消防設備士 乙6の法令(共通)6問。頻出テーマと出題パターンを整理します

消防設備士 乙6の法令(共通)6問。頻出テーマと出題パターンを整理します 資格



消防設備士 乙6の筆記試験は5科目で30問が出題されます。

このうち「消防関係法令(消防設備士に関して共通する部分)」は6問です。合格には3問以上の正解が必要です(消防法施行規則第33条の14・各科目40%以上)。

法令の共通部分は、消防設備士全体に共通する消防法の基本的な規定から出題されます。乙6だけに固有の内容ではなく、「消防とはどういう制度か」を問う問題が中心です。この記事では、頻出テーマ6つと出題パターンを整理します。

問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
▶ 消防設備士 乙種第6類 問題集

科目の位置づけと合格ライン

消防法施行規則第33条の12は、乙6の試験科目と問題数を定めています。

科目 問題数 合格に必要な最低正解数
消防関係法令(共通部分) 6問 3問以上(40%以上)
消防関係法令(第6類に関する部分) 4問 2問以上(40%以上)
基礎的知識(機械に関する部分) 5問 2問以上(40%以上)
構造・機能及び工事・整備の方法(機械) 9問 4問以上(40%以上)
消火器及び消火薬剤の規格 6問 3問以上(40%以上)
筆記合計 30問 18問以上(60%以上)

法令(共通)は6問・3問以上で通過です。「各科目の足切りは40%以上」という基準は消防法施行規則第33条の14に定められています。40%の計算は「6問×40%=2.4問」となり、切り上げて3問以上の正解が必要です。

6問という問題数は5科目の中では少ない方ではありませんが、1問の重みは比較的小さいです。しっかり押さえれば5〜6問を取れる科目で、全体の得点を底上げできます。

頻出テーマ1:防火管理者の選任義務

消防法第8条は、防火管理者の選任義務を定めています。一定規模以上の建物の管理権原者は、防火管理者を定めて消防計画の作成・避難訓練の実施などを行わせなければなりません。

選任が必要な建物

収容人数と用途によって、選任の要否・防火管理者の種別(甲種・乙種)が変わります。

  • 甲種防火管理者が必要:特定防火対象物(不特定多数が使用する施設)で収容人数30人以上かつ延べ面積300㎡以上、非特定防火対象物(工場・倉庫など)で収容人数50人以上かつ延べ面積500㎡以上(消防法施行令第3条)
  • 乙種防火管理者で足りる:延べ面積が上記の基準以下の建物

試験では「次の建物のうち、防火管理者の選任が必要なものを選べ」という形で出ることがあります。収容人数・延べ面積・用途の3つが絡む問題です。

防火管理者の義務

選任された防火管理者は、消防計画を作成して消防署長に届け出ること・消防計画に基づいた消火・通報・避難の訓練の実施・消防用設備等の点検・整備などを行います(消防法第8条第1項)。

「管理権原者(建物のオーナー・管理者)が防火管理者を選任する義務を持つ」という点も問われることがあります。防火管理者自身が義務を持つのではなく、管理権原者が選任する義務を負うという整理です。

頻出テーマ2:消防用設備等の設置・維持義務

消防法第17条第1項は、一定規模以上の建物の関係者(所有者・管理者・占有者)が、消防用設備等を設置し、維持しなければならないことを定めています。

「関係者」という主体

設置・維持の義務を負うのは「防火対象物の関係者」です。消防設備士や点検業者ではありません。試験では「消防用設備等の設置・維持義務を負うのは誰か」という形で問われることがあります。

関係者には所有者・管理者・占有者が含まれます(消防法第2条第4項)。マンションであれば管理組合・店舗であればテナントなど、占有者も「関係者」に該当します。

政令で定める基準

どの建物にどのような設備が必要かは、消防法施行令で定められています。消火器の設置が必要な建物・設置本数・配置の基準などは施行令・施行規則の規定による、という構造になっています。消防法第17条は「政令で定める技術上の基準に従って設置・維持せよ」と規定しており、具体的な基準は施行令以下に委ねられています。

