消防設備士 乙6の法令(類別)4問。設置基準と能力単位の出題テーマを整理します

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消防設備士 乙6の法令(類別)4問。設置基準と能力単位の出題テーマを整理します

消防設備士 乙6の筆記試験は30問で、法令(類別)はそのうち4問です。科目ごとに足切りがあり、法令(類別)は2問以上正解しないと科目不合格になります(消防法施行規則第33条の12)。4問中1問しか落とせないため、試験範囲を絞って準備する必要があります。

同じ「法令」でも、法令(共通)と法令(類別)は試験範囲が別です。法令(共通)は消防法全体に共通するルール(防火管理者・設置維持義務・立入検査・検定制度など)を扱います。法令(類別)はその名のとおり「第6類に固有の法令」に絞られており、消火器の設置・配置・能力単位・業務範囲が中心です。

この記事では、法令(類別)に繰り返し出題される5つのテーマを、消防法施行令・施行規則の条文と照らし合わせて整理します。

法令(類別)の科目概要

乙6の筆記試験は5科目です。各科目の問題数と足切りラインは次のとおりです。

科目 問題数 足切りライン(最低正解数)
法令(共通) 6問 3問以上
法令(類別) 4問 2問以上
基礎的知識(機械) 5問 2問以上
構造・機能・整備(機械) 9問 4問以上
規格(消火器) 6問 3問以上

合格するには、全科目で足切りをクリアしたうえで、筆記全体(30問)で18問以上正解(60%以上)、さらに鑑別(実技5問)でも3問以上正解が必要です(施行規則第33条の14)。

法令(類別)の4問は、試験全体の点数に占める比率は小さいですが、足切り不合格になると他の科目が満点でも不合格になります。必ず2問以上取る準備をしておきます。

テーマ1:消火設備の分類(消防法施行令第7条)

消防法施行令第7条は、消防用設備等のうち「消火設備」の種類を第一号から第六号に分類しています。

号 設備の種類
第一号 消火器及び簡易消火用具(水バケツ・水槽・砂・膨張ひる石・膨張真珠岩)
第二号 屋内消火栓設備
第三号 スプリンクラー設備
第四号 水噴霧消火設備等(ウォーターミスト・泡消火の一部を含む)
第五号 泡消火設備等
第六号 ハロゲン化物消火設備・二酸化炭素消火設備等

消火器と簡易消火用具は「消防法施行令第7条第1項第一号」に分類されます。試験では「消火器はどの号か」「簡易消火用具と同じ号に属するのはどれか」という問い方で出ることがあります。

簡易消火用具は水バケツ・水槽・砂などのいわゆる「非常用の手段」で、消火器と同じ号にまとめて位置づけられています。乙種第6類はこの第一号の設備を扱う類です。

テーマ2:設置義務がある防火対象物(消防法施行令第10条)

消防法施行令第10条は、消火器または簡易消火用具の設置義務がある防火対象物の基準を定めています。

代表的な数字は次のとおりです。

防火対象物の種類 設置義務が生じる延べ面積
特定防火対象物(飲食店・百貨店・病院・旅館など) 延べ面積150m²以上
非特定防火対象物(事務所・工場・倉庫・共同住宅など) 延べ面積300m²以上

「特定防火対象物」とは、不特定多数の人が出入りする施設または避難が難しい人が利用する施設です。火災の危険性が高いため、設置基準が150m²と厳しく設定されています。

面積基準に達していなくても、消火器の設置が義務となるケースがあります。

  • 指定可燃物(綿花・わら・木毛・ゴムくずなど)を一定量以上貯蔵・取り扱う場所
  • ボイラーや炉などの火気使用設備が設置されている場所(用途と能力に応じて)
  • 劇場・映画館など(別表第一(一)項)の特定用途は面積によらず設置が必要な場合がある

試験では「延べ面積がいくら以上で消火器の設置が必要か」という数字の問題が頻出です。150m²(特定)と300m²(非特定)の区別を整理しておきます。

テーマ3:歩行距離と設置高さ(消防法施行規則第9条)

消防法施行規則第9条は、消火器を設置する位置の基準を定めています。重要な数字は「歩行距離」と「設置高さ」の2つです。

消火器の種類 歩行距離 設置高さ(床面からの高さ)
消火器(大型以外) 20m以下 1.5m以下
大型消火器 30m以下 1.5m以下

「歩行距離」は、建物の内部を実際に歩いた経路の長さです。壁や柱を迂回する経路を含みます。水平距離ではないため、廊下が折れ曲がっている建物では注意が必要です。階段がある場合は、階段を上り下りした経路の長さも含めて計算します。

