発信機と地区音響装置の設置基準。歩行距離50m・水平距離25m・取付け高さの根拠を規則第24条から整理する。

発信機と地区音響装置の設置基準。歩行距離50m・水平距離25m・取付け高さの根拠を規則第24条から整理する。 資格

甲4の試験では、感知器の配置だけでなく、発信機と地区音響装置の設置基準も問われます。製図問題では「この位置に発信機を置いてよいか」や「地区音響装置は何個必要か」という形で出題されることがあります。

発信機と地区音響装置は消防法施行規則第24条に基準が定められています。感知器の条文(規則第23条)とは別の条文のため、設置基準の数値を混同しないことが重要です。

このページでは、発信機と地区音響装置それぞれの設置基準(距離・高さ・音圧)を、消防法施行規則第24条の原文をもとに整理します。

発信機の設置基準

発信機は火災に気づいた人が手動で信号を送るための機器です。押しボタン型が一般的で、屋内消火栓と一体になっている場合もあります。

歩行距離50m以下ごとに1個

発信機の設置数の基準は歩行距離で定められています。消防法施行規則第24条第五号イに次の規定があります。

防火対象物の各部分から発信機(表示灯を含む機器収容箱の操作部)までの歩行距離が50m以下になるように設けること。

出典:消防法施行規則第24条第五号(e-Gov法令検索)

「歩行距離」とは、実際に廊下や通路を歩いて移動したときの距離です。直線距離ではありません。壁・扉・柱の配置を踏まえた実際の移動経路で測ります。

製図問題では平面図が与えられ、建物の各部分から発信機までの経路を追って「50m以内に収まっているか」を確認します。50mを超える場所がある場合は、追加で発信機を設けます。

取付け高さは0.8m以上1.5m以下

発信機の取付け高さは、消防法施行規則第24条に基準があります。操作部の位置は床面から0.8m以上1.5m以下とされています。

出典:消防法施行規則第24条(e-Gov法令検索)。高さの規定の詳細は原文を参照してください。

0.8m未満だと屈まないと操作できず、1.5mを超えると背の低い人が届かない可能性があります。試験ではこの数値が「0.8m以上1.5m以下」として問われます。

屋内消火栓の付近に設ける

屋内消火栓がある建物では、その付近に発信機を設けることとされています(規則第24条第五号)。消火活動のための設備をまとめて近くに配置するという考え方です。

試験の製図問題で「屋内消火栓あり」という条件があれば、その付近に発信機が必要になります。

地区音響装置の設置基準

地区音響装置は、受信機が火災信号を受け取ったとき、建物内の人に警報音を伝えるための機器です。ベルまたは音声で通知します。

水平距離25m以下ごとに1個

地区音響装置は各階ごとに、その階の各部分から地区音響装置までの水平距離が25m以下になるように設けることとされています(消防法施行規則第24条第三号)。

出典:消防法施行規則第24条第三号(e-Gov法令検索)

発信機の基準が「歩行距離50m」なのに対し、地区音響装置は「水平距離25m」です。水平距離は廊下を通る経路ではなく、直線距離(平面上の最短距離)で測ります。2つの基準は距離の種類も数値も違うため、混同しないよう注意が必要です。

発信機 地区音響装置
距離の種類 歩行距離(経路距離) 水平距離(直線距離)
距離の上限 50m以下 25m以下
条文 規則第24条第五号イ 規則第24条第三号

音圧は1m離れた点で90dB以上

地区音響装置の音圧は、取り付けた位置から1m離れた点で90dB以上とされています(消防法施行規則第24条第三号ハ)。

出典:消防法施行規則第24条第三号ハ(e-Gov法令検索)

90dBという数値は、工事現場の騒音や地下鉄の車内騒音とほぼ同等とされる大きさです。周囲の騒音を上回る音圧が必要なため、この基準が設けられています。試験では「音圧は取り付け位置から1mの点で90dB以上」という形で問われます。

各階ごとに設ける

地区音響装置は「各階ごと」に設けることとされています。上の階の地区音響装置が鳴っても、下の階の人には聞こえない可能性があるため、各階に設置が必要です。

系統図では、各階の地区音響装置を示す記号が描かれます。階数が増えると地区音響装置の数も増えます。

表示灯の設置基準

発信機の位置を示す表示灯(赤色のランプ)についても基準があります(規則第24条第五号ロ)。

  • 常時赤色の灯火を点灯すること
  • 取り付け位置から15m離れた場所から容易に識別できること

出典:消防法施行規則第24条第五号ロ(e-Gov法令検索)

表示灯は「発信機はここにある」というサインです。暗い場所・煙が充満した場所でも発信機の位置が分かるよう、常時点灯が義務づけられています。試験では「表示灯は常時点灯であること」という問われ方をします。

音響装置(主音響装置)との違い

自動火災報知設備には「音響装置(主音響装置)」と「地区音響装置」の2種類があります。

主音響装置 地区音響装置
場所 受信機に取り付け(受信機本体またはその付近) 建物内の各階・各部分
役割 管理室・警備室など受信機の監視者に火災を知らせる 建物全体の在館者に避難を促す
鳴るタイミング 受信機が火災信号を受け取ったとき 受信機が火災信号を受け取ったとき(一斉または区域別)
音圧の基準 取り付け位置から1mの点で70dB以上(規則第24条第一号) 取り付け位置から1mの点で90dB以上(規則第24条第三号ハ)

出典:消防法施行規則第24条第一号・第三号(e-Gov法令検索)

主音響装置(70dB以上)と地区音響装置(90dB以上)で音圧の基準が異なります。試験では「この音圧は主音響装置と地区音響装置のどちらか」という問われ方もあります。

製図問題での確認ポイント

製図問題で発信機・地区音響装置の問題が出たときは、次のポイントで確認します。

  1. 発信機の位置は建物の各部分から歩行距離50m以内に入っているか
  2. 発信機の高さ(操作部)は0.8m以上1.5m以下か
  3. 屋内消火栓がある場合は発信機がその付近にあるか
  4. 地区音響装置は各階に、各部分から水平距離25m以内に設置されているか
  5. 表示灯は常時赤色点灯の設定か

平面図問題では、発信機の設置個数の計算と感知器の配置が同じ問題に含まれることがあります。上の手順を感知器の配置と並行して確認します。

問題で練習する

発信機と地区音響装置の数値は、問題で「この数値は何m以内の基準か」と問われる形で出てきます。むむ(ふふむむデザイン)の消防設備士4類の問題集には、発信機・地区音響装置の基準に関連する問題が含まれています。距離・高さ・音圧の組み合わせを問題の中で確認する練習に使ってください。

▶ 消防設備士4類(乙4・甲4)AI問題集


出典

  • 消防法施行規則第24条第三号(地区音響装置の設置基準・水平距離25m・音圧90dB):e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)
  • 消防法施行規則第24条第五号(発信機の設置基準・歩行距離50m・取付け高さ0.8〜1.5m・表示灯):e-Gov法令検索
  • 消防法施行規則第24条第一号(主音響装置の音圧70dB):e-Gov法令検索
この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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