甲4の製図問題で感知器の配置を考えるとき、まず「警戒区域」と「感知区域」を区切ることが前提になります。
この2つは名前が似ていますが、定義も区切り方の基準も違います。混同すると感知器の個数計算の出発点が変わり、答えがずれます。
このページでは、消防法施行令第21条(警戒区域)と消防法施行規則第23条(感知区域)の原文をもとに、それぞれの定義・面積の上限・例外条件を整理します。製図問題では「はり(梁)の高さ」が感知区域を分けるかどうかの判断にもつながるため、その基準も確認します。
警戒区域は「受信機が火災の発生場所を特定するための単位」
警戒区域は、消防法施行令第21条第1項第五号に次のように定義されています。
「警戒区域(火災の発生した区域を他の区域と区別して識別することができる最小単位の区域をいう。以下同じ。)は、次のイ及びロに定めるところによること。」
つまり、受信機が「どこで火災が発生したか」を特定するための区域の単位です。警戒区域が細かく分かれているほど、受信機の表示窓で火災の発生場所を絞り込めます。
製図では、この警戒区域の単位が系統図の「回路」に対応します。1つの警戒区域 = 1つの回路として、系統図に描かれます。
警戒区域の面積は600m²以下・一辺の長さは50m以下
消防法施行令第21条第1項第五号イには、次の2つの制限があります。
- 1警戒区域の面積は600m²以下とする
- 1警戒区域の一辺の長さは50m以下とする(光電式分離型感知器を設置する場合は100m以下)
出典:消防法施行令第21条第1項第五号イ(e-Gov法令検索)
600m²・50mという数字は製図問題で必ず使います。与えられた平面図の面積や辺の長さを確認し、1つの警戒区域に収まるかどうかを判断します。収まらない場合は複数の警戒区域に分割します。
たとえば、1フロアの床面積が800m²の場合は1つの警戒区域にはできないため、2つ以上に分割します。また、長さが70mある廊下は50mを超えるため、50m以下になるように区切ります。
2つ以上の階にわたらない。ただし例外がある
消防法施行令第21条第1項第五号ロには次の規定があります。
「警戒区域は、二以上の階にわたらないこと。ただし、金属製避難はし子を設けた開口部のある階段、エスカレーター等の吹き抜け部分又は床面積の合計が500m²以下の場合は、この限りでない。」
出典:消防法施行令第21条第1項第五号ロ(e-Gov法令検索。条文は一部要約しています。詳細は原文を参照してください)
原則は「1つの警戒区域は1つの階に限る」です。ただし例外として、2つの階にまたがる場合でも警戒区域を1つにまとめられる条件があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 床面積の合計が500m²以下の場合 | 2つの階にまたがっても1つの警戒区域にできる |
| 吹き抜け部分(階段・エスカレーター等) | 複数の階に連続する空間は1つの警戒区域として扱える |
製図問題では「2階建ての建物で各フロアが250m²」という設定が出ることがあります。合計500m²以下なので、2つの階を1つの警戒区域にまとめることができます。問題文の条件によって例外を使うかどうかを判断してください。
感知区域は「感知器が受け持つ範囲の単位」
感知区域は、消防法施行規則第23条第2項に次のように定義されています。
「感知区域は、壁又は取付け面から0.4m(差動式分布型感知器、煙感知器、熱煙複合式スポット型感知器及び炎感知器にあつては0.6m)以上突き出したはりその他これらに類するものによつて区画された部分をいう。」
出典:消防法施行規則第23条第2項(e-Gov法令検索)
感知区域は「はりで区切られた範囲」です。警戒区域の中に複数の感知区域があり、各感知区域に必要な個数の感知器を配置します。
感知区域のポイントは「はりの高さ」にあります。取付け面(天井面)から0.4m以上突き出したはりがあれば、そのはりを境に感知区域が分かれます。0.4m未満の場合は感知区域を分けません。
0.4mのはりが感知区域の境目になる
感知区域の区切りに使う「0.4m」という数値は、熱感知器(差動式スポット型・定温式スポット型など)の場合の基準です。差動式分布型・煙感知器・炎感知器の場合は0.6mが基準になります。
| 感知器の種類 | 感知区域を分けるはりの突き出し |