設置高さ「1.5m以下」は、床面からの高さが1.5メートル以下の箇所に設けることを定めた規定です(消防法施行規則第9条)。立ったまま誰でも取り出せる高さを確保するための規定です。

大型消火器は能力単位が大きく、1台で複数の通常型消火器の役割を果たします。設置できる範囲が広い(歩行距離30m)ため、大型施設に設置されることがあります。

テーマ4:能力単位の計算(消防法施行規則第6条)

消防法施行規則第6条は、防火対象物に必要な消火器の「能力単位」の計算方法を定めています。

消火器のラベルには能力単位が「A-3」「B-7」のように表示されています。AはA火災(普通火災)、BはB火災(油火災)の能力単位を表し、数字が大きいほど消火能力が高い製品です。

必要な能力単位の計算式は次のとおりです。

必要能力単位 = 延べ面積(m²)÷ 基準面積(m²/単位)
端数は切り上げ(例:2.5単位→3単位)

基準面積は防火対象物の用途によって異なります。代表的な区分は次のとおりです。

防火対象物の用途区分(別表第一) 基準面積
劇場・映画館・公会堂など(一項) 50m²/単位
飲食店・百貨店・ホテル・病院など(二〜六項) 100m²/単位
事務所・学校・図書館など(七〜十二項) 200m²/単位
倉庫・格納庫(十三項) 200m²/単位

例:延べ面積450m²の飲食店(基準面積100m²)の場合

450 ÷ 100 = 4.5 → 切り上げて5単位が必要

試験では数字を入れた計算問題が出ることがあります。基準面積の区分(劇場50・多くの施設100・事務所や倉庫200)と「端数は切り上げ」のルールを確認しておきます。

テーマ5:乙6でできる業務範囲(消防法施行令第36条の2)

消防法施行令第36条の2は、消防設備士が行える業務の種類を「工事・整備・点検」に分け、類別に整理しています。

乙種第6類の業務範囲は次のとおりです。

業務 乙6でできるか
整備(分解・清掃・薬剤充填・部品交換など) できる
点検(外観・機能・総合点検) できる
工事 第6類には甲種がないため、工事の業務独占規定は存在しない

第6類は甲種消防設備士が存在しない類です。消火器の設置自体(配置する行為)は消防設備士でなくても行えます。消防設備士(乙6)の業務独占は、消火器の「整備」と「点検」の部分です。

点検は6か月ごとに行い、結果を消防機関に定期的に報告します(消防法第17条の3の3)。乙6を持つ者は、この点検業務を有償で行うことができます。

試験では「乙6でできる業務はどれか」「消防設備士でなくても行える作業はどれか」という選択問題が出ることがあります。整備と点検が有資格者の独占業務・消火器の単純な設置・撤去は資格不要という整理で対応できます。

出題パターン3つ

法令(類別)の出題には、次の3つのパターンに整理できます。

パターン1:数字を直接問う

「消火器の歩行距離は何m以下か」「大型消火器の歩行距離は何m以下か」「設置高さは何m以下か」のように、条文の数字をそのまま選ばせる問題です。20m・30m・1.5m・150m²・300m²などの数字を表にまとめて確認しておくと対応できます。

パターン2:正誤の組み合わせを問う

複数の記述を並べて「正しいものをすべて選べ」「誤りを1つ選べ」という形式です。歩行距離と設置高さを取り違えた選択肢や、特定と非特定の面積を入れ替えた選択肢が混ざることがあります。数字を「大型/非大型」「特定/非特定」の組み合わせで覚えておくと区別しやすくなります。

パターン3:能力単位の計算

「延べ面積と用途が与えられたとき、必要な能力単位はいくらか」という計算問題です。基準面積の区分を確認し、端数を切り上げる手順を練習しておけば正解できます。劇場50・ほとんどの施設100・事務所/倉庫200の3区分を優先して覚えます。

まとめ

法令(類別)の5つのテーマは次の表にまとめられます。

テーマ 根拠条文 おもに押さえること
消火設備の分類 施行令第7条 消火器は第一号(簡易消火用具も同じ号)
設置義務がある建物 施行令第10条 特定150m²・非特定300m²以上
歩行距離・設置高さ 施行規則第9条 非大型20m・大型30m・設置高さ1.5m以下
能力単位の計算 施行規則第6条 延べ面積÷基準面積(切り上げ)
業務範囲 施行令第36条の2 乙6は整備と点検のみ(工事の規定はない)

4問中2問以上が合格ラインです。数字を覚えることが中心の科目なので、問題集で繰り返し解いて確認するのが最も確実な対策です。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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