頻出テーマ3:消防設備士の甲種と乙種の業務範囲

消防法第17条の5は、消防用設備等(政令で定めるもの)の工事・整備は消防設備士でなければ行えないことを定めています。消防法施行令第36条の2は、その対象設備を具体的に列挙しています。

甲種と乙種の違い

  • 甲種消防設備士:消火設備・警報設備・避難設備の「工事」「整備」「点検」ができます。
  • 乙種消防設備士:消防用設備等の「整備」「点検」ができます。「工事」はできません。

試験では「乙種消防設備士の業務として正しいものを選べ」という形で、工事・整備・点検のどれができるかが問われます。乙6でできるのは整備と点検のみで、新設工事や改造工事は業務外です。

第6類・第7類に甲種は存在しない

消防設備士の甲種は第1類から第5類・特類まで存在しますが、第6類(消火器)と第7類(漏電火災警報器)には甲種がありません。これは、消火器と漏電火災警報器が「設備の工事」ではなく「既製品を設置する」ことを前提としているためです。

つまり、消火器の工事は消防設備士の業務独占の対象外です(一般の人でも設置できる)。消防設備士 乙6は消火器の整備・点検を業務とする資格であり、設置そのものを独占する資格ではありません。この点の整理は試験でも問われます。

頻出テーマ4:消防用設備等の点検・報告義務

消防法第17条の3の3は、消防用設備等の点検と点検結果の報告義務を定めています。

点検の種類と頻度

点検の種類 頻度 内容
機器点検 6か月ごと 設備の外観・機能を確認する
総合点検 1年ごと 設備を実際に作動させて総合的に確認する

報告の頻度と報告先

点検の結果は、消防長または消防署長に報告します(消防法第17条の3の3)。報告の頻度は建物の用途によって異なります。

  • 特定防火対象物(不特定多数が使用する施設・デパート・病院・ホテルなど):1年ごと
  • 非特定防火対象物(工場・倉庫・共同住宅・学校など):3年ごと

試験では「消防用設備等の点検結果の報告頻度として正しいものを選べ」という形で出ます。特定防火対象物が1年ごと・非特定が3年ごと、この数字を確認しておきます。

点検を行える者

消防用設備等の点検は、消防設備士または消防設備点検資格者が行います(消防法施行令第36条の2・第36条の2の2)。建物の規模・設備の種類によって、どちらが対応するかが変わります。消火器は乙6・甲種1〜3類・消防設備点検資格者(第1種)が点検できます。

頻出テーマ5:立入検査

消防法第4条は、消防長・消防署長の立入検査権を定めています。消防職員は、消防用設備等の設置状況・防火管理の状況を確認するために、建物に立入検査を行うことができます。

立入検査の対象と権限

立入検査ができるのは「消防長または消防署長」が命じた消防職員です(消防法第4条第1項)。関係者は正当な理由がなければ立入検査を拒否することができません。

試験では「立入検査を行うことができるのは誰か」という形で問われることがあります。消防長・消防署長に権限があり、消防職員が実際の検査を行います。消防設備士が立入検査を行う権限は持っていません。

立入の時間帯

消防法第4条は、関係のある場所への立入について「日出から日没まで」が原則ですが、飲食店・宿泊施設・娯楽施設など夜間も営業している場所には夜間でも立入できる旨が定められています。

頻出テーマ6:消防用機械器具等の検定制度

消防法第21条の2以下には、消防用機械器具等の検定に関する規定があります。消火器はこの検定対象品です。

検定の仕組み

消防用機械器具等の検定は、「型式承認」と「型式適合検定」の2段階で構成されます。

  • 型式承認:消防庁長官が、申請のあった消防用機械器具等の型式(設計・構造)が技術上の基準に適合しているかを審査・承認します(消防法第21条の3)。
  • 型式適合検定:日本消防検定協会(または登録検定機関)が、製造された個々の製品が型式承認を受けた設計と適合しているかを確認します(消防法第21条の6)。

型式適合検定に合格した製品には検定合格の表示が付けられます(消防法第21条の9)。消防設備士の試験では「検定に合格した製品はどの機関が確認するか」「型式承認と型式適合検定の違い」という形で問われることがあります。

