就労定着支援の利用対象は、「一般就労」をした障害のある方です。この「一般就労」に何が含まれ、何が含まれないかは、利用対象者を判断する際の基本になります。パート・アルバイトや短時間勤務、就労継続支援A型での就労が対象になるかどうかを、法令と解釈通知から整理します。
「一般就労」とは、雇用契約に基づく一般の事業所での就労
就労定着支援は、「一般就労」をした方の就労継続を支援するサービスです(障害者総合支援法第5条第16項)。ここでいう「一般就労」とは、一般企業・社会福祉法人・公的機関(国・都道府県・市区町村など)・特例子会社などを含む一般の事業所との雇用契約に基づく就労です。
「雇用契約に基づく」という点が重要です。雇用保険・社会保険の加入の有無は問われませんが、事業主と労働者の間に雇用契約(労働契約)がある状態での就労であることが要件とされています。
就労継続支援A型での就労は「一般就労」に含まない
就労継続支援A型は、雇用契約を結んで就労するサービスです。しかし就労定着支援の対象となる「一般就労」には含まれません。
理由は、就労継続支援A型自体が障害福祉サービスであるためです。就労定着支援の目的は「障害福祉サービスを経て、一般の事業所で就労を継続できるよう支援すること」です。就労継続支援A型は障害福祉サービスの枠内での就労であり、「一般の事業所での就労」とは区別されています。
就労継続支援B型も同様に「一般就労」ではありません。B型は雇用契約なし(雇用によらない就労)であるため、そもそも「雇用契約に基づく就労」の要件を満たしません。
| 就労の種類 | 雇用契約 | 一般就労か | 就労定着支援の対象 |
|---|---|---|---|
| 一般企業・公的機関での正社員・契約社員 | あり | ○ | ○ |
| 一般企業でのパート・アルバイト | あり | ○ | ○ |
| 特例子会社での雇用 | あり | ○ | ○ |
| 社会福祉法人・医療法人の職員(障害福祉サービス以外) | あり | ○ | ○ |
| 就労継続支援A型 | あり | ×(福祉サービス内) | × |
| 就労継続支援B型 | なし | × | × |
| 就労移行支援(訓練中) | なし | × | × |
パート・アルバイト・短時間勤務は「一般就労」に含まれる
一般企業でのパート・アルバイト(雇用契約あり)は「一般就労」に含まれます。就労定着支援の利用対象の要件として「週何時間以上」という勤務時間の下限は定められていません。雇用契約があることが重要であり、短時間勤務・非常勤勤務であっても対象になります。
ただし、実際には市区町村の支給決定(受給者証の発行)が必要であり、支給決定の際に利用の必要性が判断されます。個々のケースについては、市区町村の相談窓口または計画相談支援事業所にご確認ください。
就労先の種類は問われない
「一般就労」の就労先は、以下のような事業所が含まれます。
- 一般企業(製造業・サービス業・小売業・IT・農業など、業種は問わない)
- 社会福祉法人・医療法人の職員(障害福祉サービス事業所以外の職場として就労している場合)
- 国・都道府県・市区町村(公務員として雇用されている場合)
- 特例子会社(障害のある方を雇用するために設立された子会社)
- NPO法人・公益法人・一般財団法人等
福祉の職場(介護施設・障害福祉サービス事業所の職員など)であっても、就労継続支援事業所以外での雇用であれば「一般就労」に当たります。
就職後6か月が経過してから就労定着支援を利用できる
就労定着支援の利用開始には、就職後6か月が経過していることが要件です(障害者総合支援法施行規則第6条の11)。就職直後から利用できるわけではありません。
6か月の起算点は、雇用契約が開始された日(就職日・雇用開始日)です。就職後6か月が経過した日から、就労定着支援の支給決定申請を行うことができます。
なぜ就職後6か月を待つのか
就職してから最初の6か月間は、就職前に利用していたサービス(就労移行支援など)が「職場定着のための支援」を担います。就労移行支援は、利用者が就職した後も一定期間、定着のための支援(就職後の定期的な連絡・職場訪問等)を提供する義務があります。
6か月が経過した後は就労移行支援による定着支援が終了し、さらに長期的な支援が必要な方については就労定着支援で継続する、という役割分担になっています。「6か月」という期間は、最初の定着支援期間を経た後に就労定着支援が引き継ぐ仕組みの区切りです。
就労定着支援の対象外となるケース
以下のケースは就労定着支援の利用対象外です。
- 就労継続支援A型・B型で就労しているケース:「一般就労」に当たらないため対象外
- 就労移行支援で訓練中のケース:訓練段階では雇用契約がなく、一般就労前の状態
- 就職後6か月未満のケース:6か月経過後に利用申請を行う
- 前提となるサービス(就労移行支援・就労継続支援・生活介護・自立訓練)のいずれかを経ていないケース:前提サービスを経ていない場合は、支給決定の対象外となる場合があります(詳細は市区町村に確認)
就労定着支援の利用者数・収支計画への影響
「一般就労した方を対象とする」という性質上、就労定着支援の利用者(契約者)は、就労移行支援や就労継続支援等から一般就職する方の数と連動します。自事業所で就労移行支援を運営している場合は、毎年の就職者数が就労定着支援の新規契約者数に直結します。
就職後6か月の待機期間がある分、契約者数が安定するまでに2〜3年かかります。この初期の収支についても事前に試算しておくことが重要です。
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参考・出典
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第5条第16項
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則第6条の11
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(解釈通知)
この記事は2026年11月時点の告示・通知に基づいています。報酬は改定されることがありますので、最新の告示を確認してください。
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