甲4の製図で感知器の種類を選ぶ手順。取付け面の高さ・設置できない場所・煙感知器が必要な場所を規則第23条から整理する。

甲4の製図で感知器の種類を選ぶ手順。取付け面の高さ・設置できない場所・煙感知器が必要な場所を規則第23条から整理する。 資格

甲4の製図問題では、平面図に感知器を配置する問題が出ます。

配置するには「どの感知器を使うか」が先に決まっていないと、個数を計算することもできません。感知器の種類は「どこに置く感知器か」によって変わります。場所によっては使ってはいけない感知器があり、逆に煙感知器しか認められない場所もあります。

このページでは、消防法施行規則第23条の原文をもとに、感知器の種類を選ぶ判断の手順を整理します。まず取付け面の高さ、次に設置できない場所、最後に煙感知器が必須の場所、という順番で読むと、製図の選定がどの順序で判断するかが見えてきます。

感知器の選定は「取付け面の高さ」から始まる

同じ差動式スポット型でも、1種と2種では設置できる取付け面の高さが違います。定温式スポット型の特種・1種・2種も高さによって使い分けが異なります。高さを先に確認しないと、種別の選択が絞れません。

根拠は消防法施行規則第23条第1項です。「感知器は、…取付け面の高さに応じ次の表の上欄に掲げる感知器の種類により設けること」と書かれており、この表を参照して感知器の種類と種別を決めます。

取付け面の高さ 設置できる主な感知器の種類
4m未満 差動式スポット型(1種・2種)、補償式スポット型(1種・2種)、定温式スポット型(特種・1種・2種)、光電式スポット型(1種・2種・3種)、光電アナログ式スポット型(1種・2種・3種)、イオン化式スポット型(1種・2種・3種)、炎感知器など
4m以上8m未満 差動式スポット型(1種)、補償式スポット型(1種)、定温式スポット型(特種・1種)、差動式分布型(全種)、光電式スポット型(1種・2種)、イオン化式スポット型(1種・2種)、炎感知器など
8m以上15m未満 差動式分布型(全種)、光電式スポット型(1種)、イオン化式スポット型(1種)、光電式分離型(1種・2種)、炎感知器など
15m以上20m未満 差動式分布型(一部)、光電式分離型(1種・2種)、炎感知器など
20m以上 炎感知器のみ

出典:消防法施行規則第23条第1項(e-Gov法令検索)。表の全欄は原文の別表に記載されています。実際の選定では原文の表で確認してください。

この表からわかる主なポイントは次のとおりです。

  • 差動式スポット型2種は4m未満でしか使えない
  • 差動式スポット型1種は8m未満まで
  • 定温式スポット型はいずれの種別も8m未満まで(高さが上がるほど種別が限られる)
  • 差動式分布型(空気管型・熱電対型など)は高天井でも使えるが、4m未満には原則不要
  • 煙感知器(光電式スポット型・イオン化式スポット型)のうち1種は高天井でも使える
  • 光電式分離型は吹き抜けや高天井(8〜20m未満)で使う
  • 20m以上は炎感知器のみ

製図の問題では取付け面の高さが問題文に書かれていることが多いため、まずこの表で「選べる感知器の種類」を絞り込みます。

感知器を設置できない場所がある

場所によっては、原則として感知器を設置しなくてよい(または特定の感知器しか使えない)ケースがあります。根拠は消防法施行規則第23条第4項です。

代表的な設置除外・制限の場所は次のとおりです。

場所の種類 理由・考え方 実務上の対処
腐食性ガスが発生するおそれのある場所 ガスが感知器を腐食させ誤動作・故障の原因になる 防腐型を用いる。原則の感知器は不可
多量の水蒸気が流入するおそれのある場所(蒸気洗浄室等) 水蒸気が熱・煙と誤認され誤報の原因になる 差動式・光電式は原則不可。定温式特種が一般的
厨房その他日常的に煙・蒸気等が多量に流入するおそれのある場所 調理の煙・蒸気が誤動作を引き起こす 差動式・煙感知器は原則不可。定温式特種を使う
常時外気が流通する場所(常時開放の廊下・通路など) 外気の流通で熱・煙が拡散し感知が難しい 設置除外が認められる場合がある(条件あり)
著しく高温となる場所(乾燥室等) 熱感知器が誤動作する温度を超える可能性がある 設置条件を確認する。定温式特種でも設置できない場合あり
可燃性ガスまたは蒸気が滞留するおそれのある場所 防爆型以外は着火や感知器の損傷のおそれがある 防爆型感知器が必要

出典:消防法施行規則第23条第4項(e-Gov法令検索)。各号の詳細は原文で確認してください。

試験の製図問題で「厨房」「脱衣室」「浴室」が平面図に含まれている場合は、この制限が意識されているケースがあります。差動式や煙感知器を厨房に配置すると不正解になります。

