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有料老人ホームの料金設定で「入居一時金ゼロプラン(月額制)」を選択すると、開業時の入居者確保が容易になる一方、毎月の月額費用を収益の柱にする必要があります。初期の資金繰りの見通しと、月額費用だけで固定費を賄えるかを収支計画で確認してから設定することが重要です。
入居一時金ありプランとゼロプランの収支構造の違い
| 項目 | 入居一時金あり | 入居一時金ゼロ(月額制) |
|---|---|---|
| 開業初期の収入 | 入居者1名ごとに入居一時金を一括受領できる | 入居時の一括収入はなく、月額費用の累積が収入になる |
| 月額費用の水準 | 入居一時金で先払いした分を月額に組み込まない設定ができる(月額を低く設定しやすい) | 入居一時金ゼロの分を月額で回収する必要があるため、月額が高めになりやすい |
| 初期の資金繰り | 入居一時金収入で初期費用・運転資金をある程度まかなえる | 月額費用が積み上がるまで収入が少ない。開業後1〜2年は赤字になりやすい |
| 入居者の集まりやすさ | 初期費用の大きさが入居障壁になることがある | 初期費用が少なく、入居ハードルが低い。短期志向の入居者が集まりやすい |
| 短期退去のリスク | 入居一時金は償却期間内に退去した場合、未償却分を返還する義務がある | 退去しても返還すべき一時金がない。短期退去でも損失は発生しにくい |
入居一時金の「初期償却」と返還義務の関係
入居一時金を受け取るプランでは、省令に基づき「返還金の算定方法」を重要事項説明書に記載する義務があります〔⚠️「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(省令)で確認してください〕。短期解約特例(入居後90日以内)では、受領した入居一時金のうち返還金の算定方法に従った未償却分を返還しなければなりません。
ゼロプランにはこの返還義務がないため、契約・経理処理がシンプルになりますが、代わりに月額での長期回収を前提にした財務計画が必要です。
ゼロプランの月額単価の考え方
入居一時金ゼロのプランで月額を設定するときは、以下の費用を月額収入でまかなえるかを確認します。
| 費用項目 | 月額単価への反映の考え方 |
|---|---|
| 人件費(介護・看護・管理職員) | 稼働率が低い時期も職員数を確保する必要があるため、最低稼働率でも赤字にならない月額を設定する |
| 建物賃料・減価償却 | 入居者数にかかわらず毎月発生する固定費。1室あたりの月額負担額を計算して月額単価に組み込む |
| 食費・光熱費等の変動費 | 入居者1名あたりの実費をもとに設定する |
| 介護保険の自己負担相当分 | 介護報酬は事業者収入になるが、入居者の1〜3割負担分は利用者から受け取る |
開業後の稼働率と資金繰りの見通し
ゼロプランで開業する場合、入居者が埋まるまでの期間(通常開業後6か月〜1年)は月額収入が少なく、固定費との差額が赤字になります。この期間を乗り切るための運転資金(最低3〜6か月分の固定費相当)を開業前に確保しておくことが不可欠です。
稼働率が収支に与える影響については「有料老人ホームの稼働率、全国の平均と損益分岐の関係。」をご覧ください。入居一時金の返還金の計算方法については「有料老人ホームの退去・解約手続き、入居一時金の返還と対応のポイント。」で整理しています。
月額・入居一時金の両プランを含む収支シミュレーションは有料老人ホーム開業 収支シミュレーターでご確認ください。
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出典:「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(厚生労働省令)・「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」(厚生労働省)。詳細は必ず原文および都道府県の担当窓口でご確認ください。当サイトは資格者ではなく、内容の正確性を保証しません。


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