児童発達支援の収入は、どう計算するのか。

児童発達支援の収入は、どう計算するのか。 放課後等デイサービス・児童発達支援

児童発達支援の収入は、「1日の単位数(基本報酬と加算)」を、子どもが利用した日数の分だけ数え、処遇改善加算の率を上乗せして、1単位の単価(10円から11.20円)を掛けて計算します。例えば、定員10人・1日に平均6.5人・月22日の事業所(3級地・令和8年6月以降の新規指定・処遇改善加算IIイ)で、基本報酬だけなら、月の収入は約164万円です。この記事では、計算に使う5つの要素を、告示の原文で確認しながら、順番にたどります。

児童発達支援の収入は、何を掛け合わせて決まりますか

収入は、次の5つで決まります。告示は、費用の額を「別表障害児通所給付費等単位数表第1、第3、第4及び第5により算定する単位数に別にこども家庭庁長官が定める一単位の単価を乗じて得た額」と定めています(平成24年厚生労働省告示第122号)。

  1. 基本報酬の単位数:子ども1人が1日利用したときの単位数です。時間区分と、利用定員で決まります。
  2. 加算の単位数:基本報酬に、加わる単位数です。「所定単位数に加算する」と定められています。
  3. 利用のべ人数:子どもが、その月に、延べ何人・何日利用したかです。1日に6.5人が来て、月に22日開けば、143(人・日)です。
  4. 処遇改善加算の率:基本報酬と加算の単位数の合計に、掛ける率です。
  5. 1単位の単価:地域で決まる金額です。10円に、地域ごとの割合を掛けて決まります。

計算した額に、1円未満の端数があるときは、切り捨てます(告示第122号)。この記事の計算は、単位数の端数を細かく処理しない目安です。

基本報酬は、子ども1人・1日で、いくらですか

児童発達支援センター以外の事業所で、主に小学校就学前の障害児(未就学児)を通わせ、医療的ケア区分などに当たらない一般の区分の場合、定員10人以下の事業所の基本報酬は、1人・1日あたり、901単位(時間区分1)・928単位(時間区分2)・980単位(時間区分3)です。定員が大きくなるほど、1人あたりの単位数は、小さくなります。

利用定員 時間区分1 時間区分2 時間区分3
10人以下 901単位 928単位 980単位
11人以上20人以下 652単位 671単位 707単位
21人以上 536単位 551単位 580単位

時間区分1は、支援の提供時間が30分以上1時間30分以下、時間区分2は1時間30分超3時間以下、時間区分3は3時間超5時間以下です。児童発達支援給付費(1日につき)。児童発達支援センター以外・主に未就学児・医療的ケア区分1〜3に該当しない障害児について算定する場合。平成24年厚生労働省告示第122号の別表(令和8年6月適用の全文)で確認。時間区分は、個別支援計画に定めた、支援の提供時間で決まります。

主に未就学児以外を通わせる場合や、医療的ケア区分、児童発達支援センター、主として重症心身障害児を通わせる事業所は、単位数の表が別です。この記事では扱いません。

加算は、いくら上乗せされますか

主な加算は、基本報酬と同じく、利用した子ども1人・1日ごとに、単位数が加わります。告示は、加配加算などを「1日につき次に掲げる単位数を所定単位数に加算する」と定めています。事業所全体で1日に1回、加わるわけではありません。

加算 単位数(定員10人以下) 加わる単位
児童指導員等加配加算 常勤専従・経験5年以上 187/常勤専従 152/経験5年以上(常勤換算)123/児童指導員等(常勤換算)107/その他の従業者 90 利用児童1人・1日ごと
専門的支援体制加算 123 利用児童1人・1日ごと
福祉専門職員配置等加算 (Ⅰ)15/(Ⅱ)10/(Ⅲ)6 利用児童1人・1日ごと
医療連携体制加算 (Ⅰ)32/(Ⅱ)63/(Ⅲ)125 看護を受けた児童1人・1日ごと(1回の訪問につき8人が上限)
送迎加算 54 送迎1回(片道)ごと

告示第122号の別表(令和8年6月適用の全文)で確認。加配加算と専門的支援体制加算は、定員が11人以上20人以下、21人以上では単位数が小さくなります(加配加算の常勤専従・経験5年以上は、125と75。専門的支援体制加算は、82と49)。

加配加算と専門的支援体制加算は、基準で必要な従業者に加えて、児童指導員等または理学療法士等を、1以上配置し、都道府県知事へ届出をした事業所が算定できます(告示第122号の注)。「1以上」なので、配置する人数を増やしても、加算の単位数は増えません。一方、配置した専門職の人件費は、事業所が負担します。加算を取ることは、人を増やすことと、セットです。

