グループホーム(共同生活援助)の経営では、障害福祉サービスの報酬(介護給付費)とは別に、入居者から家賃・食費・光熱費などを受け取ります。家賃は低所得の入居者に対して月額1万円の補足給付がありますが、それを超える部分は自己負担です。食費は実費を受け取れます。この記事では、入居者から受け取れるお金の種類と、それぞれの設定の考え方を整理します。
入居者から受け取れるお金の4種類
グループホームで入居者から受け取れるお金は、大きく4つに分類されます。
1. 家賃
入居者が共同生活住居に住むための賃料です。物件の実際の賃料に基づいて設定するのが原則で、「合理的な金額」の範囲内で設定します。設定した家賃は運営規程に記載し、利用者に対して事前説明が必要です。
家賃の相場は地域によって大きく異なります。都市部では月4〜8万円程度の家賃を設定しているグループホームが多いですが、地方では月2〜4万円ということもあります。
2. 食費
食事の提供にかかる実費を入居者から受け取ることができます。月単位または食事回数に応じて設定するケースが多く、1食200〜400円程度が一般的な目安です(月額換算で1〜2万円前後)。
食費は「実費の範囲内」で設定します。材料費・調理委託費を上回る金額を請求することは適切ではありません。
3. 光熱費・水道費
電気・ガス・水道の費用も実費を受け取れます。入居者の自室分と共用部分を合わせた実際のコストを、入居者数で按分するなどして設定します。
4. 日常生活費
日用品の購入(シャンプー・歯磨き粉など)や、理髪代・趣味活動の費用など、個人の日常生活に使うものは別途受け取ることができます。領収書や記録管理が必要で、預かり金の扱いには細心の注意が求められます(横領・経済的虐待リスクがある)。
家賃への補足給付:月額1万円が低所得者に支給される
グループホームで暮らす低所得の入居者には、家賃の一部として「特定障害者特別給付費(補足給付)」が月額最大1万円支給されます(障害者総合支援法第34条)。
受給できる方は、生活保護を受けている方または低所得世帯(市区町村民税非課税の方)です。家賃が1万円に満たない場合は、実際の家賃額が上限になります。
この補足給付は、グループホームの事業者に直接支払われるのではなく、利用者が市区町村に申請して受け取る仕組みです。入居者がこの給付を知らないまま全額自己負担しているケースも実際にあるため、入居時に必ず案内することが重要です。
また、補足給付とは別に、市区町村が独自の家賃助成制度を設けているところもあります。開設予定の地域の行政に問い合わせて確認することをおすすめします。
家賃の設定で注意すること
家賃は実費(物件の賃料)に基づいて設定します。物件の家賃が月15万円で定員5人なら、1人あたり3万円が合理的な家賃の目安です。ただし、これに加えて管理費・共益費を上乗せする場合は、その根拠(共用部分の清掃費・設備維持費など)を示せるようにしておく必要があります。
不当に高い家賃を取ることは、利用者の経済的な搾取として行政指導や減算の対象になります。運営指導では家賃の設定根拠を確認されることがあります。
また、入居者の収入(障害基礎年金は令和7年度で2級月額約69,000円・1級月額約87,000円。出典:日本年金機構)と生活費の残余を考慮すると、「家賃+食費+光熱費が月の収入の8〜9割を超えると入居者の手元に残るお金が少なくなりすぎる」という実態もあります。地域の相場と入居者の収入状況を踏まえた設定が大切です。
食費・光熱費は報酬計算と別枠で考える
食費・光熱費は、障害福祉サービスの報酬(介護給付費)とは別の収入として計上します。サービスの報酬は区分・加算・地域区分で決まりますが、食費・光熱費はそれとは独立した実費収入です。
例えば定員5人で食費を月1万円・光熱費を5,000円設定した場合、満床なら月75,000円の実費収入が入ります。これは固定費(物件賃料・光熱費の実費)をカバーするための重要な収入源になります。
生活保護受給者の入居にかかる費用の仕組み
生活保護を受けている方が入居する場合、家賃・食費・光熱費の考え方が少し変わります。生活保護の家賃扶助(住宅扶助)の上限額(地域によって異なる)の範囲内での家賃設定が必要になる場合があります。また、食費分は生活扶助の中から支払われます。
生活保護受給者を多く受け入れる場合は、福祉事務所との連絡調整が必要で、収入の安定度を考慮した設定が求められます。
預かり金管理は厳格に
入居者から受け取る日常生活費・預かり金(通帳・印鑑の管理を含む)は、経済的虐待として指摘されやすい部分です。運営指導でも重点的に確認されます。
必ずルールとして「通帳と印鑑を別々の担当者が管理する」「複数人で確認する」「記録を残す」ことを徹底してください。
収支シミュレーターで家賃・食費込みの試算ができます
当サイトのシミュレーターでは、家賃・食費・光熱費の実費収入も含めた月次の収支を試算できます。介護給付費収入と合わせた全体の収支を確認してから開業を検討することをおすすめします。


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