障害者グループホーム(共同生活援助)として障害福祉サービス費(介護給付費)を受け取るには、都道府県(または政令指定都市・中核市)の指定を受ける必要があります。指定申請の書類提出期限は、指定を受けたい月の前々月末日までが多く、開業の3〜4ヶ月前から動き始めなければ間に合いません。この記事では、提出する書類の種類、申請の流れ、開業までのタイムラインを整理します。
指定申請とは何か
グループホームは、都道府県などに「指定」を受けた指定障害福祉サービス事業者として運営します。指定を受けると、国民健康保険団体連合会(国保連)を通じて障害福祉サービス費(報酬)が支払われる仕組みになります。
指定を受けずにグループホームを運営すること自体は禁じられていませんが(例:自費で入居者を集める施設)、障害者総合支援法に基づく公費負担を使えないため、入居者の費用負担が大きくなります。実質的には指定を受けることが前提です。
申請先は都道府県・政令指定都市・中核市
申請先は、事業所(住居)の所在地によって異なります。
- 一般の市区町村に所在する場合:都道府県が申請先
- 政令指定都市・中核市に所在する場合:その市が申請先(都道府県ではない)
例えば埼玉県の場合、さいたま市・川越市・川口市・越谷市・和光市に所在する事業所は各市への申請になり、埼玉県への申請対象外になります。必ず開設予定の自治体に問い合わせて申請先を確認してください。
提出する書類の一覧(埼玉県の例)
自治体によって書式や求める添付書類が異なりますが、大枠は共通しています。以下は埼玉県の例です(出典:埼玉県 共同生活援助の申請書類一覧ページ)。
申請書・基本様式
- 指定申請書・付表(エクセル)
- 他法令遵守の確認票
- サービス管理責任者 経歴書
- サービス管理責任者 実務経験確認書類
- 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表
設備・建物関係
- 平面図(住居ごとの間取り・寸法入り)
- 建築士の意見書
- スプリンクラー整備計画書(または整備済み証明)
運営関係
- 運営規程(都道府県が提供するモデル規程を使用)
- 医療機関との協定書(医療連携体制加算を算定する場合は必須)
- 市町村長の意見書(申請書提出時に必要。事前に開設予定市町村へ相談が前提)
法人関係
- 法人の登記簿謄本(令和8年7月からは原則提出不要となる方向で整備が進んでいます)
- 役員名簿・欠格事由に該当しない旨の誓約書
「市町村長の意見書」が最初のハードル
指定申請書類の中で、多くの開業検討者が見落とすのが「市町村長の意見書」です。これは、事業所が所在する市区町村の長(市長・町長・村長)が「地域において必要なサービスか」「確保できる入居定員数は適正か」を判断して発行する文書です。
この意見書は、申請者が申請書を県に提出する時点で必要です。つまり、都道府県への申請より先に、地域の市区町村に相談・申請して意見書をもらう手順が必要になります。
市区町村によって、意見書の発行までに数週間〜1ヶ月程度かかるところもあります。スケジュールが遅れると指定申請が翌月以降にずれ込みます。開業スケジュールを組む際は、市区町村への相談を最初のステップに置いてください。
事前協議が原則必要
多くの都道府県では、指定申請の前に「事前協議(相談)」を求めています。申請書類を提出する前に、担当窓口に書類の下書きを持参して内容確認を受けるという流れです。
事前協議で不備が見つかれば修正して再確認します。書類が揃っていても、建物の設備基準(個室の広さ・スプリンクラー設置など)が満たされていなければ指定を受けられません。物件を決める段階から設備基準を把握して、適合する物件を選ぶことが大切です。
提出期限と指定日のタイムライン
書類の提出期限と指定が下りる日(指定日)の関係は自治体によって異なりますが、一般的な例を示します。
| いつ | やること |
|---|---|
| 開業の4〜5ヶ月前 | 市区町村に相談・意見書の取得手続き開始 |
| 開業の3〜4ヶ月前 | 都道府県の担当窓口に事前相談 |
| 開業希望月の前々月末日まで | 都道府県への指定申請書類提出 |
| 開業希望月の1日 | 指定日(サービス提供開始) |
例えば2026年10月1日から開業したい場合、8月末日までに書類を提出する必要があります。そこから逆算すると、6月〜7月には市区町村への相談・事前協議を始めていることが望ましいです。
埼玉県では、書類提出は「指定希望月の前々月末日(休日は直前の平日)必着」と明記されています(出典:埼玉県公式 共同生活援助 申請書類ページ)。
法人格がないと申請できない
グループホームの指定申請は法人格が必要です(個人での申請は不可)。株式会社・合同会社・NPO法人・社会福祉法人などを設立した上で申請します。
法人設立から登記完了まで、株式会社・合同会社は最短1〜2週間程度ですが、NPO法人は都道府県の審査があり3〜4ヶ月かかります。社会福祉法人は認可に6ヶ月以上かかります。開業スケジュールに合わせた法人形態を選ぶことが重要です。
行政書士への依頼を検討する場合の注意点
指定申請の書類作成・提出を行政書士に依頼することも多いです。報酬は10〜30万円程度が相場ですが、経験のある行政書士であれば書類の不備による差し戻しのリスクを減らせます。
ただし、行政書士に任せるにしても、物件の設備基準への適合確認・市区町村の意見書の手続きなどは事業者自身が関わらなければならない部分があります。丸投げで進めると、後から「この物件では指定が取れない」と気づくリスクがあります。
開業前に収支の見通しを立てておくことが大切
指定申請の手続きが進む中で、並行して収支計画を具体的に固めることをおすすめします。指定を取ったあとに「想定より収入が少なく開業後すぐ赤字になった」というケースを防ぐために、事業者の区分構成・加算の有無・地域単価をもとに試算してみてください。


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