処遇改善加算は、何に掛けて計算しますか

処遇改善加算は、処遇改善加算を除いた、基本報酬と加算の単位数の合計に、区分ごとの率を掛けて計算します(告示は、「1から12の5までにより算定した単位数の1000分の152に相当する単位数」のように定めています)。令和8年6月以降の児童発達支援の率は、区分Ⅰイが15.2%、Ⅰロが15.8%、Ⅱイが14.9%、Ⅱロが15.5%、Ⅲが13.9%、Ⅳが11.7%です。

処遇改善加算の区分 児童発達支援の率
Ⅰイ 15.2%
Ⅰロ 15.8%
Ⅱイ 14.9%
Ⅱロ 15.5%
Ⅲ 13.9%
Ⅳ 11.7%

厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(報告)」の加算率の表。「福祉・介護職員等処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に上記の加算率を乗じる」との注記があります。区分ごとに要件があり、都道府県知事への届出が必要です。

処遇改善加算は、福祉・介護職員などの賃金の改善に充てるための加算です。事業所の収入に含まれますが、賃金改善に充てる必要があります。収支を見るときは、この分を、利益とは別に考えてください。

1単位の単価は、地域で、どう変わりますか

1単位の単価は、10円に、地域区分ごとの割合を掛けた額です。児童発達支援センター以外で、主として重症心身障害児以外の障害児を通わせる場合、1級地は10円の1.120倍の11.20円、3級地は1.090倍の10.90円、その他の地域は10.00円です(告示第128号)。

地域区分 10円に掛ける割合 1単位の単価
1級地 1.120 11.20円
2級地 1.096 10.96円
3級地 1.090 10.90円
4級地 1.072 10.72円
5級地 1.060 10.60円
6級地 1.036 10.36円
7級地 1.018 10.18円
その他 1.000 10.00円

こども家庭庁長官が定める一単位の単価(平成24年厚生労働省告示第128号)。1級地から5級地の割合と単価は、告示の原文で確認。6級地・7級地・その他は、カイポケ「放デイ・児発など障害児支援サービスの地域区分、1単位あたりの単価とは?」と、千葉県「障害児通所支援に係る地域区分及び1単位単価(令和6年度から)」で確認しました。どの市区町村がどの級地かは、自治体の資料で確認してください。

令和8年6月以降に新しく指定を受けると、どの部分が減りますか

令和8年6月1日以降に新しく指定を受けた児童発達支援事業所は、基本報酬の単位数が、所定単位数の1000分の988(約1.2%の引き下げ)になります。減るのは基本報酬で、加算の単位数は、減りません。ただし、処遇改善加算は、引き下げ後の基本報酬を含む合計に、率を掛けるため、その分は、少し小さくなります。

告示は、「所定単位数に代えて、イ及びロに掲げる単位数の1000分の988に相当する単位数を算定する」と定めています(第122号の注12)。次の場合は、その子どもについて、通常の単位数を算定します。医療的ケア区分1〜3に当たる子ども、強度行動障害児支援加算・人工内耳装用児支援加算・視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算を、その月に1日以上算定している子どもです。また、主として重症心身障害児を通わせる事業所、別に定める地域の事業所、都道府県知事が地域に特に必要として指定する事業所は、対象から除かれています。

実際に計算すると、月の収入はいくらになりますか

次の条件で、基本報酬だけの場合の月の収入を、順番に計算します。定員10人・稼働率65%(1日に平均6.5人)・月22日・時間区分2・3級地・令和8年6月以降の新規指定・処遇改善加算IIイです。答えは、約164万円(1,642,054円)です。

手順 計算 結果
1. 利用のべ人数 6.5人 × 22日 143人・日
2. 基本報酬(引き下げ前) 928単位 × 143 132,704単位
3. 新規指定の引き下げ 132,704 × 988/1000 131,111.6単位
4. 処遇改善加算(IIイ) 131,111.6 × 14.9% 19,535.6単位
5. 合計の単位数 131,111.6 + 19,535.6 150,647.2単位
6. 1単位の単価(3級地) 10円 × 1.090 10.90円
7. 月の収入 150,647.2 × 10.90円(1円未満切り捨て) 1,642,054円

児童発達支援の収支シミュレーターの計算(当方)。単位数は、小数第1位までを表示しています。実在の事業所の数字ではありません。

加算を足すと、収入は、次のように変わります。福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)は、6単位 × 143=858単位です。加配加算(経験5年以上・常勤換算の123単位)は、123単位 × 143=17,589単位です。

場合 加算の単位数 処遇改善(単位) 合計(単位) 月の収入(円)
基本報酬のみ 0 19,536 150,647 1,642,054
福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)を加える 858 19,663 151,633 1,652,799
さらに、加配加算(123単位・1人)を加える 18,447 22,284 171,843 1,873,086