煙感知器しか設置できない場所がある

設置できないケースとは逆に、「その場所には煙感知器(光電式スポット型や光電アナログ式スポット型など)でなければならない」と定められた場所もあります。

根拠は消防法施行規則第23条第5項です。代表的なものは次のとおりです。

場所 要求される感知器 主な理由
廊下・通路 光電式スポット型など煙感知器 廊下は早期に煙を検知して避難経路を確保する必要がある
階段・傾斜路 光電式スポット型など煙感知器 煙が階段を通じて上方向へ急速に広がるため早期検知が必要
エレベーター昇降路・パイプシャフト等 光電式スポット型など煙感知器 縦方向の空間で煙が上昇するため
地下階(一定条件) 光電式スポット型など煙感知器 避難が困難な空間のため早期検知が求められる
無窓階(一定条件) 光電式スポット型など煙感知器 開口部がなく煙が滞留しやすいため

出典:消防法施行規則第23条第4項(e-Gov法令検索)。各号の条件(長さ・面積等の数値)は原文で確認してください。

廊下の感知器は距離で計算する

廊下・通路に煙感知器を配置する場合、個数の計算は床面積ではなく「歩行距離」で行います。

消防法施行規則第23条第4項の規定では、廊下・通路に設ける煙感知器(光電式スポット型)は歩行距離30m以下ごとに1個とされています(規則第23条第4項)。

通常の部屋と廊下では個数の計算方法が変わるため、製図問題で廊下が含まれている場合は区別して考えます。廊下は「床面積÷感知面積」ではなく「歩行距離で区切って何個必要か」という視点で数えます。

製図で感知器の種類を決める手順

上の内容をまとめると、製図問題で感知器の種類を選ぶ判断は次の順序で行います。

  1. 問題文または図面から取付け面の高さを確認する → 規則第23条第1項の表で使える種類を絞る
  2. 配置しようとしている場所が「設置できない・制限される場所」に当たるか確認する(厨房・浴室・蒸気の多い場所など)
  3. 廊下・階段・エレベーター昇降路など「煙感知器でなければならない場所」に当たるか確認する
  4. 残った候補の中から、問題の条件(設置個数・コスト・設計意図など)を踏まえて選ぶ

実際の試験では「種類を選べ」という問い方と「配置の誤りを指摘せよ」という問い方の2パターンがあります。どちらも上の判断の手順を逆から使います。「この感知器はここに置けるか」を確認するには、高さ・場所の制限・煙感知器の義務、の3点を順に当てはめます。

「種類を選ぶ」と「個数を計算する」は別の手順

感知器の種類が決まったあと、個数の計算が始まります。差動式スポット型1種と2種では感知面積(感知器1個あたりが受け持てる床面積)が違うため、種類を先に確定させないと計算できません。

「感知器の設置個数の計算」は、構造(耐火・非耐火)・取付け面の高さ・種別の3つを組み合わせた表(規則第23条第4項第三号ロ)を使います。個数の計算の手順は別の記事(感知器の設置個数の計算)でまとめています。

試験でよく問われる感知器の組み合わせ

製図の出題で出てくる感知器の組み合わせは、おおよそパターンが決まっています。

場所の特徴 よく配置される感知器
一般的な事務室・居室(4m未満) 差動式スポット型(1種・2種)
一般的な廊下・通路 光電式スポット型(2種・3種)
階段 光電式スポット型(1種・2種)
厨房(調理室) 定温式スポット型(特種)
倉庫・格納庫(高天井・8m以上) 差動式分布型・光電式スポット型1種・光電式分離型
体育館・アトリウム(15m以上20m未満) 光電式分離型・差動式分布型・炎感知器
天井が見えない構造(20m以上) 炎感知器

上の表は一般的な傾向です。実際の製図問題は与えられた条件に応じて判断が変わります。原則(規則第23条)と制限(第23条第4項)を組み合わせて、問題ごとに根拠から考える練習が効果的です。

問題で練習する

感知器の種類と高さの対応は、表を眺めて覚えるより、問題の中で何度も「この高さにはどれが使えるか」と確認するほうが定着します。むむ(ふふむむデザイン)の消防設備士4類の問題集には、製図の区分の問題が含まれています。感知器の種類の選定・設置できない場所・煙感知器の義務場所に関する問題で、種類の選定を繰り返し練習できます。

▶ 消防設備士4類(乙4・甲4)AI問題集


出典

  • 消防法施行規則第23条第1項(感知器の設置基準・取付け面の高さと感知器の種類の表):e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)
  • 消防法施行規則第23条第4項(感知器の設置場所の制限・煙感知器の設置義務場所):e-Gov法令検索
この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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