甲4の実技試験(製図)は、「平面図に感知器を書き込む」または「系統図の空欄を埋める」問題が中心です。問われる内容はおおよそ決まっていますが、「何から手をつければいいか」が分からないと解けなかった問題が増えます。
このページでは、甲4製図問題の解き方を6つのステップに分けて整理します。各ステップで根拠になる条文も示すため、「なぜその手順なのか」が把握できます。
製図問題の解き方は6ステップ
甲4の製図問題は、次の順序で考えると答えが出せます。
- 警戒区域を区切る(施行令第21条)
- 感知区域を確認する(規則第23条第2項・はりの確認)
- 感知器の種類を選ぶ(規則第23条第1項・第4項)
- 感知器の設置個数を計算する(規則第23条第4項第三号ロ)
- 発信機・地区音響装置の位置を確認する(規則第24条)
- 系統図を完成させる(配線本数・受信機の種類)
この6ステップは独立しているわけではなく、前の結論が次のステップの前提になります。たとえばステップ3の感知器の種類が決まらないと、ステップ4の感知面積(1個あたりの受け持ち面積)の数値が使えません。順番を守って解き進めます。
ステップ1:警戒区域を区切る
最初に行うのは、与えられた平面図を「警戒区域」に分割することです。
警戒区域の制限は消防法施行令第21条第1項第五号に定められています。
- 1警戒区域の面積は600m²以下
- 1警戒区域の一辺の長さは50m以下(光電式分離型感知器の場合は100m以下)
- 原則として1つの階に限る(2階にまたがる例外条件あり)
出典:消防法施行令第21条第1項第五号(e-Gov法令検索)
廊下・通路・階段・エレベーター昇降路は居室と別の警戒区域として扱います。系統図の回路数は警戒区域の数と一致します。
製図問題で最初に書くのは「何個の警戒区域があるか」です。これが答えを大きく左右します。
ステップ2:感知区域を確認する
警戒区域の中で、感知器1個が担当する範囲の単位が「感知区域」です。感知区域は消防法施行規則第23条第2項に定義されています。
「感知区域は、壁又は取付け面から0.4m(差動式分布型・煙感知器・炎感知器では0.6m)以上突き出したはりその他これらに類するものによつて区画された部分」
出典:消防法施行規則第23条第2項(e-Gov法令検索)
問題文に「はりの高さ0.5m」と書かれていれば、熱感知器(差動式スポット型など)では感知区域が分かれます(0.5m ≥ 0.4m)。同じはりで煙感知器では分かれません(0.5m < 0.6m)。
問題文に「はり」の記述がない場合は「感知区域を分けるはりなし」と解釈して進みます。
ステップ3:感知器の種類を選ぶ
感知区域が確定したら、その場所に何の感知器を置くかを決めます。根拠は2か所です。
- 規則第23条第1項:取付け面の高さと感知器の種類の対応表
- 規則第23条第4項:設置できない場所・煙感知器が義務の場所
判断の順序は次のとおりです。
- 取付け面の高さを確認する。高さが変われば使える種類が変わる
- その場所が設置制限のある場所(厨房・蒸気多発場所など)に該当しないか確認する
- 廊下・階段・エレベーター昇降路など、煙感知器が義務の場所かどうかを確認する
厨房には差動式・煙感知器は置けません(誤作動の原因)。定温式スポット型特種が一般的です。廊下・階段には光電式スポット型(煙感知器)が必要です。高天井(8m以上)の場所は差動式スポット型が使えず、差動式分布型・煙感知器・光電式分離型などに絞られます。
感知器の種類の選定の詳細は、別の記事(感知器の種類を選ぶ手順)でまとめています。
ステップ4:感知器の設置個数を計算する
感知器の種類と種別が決まったら、個数の計算をします。根拠は消防法施行規則第23条第4項第三号ロの感知面積の表です。
個数の計算式は次のとおりです(天井の低い部屋の場合)。
設置個数=感知区域の面積 ÷ 感知面積(1個あたりの担当可能面積)の答えを切り上げた整数
感知面積は「耐火構造か否か」「取付け面の高さ」「感知器の種別」の3つの組み合わせで決まります。たとえば耐火構造の4m未満に差動式スポット型2種を置く場合の感知面積は70m²です(原文の表で確認してください)。
| 計算に使う要素 | 確認する場所 |
|---|---|
| 感知区域の面積(m²) | 問題の図面から読み取る |
| 耐火構造かどうか | 問題文に記載(「耐火構造の建物」など) |
| 取付け面の高さ | 問題文または断面図 |
| 感知器の種別(1種・2種等) | ステップ3で決定した種別 |
| 感知面積の数値 | 規則第23条第4項第三号ロの表 |
廊下・通路の感知器は床面積ではなく「歩行距離30m以下ごとに1個」という別の基準で数えます(原文で確認してください)。部屋と廊下を区別して計算します。
感知器の個数の計算の手順の詳細は、別の記事(感知器の設置個数の計算)でまとめています。
ステップ5:発信機・地区音響装置の位置を確認する
感知器の配置が決まったら、発信機と地区音響装置の位置を確認します。
発信機は消防法施行規則第24条第五号に基づく基準があります。代表的な数値は次のとおりです。
- 発信機は、防火対象物の各部分から発信機までの歩行距離が50m以下となるように設ける
- 発信機の高さ:操作部は床面から0.8m以上1.5m以下
- 屋内消火栓がある場合は、その付近に設けることが望ましい
出典:消防法施行規則第24条(e-Gov法令検索)。各号の詳細は原文を参照してください。
地区音響装置も同じく規則第24条に基準があります。
- 各階ごとに、その階の各部分から地区音響装置までの水平距離が25m以下となるように設ける
- 音圧は取り付け位置から1m離れた点で90dB以上(特定の場所は除く)
発信機と地区音響装置の設置基準の詳細は、別の記事(発信機・地区音響装置の設置基準)でまとめています。
ステップ6:系統図を完成させる
最後に系統図を完成させます。系統図では次の要素を順番に確認します。
受信機の種類を選ぶ
警戒区域(回路)の数を数えます。
- 5回路以下 → P型2級でも可(P型1級も可)
- 6回路以上 → P型1級(またはR型)が必要
P型1級は配線が4本(L・C・応答線・電話線)、P型2級は2本(L・C)が基本構成です。受信機の種類の詳細は別の記事(P型受信機の種類と配線の本数)でまとめています。
送り配線の本数を数える
系統図は感知器回路を「送り配線(ループ状の接続なし)」で描きます。回路の線は、最初の感知器から最後の感知器(終端器)まで一方向につながります。
幹線部分の線の本数は「回路を1本ずつ積み上げる」という形で数えます。受信機に近い位置ほど線の本数が多くなります。
共通線の本数を確認する
共通線(C線)は複数の回路で共用できますが、1本あたりの上限は7警戒区域(消防法施行規則第24条第一号ヘ)です。回路が8以上ある場合は共通線を2本にします。
終端器の位置を確認する
各感知器回路の末端(最後の感知器の次)に終端器(終端抵抗)を描きます。終端器は回路の断線を監視するための部品で、各回路に1個必要です。
系統図の配線の詳細は、別の記事(系統図の読み方(送り配線・終端器・共通線))でまとめています。
よくあるミス8つ
甲4製図でよく出るミスをまとめます。
| よくあるミス | 正しい対処 |
|---|---|
| 廊下を居室と同じ警戒区域にする | 廊下・通路は別の警戒区域として設定する |
| 廊下に差動式スポット型を配置する | 廊下には光電式スポット型(煙感知器)を置く |
| 廊下の個数を「面積÷感知面積」で計算する | 廊下は歩行距離で計算する(30m以下ごとに1個が目安) |
| 厨房に差動式や煙感知器を配置する | 厨房は定温式スポット型特種が基本 |
| はりの高さを確認せずに感知区域を分けない | 0.4m以上(熱感知器)・0.6m以上(煙感知器)で確認する |
| 8回路以上あるのに共通線が1本 | 共通線の上限は7警戒区域ごとに1本 |
| P型2級で6回路以上の回路を接続する | 6回路以上はP型1級が必要 |
| 終端器を忘れる、または位置を間違える | 各回路の末端(最後の感知器の次)に描く |
問題文の読み方で差がつく
製図問題は「何を問われているか」を正確に読むことが重要です。次のような読み取りポイントがあります。
- 「耐火構造の建物」かどうか → 感知面積の表の列が変わる
- 取付け面の高さの記載 → 使える感知器の種類が変わる
- 「はりの高さ」の記載 → 感知区域の分かれ方が変わる
- 「P型1級受信機とする」などの前提条件 → 系統図の配線本数が変わる
- 廊下・階段・厨房が図面に含まれるか → 感知器の種類・計算方法が変わる
問題文の条件を見落とすと、正しいステップを踏んでいても答えがずれます。問題を読むとき、上のポイントを意識的にチェックする習慣が効果的です。
問題で練習する
製図の手順は、実際に問題で手を動かして身につきます。むむ(ふふむむデザイン)の消防設備士4類の問題集には、製図の区分に感知器の配置・系統図・配線本数に関連する問題が含まれています。上の6ステップの順序で解く練習に使ってください。
出典
- 消防法施行令第21条第1項第五号(警戒区域の定義・面積・一辺の長さ):e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)
- 消防法施行規則第23条第2項(感知区域の定義・はりの突き出しの基準):e-Gov法令検索
- 消防法施行規則第23条第1項・第4項(感知器の設置基準・場所の制限・煙感知器の義務場所):e-Gov法令検索
- 消防法施行規則第24条(配線・発信機・地区音響装置の基準):e-Gov法令検索


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