生活介護の加算の種類と要件。人員配置体制加算・送迎加算・食事提供体制加算を整理する。

生活介護



生活介護の収入は、基本報酬に各種加算を上乗せして計算します。主な加算は人員配置体制加算・送迎加算・食事提供体制加算の3種類です。加算を取れるかどうか、また何段階の加算になるかによって、同じ定員・稼働率でも月収入が数十万円単位で変わります。

この記事では、それぞれの加算の内容・取るための要件・注意点を、告示と留意事項通知をもとに整理します。

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生活介護の収入は「基本報酬+加算」の構造になっている

生活介護の1か月の収入は、次の計算で決まります。

  1. 基本報酬(障害支援区分×所要時間×定員区分)
  2. 各種加算(人員配置体制加算・送迎加算・食事提供体制加算など)を加える
  3. 医師を置かない場合は減算(-12単位/日)を差し引く
  4. (基本報酬+加算)の合計に処遇改善加算率を掛けて処遇改善加算を計算し、さらに加える
  5. 合計単位数に地域区分の単価(1単位10.00円〜11.22円)を掛けて円に換算する

基本報酬だけを見ても収入の全体像はわかりません。加算の取得状況が月収入に大きく影響するため、開業前の計画には加算ごとの要件の確認が欠かせません。

人員配置体制加算は、配置比率と障害支援区分の構成で4段階に分かれる

人員配置体制加算は、通常の人員基準(省令171 第78条)を上回る職員を配置している事業所に加算される仕組みです。取得できる加算の段階は、利用者に対する職員の配置比率と、利用者の障害支援区分の構成(区分5・6の割合)の2点で決まります(根拠:告示551 六イ〜ニ)。

人員配置体制加算の段階と要件(根拠:告示551 六イ〜ニ)
加算の段階 配置比率の要件 区分5・6の割合の要件
人員配置体制加算(Ⅰ) 利用者2.5人に1人以上 60%以上
人員配置体制加算(Ⅱ) 利用者2人に1人以上 60%以上
人員配置体制加算(Ⅲ) 利用者1.7人に1人以上 50%以上
人員配置体制加算(Ⅳ) 利用者1.5人に1人以上 要件なし

加算の各段階の単位数と、月収入への具体的な影響は、収支シミュレーターで試算できます。

「配置比率」の具体的な意味

配置比率とは、利用者何人に対して職員1人を配置するかを示す数字です。比率2.5は「利用者2.5人に1人」、比率1.5は「利用者1.5人に1人」を意味します。比率の数字が小さいほど職員が多い(手厚い配置)ことになります。

通常の人員基準(省令171 第78条)では、利用者の平均障害支援区分に応じて6分の1・5分の1・3分の1の職員配置が義務づけられています。人員配置体制加算は、この基準をさらに上回る配置をしている場合に取得できます。

「区分5・6の割合」の計算方法

区分5・6の割合の判定には注意が必要です。区分5・6の利用者数を全利用者数で割った割合が、加算の要件(60%または50%)を満たしているかどうかを確認します。この判定には「これに準ずる者」は含まれず、区分5・6に判定された利用者のみで計算します(生活介護の留意事項通知による)。

区分5・6の割合が60%に届かない場合、人員配置体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)は取得できません。一方、(Ⅳ)は区分要件がないため、区分5・6の割合にかかわらず取得できます(配置比率の要件のみ)。

送迎加算は、片道の送迎ごとに加算が発生する

送迎加算は、事業所が利用者を送迎した場合に加算されます(根拠:告示523 別表第6の1 ロ)。片道1回ごとに加算が発生するため、行き帰り両方を送迎すれば1日2回分の加算になります。

送迎加算の単位数(根拠:告示523 別表第6の1 ロ)
加算の種類 単位数/回 主な要件
送迎加算(Ⅰ) 21単位 車両での送迎(要件あり)
送迎加算(Ⅱ) 10単位 送迎加算(Ⅰ)の要件を満たさない場合

区分5・6が60%以上の場合は送迎加算に+28単位が上乗せされる

当日の利用者のうち、障害支援区分5・6の利用者が60%以上を占める場合は、送迎1回あたり28単位が追加されます(根拠:告示523 別表第6の1 ロ 注2)。この28単位の追加は、送迎加算(Ⅰ)(Ⅱ)のどちらにも適用されます。

たとえば送迎加算(Ⅰ)で60%要件を満たす場合、1回あたりの合計は「21単位+28単位=49単位」になります。

同一敷地内の建物から送迎する場合は単位数が減る

事業所と同一の敷地内にある建物(住居等)から利用者を送迎する場合は、送迎加算(Ⅰ)の単位数に100分の70を掛けます(根拠:生活介護の留意事項通知p141)。この場合、区分5・6が60%以上の場合の追加28単位は、100分の70を掛ける前の基本21単位に対してのみ掛けるのではなく、次の順序で計算します。

  • 基本の送迎加算(Ⅰ)の単位数:21単位 × 0.7 = 14.7単位(留意事項に従い100分の70を掛ける)
  • 区分5・6が60%以上の場合の追加:上記に+28単位を加える

「100分の70を掛ける単位数は注2(+28)の加算がなされる前の単位数」という規定があるため、28単位には100分の70を掛けません(留意事項通知p141)。同一敷地内の送迎が多い場合、送迎加算の収入が通常よりも低くなることに注意が必要です。

食事提供体制加算は令和9年3月31日までの時限措置

食事提供体制加算は、利用者に食事を提供した場合に1日30単位を加算する仕組みです(根拠:告示523)。ただし、この加算は令和9年3月31日までの時限措置です。令和9年4月以降の算定はできなくなる見込みのため、開業時期に注意が必要です。

