グループホーム包括型の法人形態別収支差率、社会法人8.5%・営利2.3%の差の理由

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厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)では、グループホーム(介護サービス包括型)の収支差率を法人形態別に確認できます。GH包括型は就労移行支援と同様に、社会法人・NPO法人の収支差率が高く、営利法人が低い傾向があります。

法人形態別の収支差率一覧

法人形態 事業所数 平均定員 平均年収入 収支差率
その他 24件 16人 2,711万円 13.2%
NPO法人 56件 12人 2,484万円 8.7%
社会法人(他含む) 142件 19人 5,236万円 8.5%
営利法人 119件 14人 3,470万円 2.3%

調査341事業所の中で社会法人が142件(42%)・営利法人が119件(35%)と多いです。収支差率は社会法人8.5%に対して営利法人2.3%と、6.2ポイントの差があります。

社会法人・NPOのGH包括型が高収支差率な理由

社会法人(8.5%)・NPO法人(8.7%)が高い収支差率を出している理由として、次の要因が考えられます。

  • 平均定員の差:社会法人は平均定員19人と最大規模です。GHでは定員が多いほど固定費(賃料・夜間支援員等)が分散され、1人あたりの費用が下がります。社会法人は規模の経済が効きやすい水準にあります
  • 他の事業との共同運営:社会法人が複数の事業を持ち、施設・職員の共有ができている場合、GH単体の費用コストが低くなる傾向があります
  • NPOは小規模・低コスト:NPO法人の平均定員12人・年収2,484万円と小規模ですが、賃料等の固定費が低い住宅型の施設が多い傾向があります

営利法人のGH包括型が収支差率2.3%にとどまる理由

営利法人の119事業所の平均年収入は3,470万円・平均定員14人で、収支差率は2.3%と低い水準です。その背景として次の要因があります。

  • 賃貸施設が多い:営利法人のGHは賃貸物件(アパート・一戸建て等)を借り上げて運営するケースが多く、家賃コストが費用全体に占める割合が高くなりやすい
  • 世話人・夜間支援員の確保コスト:営利法人では職員の給与水準を競合と合わせる必要があり、人件費率が上がりやすい構造がある
  • 定員14人・入居率の影響:WAM参考値85.7%で計算すると定員14人の場合、毎日約2人分が空き。収支差額が小さい(営利の場合801万円の差額)ため、空き居室の影響が大きい

放デイとの対比:法人形態別の傾向が逆転するサービスと同じサービス

サービス 社会法人の収支差率 営利法人の収支差率
放課後等デイサービス ▲2.0%(赤字) 12.6%
就労移行支援 11.7% 2.6%
GH包括型 8.5% 2.3%
GH日中型 3.6% 3.9%(ほぼ同水準)
生活介護 6.1% 5.7%(ほぼ同水準)

放デイは営利法人が圧倒的に高く、就労移行支援・GH包括型は社会法人が高いという傾向が出ています。これはサービスの特性(加算体系・規模の経済・運営コスト構造)と法人形態の相性によって決まります。

GH包括型の職員別月給(全体平均)

GH包括型の調査事業所全体の職種別月給参考値は次のとおりです。

職種 常勤月給 非常勤月給
施設長・管理者 319,884円 —
サービス管理責任者 301,706円 —
世話人 231,146円 113,451円
夜間支援従事者 214,478円 92,219円

GH包括型は世話人・夜間支援従事者が主な直接支援職種です。世話人は常勤231,146円・非常勤113,451円と、非常勤を活用することで人件費を抑えやすいサービスです。この特性が人件費率61.7%(7サービス中最低)につながっています。

法人形態別の人件費率の差も、常勤・非常勤の配置比率の違いが大きな要因です。非常勤(パート)世話人の活用が多い事業所ほど人件費率が低く、収支差率が高くなりやすい構造です。

GH包括型の収支診断での法人形態の位置づけ

自事業所が営利法人の場合、全国平均2.3%が同法人形態の参考水準です。2.3%を上回っている場合は相対的に好調と見なせますが、全体の目標としては6〜9%台(社会法人・NPO水準)を目指して改善策を検討することが経営改善の方向性です。

改善のために確認すべき指標は、他の法人形態と共通して「入居率・人件費率・加算の取得状況」の3点です。

営利法人のGH包括型が収支差率を改善するための方向性

営利法人が2.3%から6〜8%台に収支差率を改善するためには、次の取り組みが有効です。

  • 入居率の向上(85.7%→90%以上):WAM参考値85.7%から90%以上に改善すると、定員16人・年収3,990万円ベースで年間約443万円の収入増加が見込まれます(試算値)。相談支援事業所への積極的な情報提供と空き居室の早期充足が優先課題です
  • 世話人の非常勤化:世話人を非常勤中心のシフトに切り替えることで人件費を削減できます。常勤換算の配置基準を満たすことを前提に、非常勤世話人の活用を最大化します
  • 夜間支援等体制加算(Ⅰ)の取得:夜間支援員を所定の要件で配置する場合に取得できる加算です。要件を満たしているか確認し、未取得の場合は申請します

これらの取り組みを組み合わせることで、営利法人でも6〜8%台の収支差率を達成している事業所があります。法人形態別の全国水準はあくまで参考であり、個別の改善取り組みによって全国水準を超えることは可能です。

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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。法人形態別の詳細は同調査の事業所別集計にもとづきます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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