計算問題は「どの公式を使うか」を先に決める
消防設備士乙種第6類の「基礎的知識(機械)」は5問出題され、うち2問以上正解で合格基準を満たします(消防法施行規則第33条の12)。この科目で出る計算問題は数学的に難しくはありませんが、問題文の言葉から使う公式を選ぶ段階でつまずく受験者が多くいます。ここでは計算問題をステップ別に整理します。
ステップ1:問題文のキーワードで公式を選ぶ
乙6の計算問題で登場する公式は次の6種類です。まず問題文のキーワードを見て、どの公式を使うかを決めます。
| キーワード | 使う公式 |
|---|---|
| 力、支点、距離、モーメント | モーメント=力×支点からの距離 |
| 荷重、断面積、応力、安全率 | 応力=荷重÷断面積、安全率=基準強さ÷許容応力 |
| 圧力、体積(温度一定) | ボイルの法則:P₁V₁=P₂V₂ |
| 体積または圧力、温度(一方が一定) | シャルルの法則:V₁/T₁=V₂/T₂ または P₁/T₁=P₂/T₂ |
| 動滑車、引く力 | 動滑車1個:引く力=荷重÷2 |
| 仕事、距離、動力、時間 | 仕事=力×距離、動力=仕事÷時間 |
ステップ2:単位を確認して揃える
計算問題でミスが起きやすいのは単位の変換です。次の変換をあらかじめ確認しておきます。
- 温度:ケルビン(K)=摂氏(℃)+273。シャルルの法則はK(絶対温度)で計算する
- 圧力:1MPa=1,000kPa。試験では単位のまま揃えれば計算できる問題が多い
- 面積:単位が混在していないか(mm²とcm²の混在など)を確認してから代入する
単位を揃えてから数値を代入することで、単純な計算ミスを防げます。
ステップ3:公式に代入して計算する
公式が決まったら、問題文の数値をそのまま代入します。途中の計算は省略せず、式を書いてから数値を入れると転記ミスが減ります。
例題:ボイルの法則
「圧力が0.5MPaで体積が4Lの気体を、温度を変えずに体積を2Lにした。このときの圧力はいくらか。」
使う公式:P₁V₁=P₂V₂
代入:0.5×4=P₂×2
計算:P₂=(0.5×4)÷2=1.0MPa
例題:シャルルの法則
「27℃で体積が3Lの気体を、圧力を変えずに127℃に加熱した。体積はいくらか。」
温度変換:27℃→300K、127℃→400K
使う公式:V₁/T₁=V₂/T₂
代入:3÷300=V₂÷400
計算:V₂=(3×400)÷300=4L
例題:力のモーメント
「支点から2mの位置に50Nの力を加えたとき、モーメントはいくらか。」
使う公式:モーメント=力×距離
計算:50×2=100N・m
ステップ4:選択肢と照合して、単位も確認する
答えを出したら、選択肢の単位(N・m、L、MPaなど)が問われている単位と一致しているか確認します。選択肢に近い数値が2つある場合は、単位変換を見落としている可能性があります。
計算問題が出ないテーマと出やすいテーマの比較
基礎的知識(機械)の5テーマのうち、計算問題が出やすいのはボイル・シャルルの法則と力(モーメント・仕事・動力)です。金属の熱処理・応力-ひずみ線図・イオン化傾向は定性的な知識問題(数値を使わない)として出ることが多いです。
| テーマ | 計算あり | 出題形式の傾向 |
|---|---|---|
| 力・モーメント・仕事・動力 | あり | 数値代入・計算 |
| ボイルの法則・シャルルの法則 | あり | 数値代入・計算(温度変換に注意) |
| 応力と安全率 | あり | 数値代入・計算または定義の確認 |
| 金属の熱処理 | なし | 焼きなまし・焼き入れ・焼きならし・焼き戻しの目的 |
| イオン化傾向・腐食 | なし | 大小関係・腐食する側 |
計算問題の対策は「公式の確認→単位変換→代入」の繰り返し
計算問題の得点を安定させるコツは、公式を暗記した後で実際に数値を代入する練習を繰り返すことです。公式は覚えているのに問題が解けないケースの多くは、単位変換(特に℃→Kの変換)の見落としか、問題文のキーワードと公式が結びついていない状態です。問題集で1テーマあたり3〜5問解けば、パターンが見えてきます。
まとめ
- 問題文のキーワードを見て使う公式を先に決める
- シャルルの法則はK(絶対温度)に変換してから代入する
- 単位を揃えてから数値を代入する
- 計算結果の単位が選択肢の単位と一致しているか確認する
- 金属・イオン化傾向は数値問題ではなく定性的な知識問題として出やすい


コメント