消火器は検定対象品

消防法施行令第37条は、検定対象品の種類を列挙しています。消火器はこの一覧に含まれます。つまり、市場に流通している消火器は型式承認・型式適合検定を経た製品です。

消防設備士がメンテナンスや整備を行う消火器が「検定を受けた製品」という前提に立っていることは、実務においても意味のある理解です。

科目免除の扱い

消防設備士試験の共通法令は、一定の条件を満たすと免除を受けられます(消防法施行規則第33条の12ただし書き)。

具体的には、すでに消防設備士の免状を持っていて、その同じ種類(甲種か乙種)の他の類の試験を受ける場合、共通法令が免除されます。

たとえば、乙6の免状を取得済みで乙4の試験を受ける場合、共通法令の6問が免除になります。免除を使った場合、試験時間も短縮されます。科目免除の詳細については別記事「消防設備士 乙6の科目の一部免除」でまとめています。

出題パターンのまとめ

法令(共通)の問題は、おおむね次の4つの出題パターンに整理できます。

パターン1:義務の主体を問う
「消防用設備等を設置・維持する義務を負うのは誰か」「防火管理者の選任義務を負うのは誰か」など。誰が義務を持つかを正確に答えるパターンです。消防設備士・防火管理者・管理権原者・関係者などの用語の意味を確認します。

パターン2:数字を問う
「機器点検の頻度は」「特定防火対象物の報告頻度は」など、期間や数字を答えるパターンです。機器点検6か月・総合点検1年・特定は1年・非特定は3年、という4つの数字を確実に押さえます。

パターン3:業務範囲を問う
「乙種消防設備士の業務として正しいものを選べ」「甲種にしかできない業務はどれか」など。工事ができるのは甲種のみ・乙種は整備と点検・第6類に甲種はない、という整理で答えられます。

パターン4:制度の仕組みを問う
「検定対象品の確認を行う機関はどれか」「型式承認と型式適合検定の違いを答えよ」など。検定制度の2段階(型式承認→型式適合検定)と担当機関(消防庁長官→日本消防検定協会)を整理します。

対策のポイント

1. 数字を4つに絞って覚える

機器点検6か月・総合点検1年・特定防火対象物の報告1年・非特定の報告3年。この4つの数字は試験で毎回のように問われます。「総合点検と特定防火対象物の報告がどちらも1年」という点は混同しやすいため、別の意味での「1年」だということを意識して整理します。

2. 義務の「主体」を意識して覚える

法令の問題では、「誰が」義務を持つかが問われます。消防用設備等の設置・維持義務は「関係者(所有者・管理者・占有者)」・防火管理者の選任義務は「管理権原者」・消防設備士の業務義務は「消防設備士本人」という整理が出発点です。

3. 甲種・乙種の業務範囲は表で覚える

工事ができるのは甲種のみ・乙種は整備と点検・第6類に甲種はない、というシンプルな整理で十分です。乙6の試験では乙種に関する問いが多いため、「乙種でできること・できないこと」を先に確認します。

まとめ

消防設備士 乙6の法令(共通)は6問・3問以上で通過です(消防法施行規則第33条の14)。頻出テーマは6つです。

  1. 防火管理者の選任義務(消防法第8条):管理権原者が選任義務を持つ
  2. 消防用設備等の設置・維持義務(消防法第17条):関係者(所有者・管理者・占有者)が義務を持つ
  3. 消防設備士の業務範囲(消防法第17条の5・施行令第36条の2):甲種は工事・整備・点検、乙種は整備・点検のみ
  4. 消防用設備等の点検・報告(消防法第17条の3の3):機器点検6か月・総合点検1年・特定は報告1年・非特定は3年
  5. 立入検査(消防法第4条):消防長・消防署長の命を受けた消防職員が行う
  6. 検定制度(消防法第21条の2〜):型式承認(消防庁長官)→型式適合検定(日本消防検定協会)の2段階

義務の主体・数字・業務範囲の3点を軸に整理すると、出題パターンの大半に対応できます。

問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
▶ 消防設備士 乙種第6類 問題集

【関連記事】
消防設備士 乙6の試験ガイド
科目の一部免除
合格したあとの流れ

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
資格
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました