障害者グループホーム 開業向け収支シミュレーター
処遇改善加算は、所定単位数の12〜17%相当
障害者グループホームの処遇改善加算(福祉・介護職員等処遇改善加算)は、「所定単位数」に対し区分ごとの率を乗じて算定します。令和8年6月施行の区分と加算率は以下のとおりです。
| 区分 | 加算率 |
|---|---|
| 加算 Ⅰイ | 16.3% |
| 加算 Ⅰロ | 16.9% |
| 加算 Ⅱイ | 16.0% |
| 加算 Ⅱロ | 16.6% |
| 加算 Ⅲ | 14.4% |
| 加算 Ⅳ | 12.1% |
(出典:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」(令和8年6月施行))
加算率の幅は12.1%〜16.9%と、約5%の開きがあります。上位区分を取得できるかどうかで、月の収入に数万円単位の差が生まれます。
「所定単位数」とは何か
処遇改善加算の計算に使う「所定単位数」とは、基本報酬に加えて以下の加算を合計した単位数です。
- 基本報酬
- 夜間支援等体制加算(I)(介護サービス包括型の場合)
- 人員配置体制加算
- 医療連携体制加算
- 福祉専門職員配置等加算
- その他の加算
処遇改善加算の計算に他の加算も含めるため、夜間支援等体制加算や人員配置体制加算を多く取得している事業所ほど、処遇改善加算も大きくなります。加算は積み上げるほど有利な構造です。
計算例:定員15人・5級地(10.80円)・加算 Ⅱイ(16.0%)
具体的な計算例を示します。入居者全員を区分4(372単位)として試算します。
【月の所定単位数の計算】
- 基本報酬:372単位 × 15人 × 30日 = 167,400単位
- 夜間支援等体制加算(I)(利用者15人・主に区分4以上→90単位/日/人):90単位 × 15人 × 30日 = 40,500単位
- 所定単位数の合計:167,400 + 40,500 = 207,900単位
【処遇改善加算(Ⅱイ・16.0%)の計算】
- 処遇改善加算の単位数:207,900 × 0.160 = 33,264単位
- 処遇改善加算の金額:33,264単位 × 10.80円 = 359,251円
【月の総収入の概算】
- 基本報酬の金額:167,400 × 10.80円 = 1,807,920円
- 夜間支援等体制加算の金額:40,500 × 10.80円 = 437,400円
- 処遇改善加算:359,251円
- 月の総収入(この3項目の合計):約260万4千円(2,604,571円)
処遇改善加算が月約36万円になります。これを取得しない場合と比べると、月の収入が約14%分少なくなります。
処遇改善加算を取得するための要件
処遇改善加算を算定するには、取得する区分に応じた「職場環境等要件」を満たす必要があります。
職場環境等要件の主な内容:
- 入職促進に向けた取り組み(求人内容の改善・就業規則の整備等)
- 資質向上・キャリアアップに向けた支援(研修の実施・資格取得の補助等)
- 両立支援・多様な働き方の推進(育児休業・介護休業の取得しやすい環境整備等)
- 腰痛を含む労働災害の防止・安全衛生の推進
- 福祉・介護サービスの質の向上(入居者への支援方法の改善・外部評価の活用等)
- ハラスメント等の排除・その他(地域との連携等)
上位区分(Ⅰ・Ⅱ)ほど、満たすべき職場環境等要件の数が多くなります。開業時から取り組みを記録・整備しておくことで、上位区分の取得を目指せます。
加算の取得状況を申請・届け出る必要がある
処遇改善加算は算定要件を満たせば自動的に付くものではなく、都道府県等への届け出が必要です。一般的には毎年4月から算定を開始するための届け出を、前年度の3月末(都道府県等が定める期日)までに行います。年度途中に指定を受けた事業所は、指定後1か月以内に届け出ることで翌月から算定できます。
加算取得の計画(処遇改善計画書)と実績報告書の提出も必要です。書類が煩雑に感じる場合は、行政書士や社会保険労務士に相談するとスムーズです。
処遇改善加算は「職員への賃金改善」に使う加算
処遇改善加算の算定額は、基本的に職員への賃金(給与・賞与等)の改善に充てることが義務付けられています。事業者の利益として計上できるわけではありません。
ただし、加算を取得することで職員の賃金水準を引き上げやすくなり、結果として採用力や定着率の向上につながります。職員が安定して働ける職場環境は、グループホームの安定経営に直結します。
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