消防設備士 乙種第6類(乙6)の合格率は、令和7年度で35.6%です。受験者32,400人のうち、合格者は11,541人でした。令和2年度の42.7%から5年続けて下がっていて、乙種の7つの類の中では、高いほうから3番目です。この記事では、消防試験研究センターが公表している数字をもとに、乙6の合格率の推移、ほかの類との比べ方、申し込んだのに受けなかった人の多さ、そして合格ラインを問題数に直したときの「落とせる問題の数」をまとめます。
作成:fufumumu_design(ふふ)/作成日:2026年10月1日/受験者数・合格率の数字は、一般財団法人消防試験研究センター「試験実施状況」(令和元年度〜令和7年度、2026年10月1日に確認)から引いています。法令・点検の数字の出典は、本文に記載しています。
乙6の合格率は、令和2年度から毎年下がっている
令和2年度から令和7年度までの、乙6の受験者数・合格者数・合格率は、次のとおりです。年度は4月から翌年3月までで、その年度に全国で行われた試験の合計です。
| 年度 | 申請者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和2年度 | 26,361人 | 20,955人 | 8,944人 | 42.7% |
| 令和3年度 | 32,888人 | 25,634人 | 10,240人 | 39.9% |
| 令和4年度 | 32,151人 | 25,023人 | 9,712人 | 38.8% |
| 令和5年度 | 32,327人 | 25,136人 | 9,567人 | 38.1% |
| 令和6年度 | 33,393人 | 25,835人 | 9,345人 | 36.2% |
| 令和7年度 | 42,082人 | 32,400人 | 11,541人 | 35.6% |
出典:一般財団法人消防試験研究センター「試験実施状況」令和元年度〜令和7年度
表から読み取れることは、3つあります。
- 合格率は、令和2年度から毎年下がり、5年で7.1ポイント下がった(令和2年度42.7%から令和7年度35.6%)。ただし、令和元年度は38.3%(受験者21,333人・合格者8,176人)で、令和2年度は高かった年です。令和元年度と比べると、2.7ポイントの差です
- 受験者数は、令和3年度から令和6年度まで、ほぼ2万5千人台で横ばいでした
- 令和7年度は、受験者が前の年より6,565人増えた(25,835人から32,400人、約25%の増加)
令和7年度の増加の理由は、センターの資料には書かれていません。受験者が増えた年も合格率は下がり続けているので、「受ける人が増えて、易しくなった」という読み方はできません。
合格率が下がっている理由も、公表されている資料からは分かりません。問題が難しくなったのか、受ける人の準備の状況が変わったのかは、数字だけでは区別できないためです。確かに言えるのは、「受けた人のうち、合格したのは3人に1人ほど」という実績です。
申し込んだ人の2割強は、試験を受けていない
表の「申請者数」と「受験者数」を比べると、申し込んだのに試験を受けなかった人が、毎年一定の割合でいることが分かります。
| 年度 | 申請者数 | 受験者数 | 受けなかった人 | 受けなかった割合 |
|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 32,327人 | 25,136人 | 7,191人 | 22.2% |
| 令和6年度 | 33,393人 | 25,835人 | 7,558人 | 22.6% |
| 令和7年度 | 42,082人 | 32,400人 | 9,682人 | 23.0% |
「受けなかった人」「受けなかった割合」は、上の表の申請者数と受験者数から当サイトが計算しました。
申し込んだ人の22〜23%、つまり4〜5人に1人が、試験の日に受けていない計算です。理由は分かりませんが、準備が間に合わなかった人もいると考えられます。試験手数料(乙種4,400円)は、一度納めると返ってきません。申し込む時点で、試験の日までの勉強の予定を立てておくと、手数料を無駄にしにくくなります。
なお、合格率は「受験者数」を分母にしています。受けなかった人は、合格率の計算に入っていません。
乙6の合格率は、乙種の7つの類のうち高いほうから3番目
令和7年度の、消防設備士の乙種の類ごとの合格率は、次のとおりです。
| 類 | 主な対象 | 受験者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 乙種第1類 | 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備など | 2,048人 | 28.5% |
| 乙種第2類 | 泡消火設備 | 790人 | 29.7% |
| 乙種第3類 | 不活性ガス消火設備、粉末消火設備など | 965人 | 26.8% |
| 乙種第4類 | 自動火災報知設備など | 8,047人 | 34.0% |
| 乙種第5類 | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 | 1,168人 | 41.2% |
| 乙種第6類 | 消火器 | 32,400人 | 35.6% |
| 乙種第7類 | 漏電火災警報器 | 5,822人 | 64.7% |
| 乙種の合計 | 51,240人 | 38.3% |
出典:一般財団法人消防試験研究センター「試験実施状況」令和7年度。類ごとの対象は、消防法施行規則第33条の3の表から主なものを抜き出しました。
乙6の合格率35.6%は、乙種の合計(38.3%)より少し低く、7つの類の中では高いほうから3番目です。一方、受験者数は32,400人で、乙種の受験者全体(51,240人)の約63%を乙6が占めています。消防設備士の乙種を受ける人の半分以上が、乙6を受けているということです。
合格率だけで「どの類が易しいか」を比べるのは、注意が必要です。受験者が少ない類は、仕事でその設備を扱っている人が多く受けている可能性があり、受ける人の顔ぶれが類ごとに違うためです。合格率は、試験そのものの難しさと、受ける人の準備の度合いが合わさった数字だと考えておくのが正確です。
同じ乙種でも、危険物取扱者の乙4より合格率は少し高い
消防試験研究センターは、危険物取扱者試験も実施しています。令和7年度の危険物取扱者の乙種第4類(乙4)の合格率は31.9%で、受験者は222,545人でした。乙6(35.6%)の合格率は、乙4より3.7ポイント高い数字です。
ただし、消防設備士の乙6には、写真や図を見て答えを書く記述式の鑑別(5問)があります。合格率が近くても、危険物の試験と同じ準備で足りるとは限らないので、鑑別の準備は別に考えておきます。
合格ラインを問題数に直すと、落とせるのは筆記12問まで
乙6の合格基準は、「筆記試験において、各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上」です(消防試験研究センター「試験の方法」)。問題数に直すと、次のようになります。
| 科目 | 問題数 | 最低限の正解数(40%) | 落としてよい数(その科目だけで見た場合) |
|---|---|---|---|
| 消防関係法令 | 10問 | 4問 | 6問まで |
| 基礎的知識 | 5問 | 2問 | 3問まで |
| 構造・機能・整備 | 15問 | 6問 | 9問まで |
| 筆記の合計(60%) | 30問 | 18問 | 12問まで |
問題数は、消防試験研究センター「試験科目及び問題数」の乙種第6類の欄によります。最低限の正解数は、当サイトが計算しました。この表は免除がない場合です。科目の一部免除がある人の合格ラインは、乙6の科目免除の記事で、免除のパターンごとに計算しています。
表の「落としてよい数」は、その科目だけを見た場合の数です。実際には、筆記の合計で18問が必要なので、各科目を40%ぎりぎりで通過すると、合計は4問+2問+6問=12問で、18問に6問足りません。つまり、どこかの科目で、40%より多く取る必要があります。
考え方としては、次の2つを同時に満たす形になります。
- 3つの科目のどれも、40%を下回らない(法令4問・基礎2問・構造6問)
- 30問の合計で、18問以上を取る
たとえば、法令で7問、基礎で2問、構造で9問を取れば、合計18問で合格ラインに届きます。法令と構造で稼いで、基礎は最低限の2問を確保する形です。
合格・不合格を分ける点数の組み合わせの例
同じ合計点でも、科目ごとの点数の分かれ方で結果が変わります。筆記だけで見た例を、いくつか並べます(鑑別は60%以上を取った前提です)。
| 例 | 法令(10問) | 基礎(5問) | 構造(15問) | 合計 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 7問 | 2問 | 9問 | 18問 | 合格ライン |
| B | 9問 | 1問 | 14問 | 24問 | 不合格(基礎が40%未満) |
| C | 4問 | 5問 | 8問 | 17問 | 不合格(合計が60%未満) |
| D | 3問 | 5問 | 15問 | 23問 | 不合格(法令が40%未満) |
| E | 5問 | 3問 | 10問 | 18問 | 合格ライン |
当サイトが、消防試験研究センターの合格基準に当てはめて作った例です。
Bは合計24問(80%)を取っていますが、基礎的知識が5問中1問で40%に届かず、不合格です。Dも合計23問ですが、法令が10問中3問で不合格になります。点数の合計が高くても、1つの科目の取りこぼしで落ちることがある、というのが、この試験の合格基準の特徴です。
反対に、AとEのように、どの科目も40%を超えていて、合計が18問に届けば、それぞれの科目が高得点でなくても合格ラインに届きます。勉強の時間が限られているときは、得意な科目をさらに伸ばすより、苦手な科目を40%に乗せるほうが、合格に近づきやすいということです。
基礎的知識は、3問落とすと崖っぷちになる
3つの科目の中で、1問の重さが一番大きいのは基礎的知識です。5問しかないので、3問落とした時点で40%ぎりぎり、4問落とすと、ほかの科目が満点でも不合格になります。
基礎的知識は、法令では「機械又は電気に関する基礎的知識」とされていて(消防法施行規則第33条の10第2項第1号)、第6類は機械の問題だけです。センターは、科目の中の出題の内訳を公表していません。市販の教材などでは、力のモーメント、応力とひずみ、気体の法則(ボイルの法則・シャルルの法則)、金属の性質と熱処理、摩擦、てこと滑車などが扱われています。後回しにしたくなる科目かもしれませんが、問題数が少ないぶん、足切りの危険が一番大きい科目でもあります。満点を狙う必要はありませんが、確実に2問以上取れる準備はしておきたい科目です。
鑑別は、配点が公表されていない
実技(鑑別等5問)は、60%以上が合格ラインです。ただ、センターは1問ごとの配点や、部分点の扱いを公表していません。「5問中3問正解で60%」と単純に数えられるとは限らないということです。
名前の書き違いや単位の抜けがどう採点されるかも、公表されていません。準備の目安としては、「5問のうち3問を、名前・数字・単位まで完全に書ける」状態を最低ラインにして、残りの2問でも部分的に書けるようにしておくのが安全です。鑑別の準備の方法は、乙6の鑑別の対策をまとめた記事に書いています。
乙6の「難しさ」は、範囲の狭さと、細かい数字の多さの組み合わせ
乙6が整備の対象にするのは、消火器です(消防法施行規則第33条の3第3項)。試験科目の表では、第6類の構造・機能・整備は機械9問・規格6問で、電気の問題はありません。対象が消火器に絞られていることは、乙6の取り組みやすい点です。
一方で、範囲が狭いぶん、覚える中身は細かい数字が中心になります。たとえば、次のような数字です。
- 点検の年数:内部及び機能の点検は、加圧式は製造年から3年、蓄圧式は製造年から5年、化学泡消火器は設置後1年を経過したもの。二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器は除く(消防庁「消防用設備等の点検要領」)
- 耐圧性能の点検:製造年から10年を経過したもの。この点検を実施してから3年を経過していないものは除く(同)
- 設置の基準:防火対象物の階ごとに、各部分から歩行距離20メートル以下(指定可燃物を多く扱う場所に置く大型消火器は30メートル以下)(消防法施行規則第6条・第7条)
- 規格:外面の25%以上を赤色仕上げ(消火器の技術上の規格を定める省令第37条)
こうした数字は、1つずつは単純ですが、似た数字が多く、「3年と5年はどちらが加圧式か」「20メートルと30メートルはどちらが大型か」のように、組み合わせで取り違えやすいのが特徴です。4択では、似た数字が並ぶと、どれも正しく見えてしまいます。
数字は、根拠の資料と一緒に表で整理すると、取り違えを防ぎやすくなります。乙6で覚える数字のまとめでは、法令・点検・規格の数字を、出典の条文と一緒に並べています。
受験の回数と時期は、都道府県ごとに違う
消防設備士試験は、消防法第17条の8で、試験の種類ごとに「毎年一回以上、都道府県知事が行う」と決められていて、実際の試験は、消防試験研究センターが都道府県ごとに行っています。試験の日と回数は都道府県(センターの支部)ごとに違い、センターのホームページの「試験日程[全国一覧]」で確認できます。
合格率が3人に1人ほどということは、1回で合格できない場合も考えておく必要があるということです。不合格だった場合も、次の試験を申し込み直せば、また受けられます。試験日程の一覧で、次に受けられる日を早めに確かめておくと、間を空けずに再挑戦しやすくなります。
合格したら、免状の交付を申請する
試験に合格しただけでは、消防設備士として仕事をすることはできません。消防法第17条の7で、消防設備士免状は「消防設備士試験に合格した者に対し、都道府県知事が交付する」とされていて、合格したあとに、免状の交付を申請する必要があります。申請の方法は、受験した都道府県の消防試験研究センターの支部に確認してください。
免状を受け取ったら、そこからの予定も決まっています。免状の交付を受けた日以後の最初の4月1日から2年以内に、1回目の講習を受けます(消防法施行規則第33条の17)。業務に従事するときは、免状を携帯していなければなりません(消防法第17条の13)。合格率の数字だけでなく、合格したあとの流れまで知っておくと、受験の計画を立てやすくなります。
数字で見た、乙6に向けた準備の目安
ここまでの数字を、準備の目安としてまとめます。
- 合格するのは、受けた人の3人に1人ほどです(令和7年度35.6%)。「受ければ受かる」試験ではありません
- 申し込んだ人の2割強(4〜5人に1人)は受けていません。手数料4,400円は返ってこないので、申し込みと同時に勉強の予定を立てます
- 筆記は、科目ごとの40%と、合計の60%(18問)の両方が必要です。基礎的知識の5問のうち2問は、確実に取れるようにしておきます
- 鑑別は配点が公表されていません。5問のうち3問を完全に書けることを、最低ラインにします
- 範囲は消火器だけですが、似た数字が多く、取り違えやすくなっています。数字は出典と一緒に表で覚えます
試験の中身の全体像と、勉強の順番は、消防設備士 乙6の勉強法をまとめた記事にまとめています。構造・機能・整備の土台になる消火器の種類と仕組みは、消火器の種類と仕組みの記事で整理しています。合格したあとの免状の申請や講習は、乙6に合格したあとの流れの記事にまとめています。
当サイトでは、乙6の問題集をブラウザで使えるアプリとして公開しています。本番と同じ科目の配分で出題し、科目ごとの40%と全体の60%、鑑別の60%に届いているかを判定する模試があります(模試は買い切り980円の機能です。筆記の問題集、数字ドリル、基本の確認問題は無料で使えます)。
問題集の中身、無料と有料の違い、例題と、乙6の記事の一覧は、消防設備士 乙6の試験対策のページにまとめています。
このアプリは、消防庁や消防試験研究センターとは関係のない、民間の学習サービスです。問題は本番の試験問題そのものではなく、模試の結果は本番の合否を示すものではありません。
出典
- 一般財団法人消防試験研究センター「試験実施状況」令和元年度〜令和7年度 https://www.shoubo-shiken.or.jp/result/ (2026年10月1日に確認)
- 一般財団法人消防試験研究センター「試験科目及び問題数」https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/annai/subject.html 、「試験の方法」https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/annai/way.html (2026年10月1日に確認)
- 消防法(第17条の7・第17条の8・第17条の13)、消防法施行規則、消火器の技術上の規格を定める省令(e-Gov法令検索)
- 消防庁「消防用設備等の点検要領」第1 消火器具 https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/items/youryou1.pdf


コメント