計画相談支援事業所では、感染症及び食中毒の予防とまん延防止のための研修が義務付けられています。令和3年度の障害福祉サービス等報酬改定で全事業所に設置・実施が求められるようになりました。訪問業務が中心となる計画相談支援の特性をふまえ、研修で扱うべき内容と年間計画への組み込み方を整理します。
感染症研修の実施義務:根拠と頻度
指定特定相談支援・指定一般相談支援の運営基準(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定地域相談支援の事業の一般原則等を定める省令等)では、次の要件が定められています。
- 感染症及び食中毒の予防及びまん延防止のための指針の整備
- 感染症・食中毒の予防及びまん延防止のための委員会の開催(おおむね6か月に1回以上)
- 委員会の結果を踏まえた研修(年2回以上)の実施
- 研修の実施内容の記録と3年間保存
「年2回以上」という頻度は、同じ令和3年度改定で他の障害福祉サービスや介護サービス事業所に定められた要件と共通です。上半期・下半期の2回に分けて実施する事業所が多く見られます。
訪問業務中心の事業所が研修で扱うべき内容
計画相談支援は、相談支援専門員が利用者の自宅や施設に出向いてアセスメントやサービス等利用計画の作成・モニタリングを行います。事務所に利用者が来るのではなく、外に出て複数の家庭・施設を訪問するスタイルのため、感染リスクの特性が他の事業所と異なります。
訪問業務特有の感染リスク
- 持ち込みリスク:外部(他の訪問先・公共交通機関・地域)から事務所・訪問先に感染症を持ち込む
- 持ち帰りリスク:利用者宅で感染症患者と接触した後、次の訪問先や事務所に持ち帰る
- 複数利用者への連鎖:1日に複数の利用者宅を訪問するため、感染を連鎖させる可能性がある
- 利用者の基礎疾患:障害のある方は重症化しやすいケースがある
研修で扱う標準的な内容
指針・通知に基づく研修内容の標準例は次のとおりです。
| 項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 感染症の基礎知識 | インフルエンザ・ノロウイルス・COVID-19・疥癬など主要な感染症の特徴、感染経路(飛沫・接触・空気・経口) |
| 標準予防策(スタンダードプリコーション) | 手洗い・手指消毒の正しい方法、マスク・手袋・エプロンの着脱手順、咳エチケット |
| 訪問時の具体的な対応 | 訪問前のチェック(発熱等の確認)、訪問先での換気・消毒、使用した物品の取り扱い |
| 発生時の対応 | 利用者・職員が感染した場合の報告ルート、保健所への相談・届出、業務継続(BCP)との連携 |
| 食中毒予防 | 利用者宅での飲食に注意が必要なケース、食品取り扱い時の衛生管理 |
研修の実施方法と記録のポイント
実施方法
少人数の事業所が多い計画相談支援では、外部の集合研修への参加や、オンライン研修(eラーニング)を活用して「年2回以上」の要件を満たすケースもあります。自治体が主催する感染症対策研修の受講も認められる場合があるため、指定権者(市区町村・都道府県)の案内を確認しましょう。
記録の作成と保管
研修を実施したら、次の内容を記録し3年間保存します。
- 実施日時・研修テーマ
- 参加者氏名(全職員が参加していることを確認できる形で)
- 研修の内容概要(使用した資料を添付するとよい)
- 研修を受けての今後の対応・改善事項
指定更新時や運営指導(実地指導)の際に記録の提示を求められることがあります。法定研修キットには計画相談支援向けの感染症研修用テンプレートが含まれており、記録票の書き方の参考になります。
委員会と研修の関係
「委員会の開催おおむね6か月に1回以上」と「研修の年2回以上」は、連動して実施することが推奨されます。委員会で感染症の発生状況や対策の見直しを議論し、その結果を研修に反映する流れが基本です。
少人数の相談支援事業所では委員会の「委員」が1〜2名になることもありますが、形式的な開催でも記録を残すことが重要です。外部の専門家(医師・保健師・感染管理看護師など)を委員に加えることで、感染対策の質を高めることができます。
まとめ
計画相談支援の感染症研修は、年2回以上の実施と記録の保管が義務です。訪問業務が中心のため、持ち込み・持ち帰りリスクと複数利用者への連鎖防止が重点テーマになります。委員会と研修をセットで年間計画に組み込み、外部研修の活用も検討しながら継続的に取り組みましょう。


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