グループホームで算定できる加算の種類。収入に影響する主要加算をまとめます。
障害者グループホーム(共同生活援助)で算定できる加算は、告示上10種類以上あります(出典:平成18年厚生労働省告示第523号)。このうち収入への影響が大きいのは、夜間支援等体制加算・人員配置体制加算・重度障害者支援加算・処遇改善加算の4つです。基本報酬だけで収支を考えると見込みを誤ることがあります。加算の種類と要件を把握したうえで収支計画を組み立てることが、収支予測の精度を上げる近道です。
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グループホームの加算は、4つのグループに分類できる。
グループホームで算定できる加算は多岐にわたりますが、性質によって次の4グループに整理できます(出典:平成18年厚生労働省告示第523号)。
| グループ | 主な加算 | 収入への影響の目安 |
|---|---|---|
| 夜間・人員体制系 | 夜間支援等体制加算(I)〜(III)・人員配置体制加算 | 大(定員・配置体制で毎月変動) |
| 利用者の状態系 | 重度障害者支援加算・医療的ケア対応支援加算 | 中〜大(対象利用者の在籍数による) |
| 処遇改善系 | 福祉・介護職員処遇改善加算(I)〜(IV) | 大(月次報酬合計の数%単位で上乗せ) |
| 体験・移行系 | 体験利用支援加算・障害者支援施設からの退所者等受入加算 | 小〜中(対象利用者が生じたときのみ) |
収支計画の精度を高めるには、基本報酬に加えて、上記のうちどの加算を「毎月継続して算定できるか」を見極めることが鍵になります。単発の加算は収入の見通しに組み込みにくく、継続算定できる加算の積み上げが収益の柱になります。
夜間・人員体制系の加算は、開業時の体制設計で決まる。
夜間・人員体制系の加算は、毎月継続して算定できるものが多く、収入への影響が最も大きいグループです。
夜間支援等体制加算(I)〜(III)は、夜間・深夜帯の支援体制の充実度に応じて算定できる加算です(出典:平成18年厚生労働省告示第523号)。種類と概要は次のとおりです。
| 種類 | 体制の概要 | 単位数(目安) |
|---|---|---|
| 夜間支援等体制加算(I) | 夜間・深夜帯に夜間支援従事者が共同生活住居に宿泊・常駐 | 定員・住居数により異なる(告示の別表を参照) |
| 夜間支援等体制加算(II) | 夜間・深夜帯に複数の住居を巡回する体制 | 定員・住居数により異なる(告示の別表を参照) |
| 夜間支援等体制加算(III) | 警備会社等による緊急通報体制の整備 | 告示の別表を参照 |
3種類のうち(I)が最も単位数が大きく、体制が整えば1住居あたり月数万円規模の収入増になります。詳細な単位数と算定要件については夜間支援等体制加算の記事をあわせて参照してください。
人員配置体制加算は、夜間支援等体制加算(I)の算定を前提とし、さらに利用者に占める障害支援区分4以上の割合が一定以上であること、および職員の配置比率が一定以上であることを要件とする加算です(出典:平成18年厚生労働省告示第523号)。要件を満たす利用者1人につき1日あたり25単位が加算されます(目安・詳細は告示を確認)。定員15人のうち10人が要件を満たす場合、月25単位×10人×10円×30日=75,000円の収入増となります。詳細は人員配置体制加算の記事を参照してください。
重度障害者支援加算は、区分6の利用者1人につき1日100単位が上乗せされる。
重度障害者支援加算は、障害支援区分6の利用者を受け入れ、かつ夜間支援等体制加算(I)または(II)を算定している事業所に対して、対象利用者1人あたり1日100単位が加算される仕組みです(出典:平成18年厚生労働省告示第523号)。
| 条件 | 区分6の利用者1人あたりの月収入への影響(その他の地域・1単位10円・30日) |
|---|---|
| 重度障害者支援加算なし | 600単位×10円×30日 = 180,000円 |
| 重度障害者支援加算あり | (600+100)単位×10円×30日 = 210,000円 |
| 差額(加算による増収) | 30,000円/月・年間360,000円 |
