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました