認知症グループホームの介護計画書|ケアプランの作成・更新・保管の義務

認知症対応型共同生活介護(認知症GH)では、入居者一人ひとりに対して居宅サービス計画(ケアプラン)と個別介護計画(介護計画書)を作成することが義務付けられています。この記事では、計画書の種類・作成者・作成頻度・記載内容・保管義務について整理します。

居宅サービス計画(ケアプラン)と個別介護計画の違い

認知症GHの計画書には大きく2種類があります。

種類 作成者 目的 根拠
居宅サービス計画(ケアプラン) 計画作成担当者(認知症介護実践者研修修了者) 入居者の生活全体の支援方針・サービス内容を定める 平成18年厚生労働省令第34号第93条
個別介護計画 管理者または介護担当者 居宅サービス計画を具体的なケア手順に落とし込む 事業所の独自様式・ケアの実施指示書として機能

認知症GHでは、居宅サービス計画を計画作成担当者が作成する点が特徴です(居宅介護支援事業所のケアマネジャーは原則として関与しません)。

ケアプランの作成・更新頻度

ケアプランは以下のタイミングで作成・更新します(基準省令第93条)。

  • 入居時:入居後速やかに(おおむね1か月以内に)作成
  • 定期的な見直し:少なくとも6か月に1回以上の見直し(モニタリング)
  • 状態変化時:要介護度の変更・身体状況の大幅な変化・希望の変更があった場合は随時見直し

ケアプランに記載すべき内容

厚生労働省が示すケアプランの様式(第1表〜第7表)に沿って作成します。認知症GHで特に重要な記載内容を整理します。

様式 主な記載内容
第1表(居宅サービス計画書1) 生活に対する意向・解決すべき課題・長期目標・短期目標
第2表(居宅サービス計画書2) サービス内容・提供頻度・担当者
第3表(週間サービス計画表) 一週間のケアの流れ(起床・食事・入浴・就寝時間帯)
第4表(サービス担当者会議の要点) 担当者会議(サービス検討会議)の日時・参加者・内容
第5表(居宅介護支援経過) 計画作成担当者によるモニタリングの記録

サービス担当者会議(ケア会議)の開催義務

ケアプランの作成・変更時には、サービス担当者会議(ケア会議)の開催が義務付けられています(基準省令第93条)。会議では以下を確認します。

  • 入居者・家族の意向の確認
  • 担当する職員(介護従業者・医師・看護師等)の意見交換
  • ケアの方針・短期目標・具体的な支援内容の確認
  • 会議の記録(第4表)の作成・保管

計画書の保管義務

ケアプラン・個別介護計画は、サービス提供が終了した日から2年間保管することが義務付けられています(基準省令第106条)。電子データでの保管も可能ですが、実地指導時に提示できる状態にしておく必要があります。

運営基準の全体像は「運営基準」、BPSDへの対応と計画書の連動については「BPSD(行動・心理症状)への対応」、実地指導対策は「実地指導の準備」で確認できます。収支の試算は「認知症グループホーム収支シミュレーター」をご活用ください。

ケアプランの目標の立て方

ケアプランの目標は「長期目標」と「短期目標」の2段構えで設定します。認知症GHでのケアプランにおける目標設定の考え方を整理します。

種類 目安期間 記載の考え方
長期目標 1〜2年 入居者の生活の質・自立度・本人の希望に基づく最終的な方向性(例:「自分のペースで安心して生活を送ることができる」)
短期目標 3〜6か月 長期目標に向けた具体的なステップ(例:「毎食、介助を受けながらも椅子に座って食事ができる」)

目標は本人・家族の希望を反映させることが重要です。サービス担当者会議での意見も踏まえて設定します。

ケアプランのよくある不備と対策

実地指導でよく指摘されるケアプランの不備と対策を整理します。

  • 入居者・家族の同意署名がない:計画書を家族に説明し、署名・押印をもらう。遠方の場合は郵送でも対応
  • 目標が抽象的すぎる:「元気に過ごす」ではなく「週3回、食堂で他の入居者と食事ができる」のように具体的に
  • モニタリング記録がない・日時が空白:6か月に1回のモニタリング実施と記録を記録に残す
  • サービス担当者会議の記録がない:第4表を作成し、日時・出席者・決定事項を記録する

電子化(ICT活用)と記録管理

介護記録・ケアプランの電子化は令和6年改定以降も推進されています。電子化のメリットと注意点を整理します。

  • メリット:検索性の向上・複数拠点でのデータ共有・記録時間の短縮
  • 注意点:システム障害時のバックアップ・電子署名の法的有効性の確認・個人情報のアクセス制限

計画書の記録管理は運営基準第106条(記録の整備)に基づいています。実地指導の準備は「実地指導の準備」、BPSD対応との連動は「BPSDへの対応」でご確認ください。

介護計画書に関するよくある質問

Q: ケアプランは入居者本人に説明する必要がありますか?

はい。認知症があっても、本人が理解できる範囲での説明と意向の確認が必要です。本人の理解が困難な場合は家族・後見人が説明の主な相手となりますが、本人への声かけも行い、記録に残します。

Q: ケアプランとBPSD対応計画はどう連動しますか?

BPSDへの対応手順は個別介護計画(または別途BPSD対応計画)に記載し、ケアプランの「サービス内容」と整合させます。BPSD対応の変更があった場合は、ケアプランの短期目標も見直すことが基本です。BPSDについては「BPSDへの対応」を参照してください。

Q: 家族が遠方でサービス担当者会議に参加できない場合は?

電話・ビデオ通話での参加が認められています(令和3年改定以降)。参加できない場合でも、議事録を送付して確認・署名をもらうことで対応できます。

(根拠:平成18年厚生労働省令第34号第93条・第106条)収支の試算は「認知症グループホーム収支シミュレーター」をご活用ください。

まとめ

認知症GHにおける介護計画書(ケアプラン・個別介護計画)の作成は、入居者の生活の質を支える基盤となる業務です。6か月に1回以上のモニタリング・状態変化時の随時見直し・サービス担当者会議の開催・記録の適切な保管が義務の骨格です。ICTを活用して記録の効率化を図りながら、計画書の内容が実際のケアに反映されているかを継続的に確認することが重要です。実地指導では計画書と実際のサービスの整合性も確認されます。収支の試算は「認知症グループホーム収支シミュレーター」をご活用ください。

計画書の作成・更新に関して、認知症GHが最初に取り組むべきポイントは、計画作成担当者の配置と研修修了の確認です。計画作成担当者は認知症介護実践者研修の修了が要件(基準省令第93条)となっており、開業前に確認しておくことが重要です。詳細は「職員採用の進め方」と「法定研修の義務」でご確認ください。加算の取得状況とあわせて収支の試算は「認知症グループホーム収支シミュレーター」でご活用ください。

(根拠:平成18年厚生労働省令第34号第93条(計画の作成)・第106条(記録の整備)。ケアプランの様式は厚生労働省通知「認知症対応型共同生活介護の居宅サービス計画の様式について」に基づいています。)

開業・運営に関する収支全体の試算には「認知症グループホーム収支シミュレーター」をご利用ください。加算や稼働率の条件を変えながらシミュレーションできます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

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