障害福祉サービスの報酬改定は3年ごとに行われます。直近の改定は令和6年(2024年)4月で、就労定着支援の報酬単価・区分体系が見直されました。次回の改定は令和9年(2027年)4月が予定されており、具体的な内容はまだ未確定ですが、今の体制を整えておくことが将来の収益安定につながります。令和6年改定の内容と令和9年改定への備えを整理します。
報酬改定は3年ごと。次回は令和9年(2027年)4月の予定
障害福祉サービスの報酬改定は、介護報酬と同じ3年サイクルで行われます。厚生労働省の社会保障審議会障害者部会および障害福祉サービス等報酬改定検討チームで議論が行われ、改定前年(令和8年・2026年)の秋〜冬ごろに報酬単価案が公表される見込みです。翌年4月から新単価が適用されます。
| 改定年度 | 適用開始 | 状況 |
|---|---|---|
| 令和3年(2021年)改定 | 2021年4月 | 実施済み |
| 令和6年(2024年)改定 | 2024年4月 | 実施済み(現行) |
| 令和9年(2027年)改定 | 2027年4月(予定) | 内容未確定 |
改定の議論は、改定の1〜2年前から社会保障審議会障害者部会で始まります。令和9年改定については令和7年(2025年)〜令和8年(2026年)にかけて本格的な議論が行われる見通しです。議事録・資料は厚生労働省ウェブサイトで公開されるため、開業・運営中の事業所は定期的に確認することをお勧めします。
令和6年改定での就労定着支援の主な変更点
令和6年(2024年)4月の改定では、就労定着支援の報酬について以下の変更が行われました。
就労定着率区分の7区分への整理
令和6年改定では、就労定着率に基づく報酬区分が整理されました。区分ごとの月額単位数は以下のとおりです。
| 区分 | 就労定着率 | 月額単位数 |
|---|---|---|
| 区分1 | 9割5分以上 | 3,512単位 |
| 区分2 | 9割以上9割5分未満 | 3,348単位 |
| 区分3 | 8割以上9割未満 | 2,768単位 |
| 区分4 | 7割以上8割未満 | 2,234単位 |
| 区分5 | 5割以上7割未満 | 1,690単位 |
| 区分6 | 3割以上5割未満 | 1,433単位 |
| 区分7 | 3割未満(新規1〜2年目含む) | 1,074単位 |
区分1(9割5分以上)と区分7(3割未満)の月額単位数の差は2,438単位/人です。利用者20名の場合、区分1と区分7では月約48,760単位(その他地域・10円換算で約487,600円)の収入差が生じます。
処遇改善加算の3本一括化
令和6年改定では、「福祉・介護職員処遇改善加算」「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」の3種類の加算が「福祉・介護職員等処遇改善加算」として一本化されました(経過措置あり)。算定要件・加算率が整理され、事務負担の軽減と加算算定率の向上が図られています。
令和9年改定で議論される可能性のあるポイント
令和9年改定の具体的な内容は未確定ですが、近年の障害福祉行政の動向から、以下のテーマが議論される可能性があります。いずれも現時点では見通しであり、確定情報ではありません。
- 支援の質の可視化・アウトカム評価の強化:就労定着率だけでなく、支援の内容・プロセスの質を評価する指標が検討される可能性があります。記録の整備・支援計画の精度向上が評価につながる方向性は、令和6年改定の延長線上にあります
- 利用者の重度化・高齢化への対応:精神障害・発達障害を持つ利用者の就労定着支援ニーズが増加する中、支援員の加配や専門性を評価する加算の新設・拡充が議論される可能性があります
- 小規模事業所の経営安定化:利用者数が少ない開業初期・規模の小さい事業所への配慮として、基本報酬の底上げや開業支援的な措置が検討される可能性があります
- ICT・デジタル技術活用の評価:オンライン支援・記録システムの活用などデジタル化を評価する仕組みが導入・拡充される可能性があります。ただし、対面支援を基本とする現行の方針が大きく変わるかは不明です
- 処遇改善加算の継続的な拡充:支援員の処遇改善は各改定で継続的に議論されているテーマです。令和9年改定でも加算率の見直しが行われる可能性があります
いずれも現時点では「議論される可能性がある」段階であり、実際の改定内容は令和8年度中に公表される告示・通知によって確定します。改定内容を早期に把握するには、社会保障審議会障害者部会の議事録・資料(厚生労働省ウェブサイトで公開)を定期的に確認することが有効です。
令和9年改定に備えて今できること
改定内容が確定していない段階でも、以下の取り組みは令和9年改定への備えと現在の収益安定の両方につながります。
- 就労定着率の向上:区分7(1,074単位)から区分4(2,234単位)以上への改善は、改定前後を問わず最も効果の大きい収益改善策です。利用者の就労継続を支える支援の質が直接報酬に反映されます
- 処遇改善加算の確実な算定:加算要件(計画書の作成・実績報告・賃金改善の実施)を毎年確実に対応することで、加算収入を安定的に得られます。令和9年改定で加算率が変わっても、算定実績があれば対応しやすくなります
- 支援記録の整備:実地指導・改定後の加算要件変更への対応として、月1回以上の支援記録・企業連携の記録・重要事項説明書の整備を日常的に行うことが基盤になります
- 情報収集の体制づくり:都道府県の担当課からの通知・指定権者からの案内を定期的に確認できる体制を整えます。改定の公表から適用まで数か月しかない場合もあるため、早期に情報を得ることが対応の余裕につながります
報酬改定情報の主な確認先
令和9年改定に関する最新情報は、以下の情報源から確認できます。
| 確認先 | 内容・特徴 |
|---|---|
| 厚生労働省ウェブサイト「障害福祉サービス等の報酬改定」 | 告示・通知・Q&Aを公開。改定内容の一次情報 |
| 社会保障審議会障害者部会の議事録・資料 | 改定の方向性・論点が確認できる。改定1〜2年前から閲覧可能 |
| 都道府県・政令市の担当課からの通知 | 自治体ごとの解釈・運用方針が示される。指定権者への事前相談窓口 |
| 業界団体(全国就労定着支援ネットワーク等)の研修・情報提供 | 事業者向けの解説・研修機会 |
収支計画への影響をシミュレーションしながら改定準備を進めたい場合は、就労定着支援 収支シミュレーター(無料)で利用者数・就労定着率区分を変えた試算が行えます。報酬改定後の単価に差し替えることで、改定の影響を即座に確認できます。
参考・出典
- 障害福祉サービス等報酬告示(令和6年厚生労働省告示第159号)
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」
- 社会保障審議会障害者部会 議事録・資料(厚生労働省ウェブサイト)
この記事は2026年11月時点の情報に基づいています。報酬改定の内容は変更される場合があります。最新情報は厚生労働省ウェブサイトでご確認ください。
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