区分6の利用者が5人在籍すれば、この加算だけで月15万円・年間180万円の収入増になります。ただし「地域における生活に移行するため重点的な支援を必要とする者」を除く除外規定があるため、具体的にどの利用者が算定対象になるかは指定権者に確認が必要です。詳細は重度障害者支援加算の記事を参照してください。
処遇改善加算は、基本報酬と他の加算の合計に対して一定率を上乗せする。
福祉・介護職員処遇改善加算は、職員の賃金改善を目的とする加算です。月次の算定額(基本報酬+他の加算の合計)に対して加算率を乗じた金額が上乗せされます(出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」)。
令和6年度改定後の共同生活援助における処遇改善加算率の目安は次のとおりです。
| 加算の種類 | 算定率(目安) | 主な要件 |
|---|---|---|
| 処遇改善加算(I) | 10.4%(目安) | 職員の資質向上・職場環境等の改善の取り組みを満たすこと等 |
| 処遇改善加算(II) | 7.5%(目安) | (I)よりやや要件が緩い |
| 処遇改善加算(III) | 4.1%(目安) | 最低限の取り組みを満たすこと |
| 処遇改善加算(IV) | 1.6%(目安) | — |
たとえば月次の算定額(基本報酬+夜間支援等体制加算+人員配置体制加算の合計)が150万円の事業所が処遇改善加算(I)を算定すると、150万円×10.4%=156,000円が上乗せされます。処遇改善加算は「利用者に直接支払われる報酬」ではなく職員の賃金原資として使途が定められているため、支出(人件費)も同額増えることに注意が必要です。詳細は処遇改善加算の記事を参照してください。
なお、算定率は告示・改定資料によって変更されることがあります。実際に申請する際は、都道府県・市区町村の指定権者が配布する最新の加算算定要件を確認してください。
体験・移行系の加算は、対象利用者が生じたときに算定できる。
体験・移行系の加算は、毎月継続算定するものではなく、特定の利用者に特定の事情が生じたときに算定するものです。収支計画の「メイン収入」には組み込まず、生じたときのプラスとして扱うのが現実的です。
体験利用支援加算は、地域移行支援や計画相談支援の対象利用者がグループホームに体験入居(外泊)をする際に算定できる加算です(出典:平成18年厚生労働省告示第523号)。1人あたりの体験利用日数の上限が設けられており、継続的な算定はできません。
障害者支援施設からの退所者等受入加算は、障害者支援施設・精神科病院・救護施設等から地域移行してきた利用者を受け入れた場合に、入居後一定期間算定できる加算です(出典:平成18年厚生労働省告示第523号)。地域移行の推進を目的とした加算であり、対象利用者の受け入れ実績が積み上がると毎月の算定機会が増えます。
このほか、障害者グループホームでは「自立生活援助利用促進加算」「退居後共同生活援助サービス費」等、利用者の地域生活定着を支援するための加算・サービス費も設けられています。詳細は告示または指定権者に確認してください。
まとめ
グループホームで算定できる加算は大きく4グループに分かれます。収入への影響が大きいのは、夜間支援等体制加算・人員配置体制加算・重度障害者支援加算・処遇改善加算です。これらは毎月継続して算定できるため、収支計画の精度を左右します。
加算の算定可否は、事業所の人員体制・入居する利用者の障害支援区分・取り組みの実施状況によって変わります。開業前に「どの加算を算定できる体制で開業するか」を決めることが、収支計画の前提になります。収支シミュレーターを使って、加算の有無が月次収支にどう影響するかを確認してみてください。
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【出典一覧】
・平成18年厚生労働省告示第523号(指定障害福祉サービス費の算定基準):各加算の単位数・算定要件
・厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001658031.pdf:報酬算定の全体構造
・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」:処遇改善加算の算定率・令和6年度改定内容

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