食事提供体制加算の概要(根拠:告示523)
項目 内容
加算単位数 30単位/日
算定できる期間 令和9年3月31日まで
対象 食事を提供した利用者

開業を令和9年4月以降に予定している場合は、この加算を収入計画に含めないように注意してください。開業時期が令和9年3月以前であっても、令和9年4月以降の月の収支計算では算定できなくなります。

医師を置かない場合は1日12単位の減算がある

生活介護は、嘱託医や常勤の医師を置くことが可能ですが、医師を置かない事業所は1日12単位の減算が適用されます(根拠:告示523 別表第6の1 ハ)。

医師を置く場合は嘱託料(委託費)が発生するため、収支への影響は減算の有無だけでなく、嘱託医への費用も含めて試算する必要があります。定員20人・稼働率84%・月22日稼働の条件では、12単位の減算が毎日発生すると、月間の減算合計は約2,200単位前後になります(20人×22日×84%×12単位)。地域区分「その他」(1単位10.00円)での試算では、月約2.2万円弱の減収になる計算です。実際の収支への影響はシミュレーターで確認できます。

処遇改善加算は基本報酬と他の加算の合計に対して比率で加算される

処遇改善加算は、職員の賃金改善を目的に設けられた加算です。基本報酬と人員配置体制加算・送迎加算等の合計単位数に加算率を掛けて計算します(根拠:告示523)。加算の区分(Ⅰ〜Ⅵ)は、事業所の体制(キャリアパス要件等)によって決まります。

処遇改善加算の区分と加算率(生活介護・根拠:告示523)
加算の区分 加算率
処遇改善加算(Ⅰ) 9.3%
処遇改善加算(Ⅱ) 9.7%
処遇改善加算(Ⅲ) 9.2%
処遇改善加算(Ⅳ) 9.6%
処遇改善加算(Ⅴ) 7.9%
処遇改善加算(Ⅵ) 6.7%

処遇改善加算の取得区分によって、月収入が数万円単位で異なります。加算率の分母(対象となる単位の合計)が大きいほど、処遇改善加算の金額も大きくなります。たとえば月間の収入単位合計が10,000単位の事業所で処遇改善加算(Ⅰ)(9.3%)を取得すると、処遇改善加算は930単位分が上乗せされます。

なお、処遇改善加算の算定に必要な体制(キャリアパス要件・職場環境等要件・賃金改善の実績)は事前に整備する必要があります。開業前に体制を確認し、最低でも算定できる区分(Ⅴ・Ⅵ)から始めて、段階的に要件を整えていく流れが現実的です。

加算の組み合わせで、月収入はどのくらい変わるか

加算の取得状況によって、同じ定員・稼働率でも月収入が大きく異なります。以下は、定員20人・稼働率84%・所要時間6〜7時間未満・障害支援区分の構成(区分6/5/4/3/2以下=20/20/30/20/10%)・月稼働22日・地域区分「その他」(1単位10.00円)という条件で、加算の取得パターンを変えた場合のイメージです。

  • 基本報酬のみ(加算なし・処遇改善加算なし):月収入は基本報酬の試算値のみ(目安として約298万円前後)
  • 送迎加算(Ⅰ)を行き帰り両方取得した場合(区分5・6は60%未満と仮定):21単位×2回×稼働日数分が上乗せ
  • 送迎加算(Ⅰ)・区分5・6が60%以上・食事提供体制加算も取得した場合:送迎に+28単位・食事に+30単位が加算される
  • 処遇改善加算(Ⅰ)(9.3%)を取得した場合:上記の合計単位数がさらに9.3%増える

加算の組み合わせによっては、基本報酬の試算値から数十万円単位で収入が変わります。加算の単位数と月収入への影響は、シミュレーターで定員・稼働率・加算の選択を変えながら確認することをおすすめします。

加算を取る前に確認すること

加算を取得するには、要件を満たしていることを運営規程や体制届(変更届)に反映し、指定権者(都道府県・指定都市・中核市)に届け出る必要があります。要件を満たさずに加算を請求した場合は過誤請求となるため、以下の点を開業前に確認してください。

  • 人員配置体制加算:利用者の区分5・6の構成比率と、実際の職員配置数が要件を満たすか。職員数の計算には「これに準ずる者」を含めないことに注意する
  • 送迎加算:送迎の記録(送迎票等)を整備すること。区分5・6の割合は毎日の利用者の実績で判断する
  • 食事提供体制加算:令和9年3月31日を過ぎたら算定できなくなるため、収支計画に時限措置であることを反映する
  • 処遇改善加算:キャリアパス要件の整備・就業規則への記載・賃金改善計画の作成が必要。開業時から体制を整えておくと後の手続きが楽になる

未対応の加算について(開業時点では算定できない加算もある)

生活介護には、この記事で扱った加算のほかにもさまざまな加算・減算があります。ただし、開業直後から算定できるものと、一定期間の実績や体制が必要なものがあります。また、次の加算については、要件の詳細確認が別途必要です。

  • 常勤看護職員等配置加算(対象者の定義の確認が必要)
  • 重度障害者支援加算・延長支援加算・欠席時対応加算・初期加算・入浴支援加算・喀痰吸引等実施加算・上限額管理加算

開業計画の段階で収支を試算する場合は、まず取得が確実な加算(送迎加算・食事提供体制加算・処遇改善加算)と、人員配置体制加算の取得予定段階を想定して試算することをおすすめします。

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出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(告示523・令和8年6月施行)、指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(留意事項通知)、指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(告示551)、厚生労働省「令和7年度障害福祉サービス等経営概況調査」(令和6年度決算)。記載の内容は当方が一次資料を確認・整理したものです。当方は資格者ではなく、内容は情報提供を目的とするものです。個別の加算の算定可否については、指定権者(都道府県・指定都市・中核市)または国保連にご確認ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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