上の条件と同じ。処遇改善加算は、IIイ(14.9%)。当方の計算。単位数は、小数点以下を丸めて表示しているため、合計が1つ違うことがあります。

加配加算を加えると、収入は、約22.0万円増えます(1,873,086円と1,652,799円の差)。ただし、加配加算を取るには、基準の人員に加えて、専門職を1人以上配置する必要があります。この人件費を、時給1,400円・月160時間(22.4万円)と仮定すると、増える収入と、ほぼ同じ大きさです。加算は、取れば得になる、とは限りません。

計算した収入は、そのまま入金されますか

計算した額は、費用の額です。障害児通所給付費の額は、費用の額から、利用者負担を引いた額です。利用者負担は、世帯の家計の負担能力などに応じて政令で定める額で、費用の額の10分の1が上限です(児童福祉法第21条の5の3)。市町村は、給付費を、保護者に代わって事業所に支払うことができ(児童福祉法第21条の5の7)、事業所は、給付費と、保護者が支払う利用者負担の両方を、受け取ります。満3歳になって初めての4月1日から3年間の子どもは、利用者負担が無料です。この場合の請求上の扱いは、指定権者と国保連合会の案内で、確認してください。

請求から入金までには、日数がかかります。開業直後は、収入が入る前に、家賃と人件費が先に出ます。請求と入金の日程は、国保連合会の案内で確認してください。

自分の数字で計算するには、どうすればいいですか

児童発達支援の収支シミュレーターは、この記事の計算の順番で、収入を計算します。地域区分・定員・時間区分・稼働率・加算・処遇改善加算の区分を入力すると、開設準備期間から3年間の収支と資金繰り、必要な資金の目安が分かります。加算は、利用した子ども1人・1日ごとに加わる形で計算し、加配加算と専門的支援体制加算は、配置する専門職の人件費を、費用に加えます。

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よくある質問

Q. 加配加算は、どの事業所でも取れますか

いいえ。基準で必要な従業者に加えて、児童指導員等(またはその他の従業者)を1以上配置し、都道府県知事へ届出をした事業所が、算定できます。単位数は、配置する職員の区分(常勤専従か、常勤換算か、経験5年以上か)で、5つに分かれます。

Q. 稼働率は、どう決めればいいですか

稼働率は、定員に対して、実際に1日に埋まる割合です。定員10人で稼働率65%なら、1日に平均6.5人です。決め方の決まりはありません。全国の定員10人以下の児童発達支援の年間収入の平均は、約1,820万円です(厚生労働省「令和7年経営概況調査」・令和6年度決算)。この水準に近い試算になる稼働率は、およそ65%です(当方の計算)。開業する地域の需要で、必ず見直してください。

Q. 主に未就学児以外を通わせる場合や、医療的ケア児がいる場合も、同じ計算ですか

計算の順番は同じですが、基本報酬の単位数が違います。主に未就学児以外を通わせる場合は、時間区分1の定員10人以下で781単位です。医療的ケア区分1〜3は、単位数がさらに大きくなります(告示第122号の別表)。収支シミュレーターは、主に未就学児で、医療的ケア区分に当たらない一般の区分だけに対応しています。

まとめ

  • 収入は、基本報酬と加算の単位数を、利用のべ人数の分だけ数え、処遇改善加算の率を上乗せして、1単位の単価を掛けて計算する
  • 基本報酬は、定員10人以下・主に未就学児・一般の区分で、901/928/980単位(時間区分1〜3)
  • 加算は、基本報酬と同じく、利用した子ども1人・1日ごとに加わる。加配加算は「1以上配置」で、人数は掛けない。専門職の人件費は別にかかる
  • 令和8年6月以降の新規指定は、基本報酬が1000分の988になる。加算は減らない
  • 1単位の単価は、10円から11.20円。計算した額は、費用の額で、給付費と利用者負担を合わせた額

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出典:厚生労働省 法令等データベース「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準」(平成24年厚生労働省告示第122号・令和8年6月適用の全文)、同「こども家庭庁長官が定める一単位の単価」(平成24年厚生労働省告示第128号)、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第21条の5の3(e-Gov法令検索)、厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(報告)」、厚生労働省「就学前障害児の発達支援の無償化について」(令和元年8月29日発出版)、厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)、カイポケ「放デイ・児発など障害児支援サービスの地域区分、1単位あたりの単価とは?」、千葉県「障害児通所支援に係る地域区分及び1単位単価(令和6年度から)」(いずれも2026年9月24日確認)。作成:fufumumu_design(ふふ)。基準日:2026年9月24日。報酬や基準は改定される場合があるため、最新の告示・通知と、指定権者の案内をご確認ください。この記事は、開業を考える方が、自分で判断するための情報で、行政書士などの資格者による代行ではなく、収益・融資・指定を保証するものではありません。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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