|---|---|
| 差動式スポット型・定温式スポット型・補償式スポット型など(熱感知器スポット型) | 0.4m以上で感知区域を分ける |
| 差動式分布型・煙感知器(光電式スポット型・イオン化式スポット型)・炎感知器 | 0.6m以上で感知区域を分ける |
出典:消防法施行規則第23条第2項(e-Gov法令検索)
たとえば、天井面から0.5m突き出したはりがある部屋に差動式スポット型を設置する場合、0.5m ≥ 0.4mなので感知区域が分かれます。同じはりで煙感知器を設置する場合は0.5m < 0.6mなので感知区域は分かれません。感知器の種類によって基準値が変わる点に注意します。
警戒区域と感知区域の違いをまとめる
| 警戒区域 | 感知区域 | |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 消防法施行令第21条第1項第五号 | 消防法施行規則第23条第2項 |
| 目的 | 受信機が火災の発生場所を特定する単位 | 感知器が受け持つ範囲の単位 |
| 面積の上限 | 600m²以下 | 規定なし(はりによって区画された部分) |
| 一辺の長さ | 50m以下(光電式分離型は100m以下) | 規定なし |
| 階のまたがり | 原則として1フロアに限る(例外あり) | 同一フロア内の区画 |
| 区切りの決め手 | 床面積・辺の長さ・階数 | はりの突き出し(0.4mまたは0.6m以上) |
| 系統図との関係 | 1警戒区域=1回路 | 1感知区域内に必要な個数の感知器を配置 |
廊下・通路の警戒区域の扱い
廊下・通路は部屋と別の警戒区域として扱います。理由は「廊下・通路には煙感知器の設置が求められる場所が多く、部屋の熱感知器と同じ回路にまとめると感知器の種類と個数の管理が複雑になる」という設計上の理由があるためです。
また、廊下の感知器の個数計算は「床面積÷感知面積」ではなく「歩行距離」で行います。部屋と廊下は個数の計算方法が異なるため、警戒区域も別に扱います。
廊下に光電式スポット型を設置する場合は歩行距離30m以下ごとに1個というのが一般的な目安ですが、正確な数値は消防法施行規則第23条第4項の原文で確認してください。
階段の警戒区域
階段・傾斜路は複数の階に連続して設置されるため、警戒区域をどう設定するかが試験でも問われます。基本は「複数の階にまたがっても1つの警戒区域にできる(令第21条第1項第五号ロの例外)」です。
感知器は光電式スポット型(煙感知器)を設置し、垂直距離15m以下ごとに1個が目安です。正確な規定は施行規則第23条第4項で確認してください。
製図で区域を区切る手順
警戒区域・感知区域の区切りは製図問題の最初の作業です。手順をまとめます。
- 与えられた平面図の全体の面積・辺の長さを確認する
- 600m²・50mの上限を超えていれば複数の警戒区域に分割する
- 廊下・階段・エレベーター昇降路は別の警戒区域として扱う
- 各警戒区域の中で、天井のはりの突き出しを確認する(0.4mまたは0.6m以上かどうか)
- はりで区切られた部分が感知区域になる。感知区域ごとに必要な個数の感知器を配置する
問題文に「はりの高さは0.3m」と書かれていれば、熱感知器では感知区域を分けません(0.3m < 0.4m)。「はりの高さは0.5m」であれば熱感知器は感知区域を分けます(0.5m ≥ 0.4m)が、煙感知器は分けません(0.5m < 0.6m)。問題の数値を正確に読み取ることが重要です。
問題で練習する
警戒区域・感知区域の区切りは、実際に問題で手を動かして練習するほうが理解が定着します。むむ(ふふむむデザイン)の消防設備士4類の問題集には、製図区分の問題が含まれています。区域の分割に関連する出題で、判断の手順を繰り返し確認できます。
出典
- 消防法施行令第21条第1項第五号(警戒区域の定義・面積・一辺の長さ・2階にまたがる場合の例外):e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)
- 消防法施行規則第23条第2項(感知区域の定義・はりの突き出しの基準):e-Gov法令検索


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