2024年4月から変わった拘束時間と休息期間、改善基準告示の要点。

2024年4月から変わった拘束時間と休息期間、改善基準告示の要点。 運送業(ドライバー教育)

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2024年4月1日施行の改正改善基準告示では、トラックドライバーの1か月の拘束時間が原則284時間(年6か月まで310時間)に引き下げられた。改正前は原則293時間だったため、月あたりの上限は9時間減った。休息期間は「11時間以上与えるよう努め、9時間を下回らない」に変わった。この記事では変更点を一覧で整理し、適用が難しいポイントを補足する。

改善基準告示とは、労働基準法の特例として設けられた時間の基準

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)は、労働基準法第36条・37条の特例として、自動車運転者の拘束時間・休息期間・運転時間等の基準を定めた厚生労働省告示だ。最新版は2022年12月23日に告示され、2024年4月1日から適用されている(厚生労働省告示第396号)。

「2024年問題」と呼ばれた背景もこの改正にある。時間外労働の上限規制(年960時間)との組み合わせで、運送業全体の労働時間管理が大きく変わった。

1か月の拘束時間の原則が293時間から284時間に引き下げられた

「拘束時間」とは、始業から終業までの時間(休憩を含む)のことだ。改正前後の主な変更点は次のとおり。

項目 改正前(〜2024年3月) 2024年4月以降
1か月の拘束時間(原則) 293時間 284時間(9時間減)
1か月の拘束時間(年6か月まで認められる上限) 320時間 310時間(10時間減)
1年の拘束時間の上限 3,516時間 3,300時間(216時間減)
休息期間 継続8時間以上 11時間以上与えるよう努め、9時間を下回らない
1日の拘束時間(原則) 13時間 13時間(変更なし)
1日の拘束時間(上限) 16時間 15時間
1回の連続運転時間(上限) 4時間 4時間(変更なし)

月ごとの拘束時間は293時間から284時間に9時間減り、1年の上限も3,516時間から3,300時間に216時間減った。「緩和」ではなく「引き締め」の改正だ。これが「2024年問題」と呼ばれた背景にある。ドライバーが長時間働けなくなるため、同じ量の荷物を運ぶには人員増や効率化が必要になる。

休息期間の法的下限は9時間、11時間以上は努力義務

改正前の「継続8時間以上」から「11時間以上与えるよう努め、9時間を下回らない」に変わった。法的な下限は9時間であり、11時間は努力義務だ。改正前の8時間より法的下限が1時間伸びたことになる。

「継続」とは途中で中断しない連続した時間のことだ。2時間眠って4時間起きて3時間眠っても合計9時間にはならない。9時間を連続して確保する必要がある。実態として11時間以上取れるよう勤務シフトを組むことが望ましい。

長距離・2人乗務の場合は特例がある

1人の運転者が一方向だけ運転する「長距離運転」(片道450km超・フェリー利用等)では、1か月の拘束時間の上限が320時間まで認められるケースがある(労使協定が条件)。

2人乗務(同乗者が交互に運転する場合)は、車内のバースで休息を取れる場合に限り1日の拘束時間を延長できる特例がある。この場合でも、車内バースでの休息時間は「通常の休息期間の3分の2以上」を確保する必要がある。

改善基準告示の違反は、行政処分と労働基準監督署の指導の対象になる

改善基準告示は労働基準法に基づく行政指導の根拠になる。違反が確認されると、労働基準監督署から是正勧告が出る。悪質な場合は送検(刑事罰)の対象にもなる。国土交通省の監査(運輸局の運営指導)でも、運転日報と拘束時間の管理状況が確認される。

運転日報に実態が記録されていない場合(空白・虚偽)は、別途記録義務違反として行政処分の対象になる点も注意が必要だ。

軽貨物1人事業者への適用

改善基準告示は「労働者性のある運転者」に適用される基準であり、個人事業主(軽貨物1人事業者)は直接の対象外だ。ただし、実質的に専属的に使用されている場合など、労働者性の判断によっては適用される可能性がある。また、発注元(荷主や元請け)が改善基準告示を意識した発注量・配送時間の設定をするよう国土交通省が促している。

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出典:厚生労働省告示第396号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(2022年12月23日告示・2024年4月1日施行)、厚生労働省「改善基準告示の改正について」。作成:2026年10月。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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