訪問看護のターミナルケア、在宅での看取りを研修で扱う。

訪問看護のターミナルケア、在宅での看取りを研修で扱う。 介護





訪問看護のターミナルケア、研修で扱うことと加算の算定要件。

訪問看護のターミナルケア、研修で扱うことと加算の算定要件。

訪問看護でのターミナルケアは、利用者が最期の場所として「在宅」を選んだ場合に対応する支援です。「看取りの場が病院から自宅へ」という流れが続く中で、訪問看護ステーションにとって避けられないテーマになっています。

この記事では、ターミナルケアの研修で扱うべき内容と、ターミナルケア療養費(加算)の算定要件を整理します。

訪問看護でのターミナルケアとは。

ターミナルケアとは、余命が限られた状態(終末期)にある利用者に対して、身体的な苦痛を和らげながら、その人らしい最期を支えるための支援です。医療処置だけでなく、精神的な支援・家族への支援・看取りの対応が含まれます。

在宅での看取りは、家族と医師・訪問看護・ケアマネジャー等の連携によって成立します。訪問看護師は、身体的な変化の観察・医師への報告・家族への説明・亡くなった後の死後のケアまでを担う役割があります。

ターミナルケアの研修で扱うべき内容。

ターミナルケアは義務の研修テーマではなく、訪問看護ステーションの固有の追加テーマとして位置づけられています(虐待防止・感染症・BCPのような法定義務とは異なります)。ただし、利用者が終末期を迎えたときに職員が適切に対応できるよう、施設内での教育を整備しておくことが重要です。

研修で扱うべき内容の例は次のとおりです。

  • 終末期の身体変化の観察:死が近づいたときの身体サイン(呼吸のパターン変化・四肢の冷感・チアノーゼ・下顎呼吸等)の見方と記録
  • 苦痛の緩和:疼痛コントロール(医師の指示に基づく鎮痛剤の使用)・体位変換・口腔ケア・浮腫への対応
  • ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の理解:利用者・家族が「どこで・どのように最期を迎えたいか」を事前に話し合うプロセス。訪問看護師は意思確認の場に関わることがある(厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」2018年より)
  • 家族への支援:急変時の対応方法の説明・24時間体制での緊急対応・グリーフケア(死後の家族への精神的支援)
  • 医師・ケアマネジャーとの連携:主治医への報告のタイミング・死亡確認の手順・死亡診断書の交付フロー
  • ターミナルケア療養費の算定:算定要件の理解と記録の整備(後述)

ターミナルケア療養費の算定要件。

訪問看護ステーションがターミナルケアを提供した場合、「ターミナルケア療養費」として加算を算定できます(医療保険適用の場合)。介護保険適用の場合は「ターミナルケア加算」として別に定められています。

ターミナルケア療養費(医療保険・訪問看護療養費)の算定要件の主な内容は次のとおりです(厚生労働省「訪問看護療養費に係るターミナルケアの基準」より)。

  • 在宅で死亡した利用者について算定する(病院・施設に搬送後に死亡した場合は原則不可)
  • 死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上の訪問看護を実施していること
  • ターミナルケアの提供に際し、利用者・家族等に対して十分な説明を行い、その意向を尊重していること
  • 訪問看護ステーションが24時間連絡できる体制にあること(緊急時訪問看護加算の算定が前提)

(出典:厚生労働省「訪問看護療養費に係るターミナルケアの基準」)

介護保険のターミナルケア加算については、一定期間を通じた関与の状況・利用者・家族への意向確認・医師との連絡体制の整備等が算定要件になります。詳細は指定訪問看護事業所向けの告示・通知または指定権者に確認してください。

算定に必要な記録。

ターミナルケア療養費・ターミナルケア加算を算定するためには、記録が整っていることが前提です。記録に含める内容の例は次のとおりです。

  • 死亡日および死亡日前14日以内の訪問記録(日時・訪問者・実施内容)
  • 利用者・家族へのターミナルケアに関する説明の記録(説明日・内容・本人または家族の反応)
  • 主治医との連絡・調整の記録
  • 急変時の対応記録(呼吸停止確認の時刻・連絡先・対応内容)
  • 死後のケアの記録

算定漏れが起きやすいのは「訪問は実施していたが記録が不十分で算定できなかった」というケースです。ターミナルケアの研修では、算定要件の確認を含めて実施することが、ステーション全体の収入管理としても重要です。

「在宅看取り」の件数は収益に直結する。

ターミナルケア療養費・ターミナルケア加算は、他の加算と比較して1件あたりの単価が高い加算です。在宅看取りに積極的に対応しているステーションは、年間で一定件数の算定が収益に貢献します。

看取りへの対応は「利用者・家族が最期の場所として在宅を選んだとき、実際に支えられるか」という問いに、ステーションとして答えることです。そのための準備(24時間対応体制・医師との連携・職員への研修)は、加算の算定よりも先に整備されるべきことです。

研修・訓練キットを活用する。

訪問看護ステーションのターミナルケアに関する研修教材・確認テスト・記録様式をまとめたキットを公開しています。ACP・苦痛の緩和・看取り後の記録・ターミナルケア療養費の算定要件まで含めた内容です。

▶ 訪問看護ステーション 法定研修・訓練キット


出典:厚生労働省「訪問看護療養費に係るターミナルケアの基準」・厚生労働省「特別管理加算・緊急時訪問看護加算・ターミナルケア療養費の算定要件」(令和6年度改定版)・厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年3月改訂版)。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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