消防設備士 乙種第6類(乙6)の鑑別は、写真・イラスト・図面を見て答える記述式の5問です。筆記のような4択のマークではなく、答えを書く形が中心です(語群から記号を選ぶ設問もあります)。「見れば分かる」では点になりません。部品や器具の名前、点検の判定、数字と単位を、正しく書ける必要があります。合格には、鑑別で60%以上が必要です。この記事では、鑑別で書けるようにしておきたい内容を、消防庁の点検要領と消火器の規格の原文から拾い、分野ごとに整理します。あわせて、書く練習のやり方と、記述で点を落としやすいところをまとめます。
作成:fufumumu_design(ふふ)/作成日:2026年10月1日/根拠の資料は、本文と末尾の出典に記載しています。
鑑別で書けるようにしておきたい5つの分野
鑑別でどんな内容が出るかの一覧は、公表されていません。そこで、点検要領と規格省令に書かれている内容から、「写真や図で示されたときに、名前や判定を書ける必要があるもの」を5つの分野に分けました。
| 分野 | 書く内容の例 | もとになる資料 |
|---|---|---|
| 1. 消火器の種類 | 写真や断面図から、どの消火器かを答える | 消火器の規格省令(用語の定義など) |
| 2. 部品の名前と役割 | 安全栓、減圧孔、指示圧力計、加圧用ガス容器、ろ過網、ホーンなど | 消火器の規格省令 |
| 3. 点検に使う器具 | キャップスパナ、内部点検用の照明器具、反射鏡 | 消防庁「消防用設備等の点検要領」 |
| 4. 点検の判定と手順 | 指示圧力計の読み方、耐圧性能の点検の水圧をかける時間 | 消防庁「消防用設備等の点検要領」 |
| 5. 表示と標識 | 設置した場所の標識の文字、消火器の塗色 | 消防法施行規則、消火器の規格省令 |
この表は、試験に出る範囲を保証するものではありません。原文に書かれていて、写真や図で示しやすい内容を、当サイトが分類したものです。
1. 消火器の種類は、外から見える部品で見分ける
消火器の写真を見て種類を答えるときの手がかりは、外から見える部品です。見分けに使える主な手がかりは、次のとおりです。
| 手がかり | 分かること | 根拠 |
|---|---|---|
| 指示圧力計がある | 蓄圧式の消火器(二酸化炭素消火器とハロン1301消火器は、蓄圧式でも指示圧力計を設けない。加圧式に付く圧力調整器の圧力計と取り違えない) | 規格省令第28条・第26条 |
| 放射ホーンがある | 二酸化炭素消火器、ハロン消火器(ハロン1211・ハロン1301)の目安 | 規格省令第35条第4項(この3つの放射ホーンの材質の決まり) |
| ホーン握りがある | 二酸化炭素消火器(点検要領の「ホーン握り(二酸化炭素消火器に限る。)」) | 点検要領 |
| 本体の中に加圧用ガス容器がある(断面図) | 加圧式の消火器 | 規格省令の用語の定義 |
| 本体容器(外筒)の中に内筒がある(断面図) | 化学泡消火器 | 規格省令第34条(内筒) |
指示圧力計は、蓄圧式の消火器に付けることが、規格省令第28条で決められています。ただし、二酸化炭素消火器とハロン1301消火器は除かれています。規格省令第35条第4項は、二酸化炭素消火器とハロン消火器(ハロン1211・ハロン1301)の放射ホーンの材質(非吸湿性で電気絶縁性のある強じんな材料)を決めているので、放射ホーンはこれらの消火器を見分ける目安になります。指示圧力計と似た緑色の範囲のある圧力計は、加圧式の消火器の圧力調整器にも付くので(第26条第3号)、取り違えないようにします。点検要領では「ホーン握り(二酸化炭素消火器に限る。)」とされているので、ホーン握りがあれば二酸化炭素消火器だと分かります。
加圧式の消火器は、規格省令の定義では、加圧用ガス容器の作動、化学反応、手動ポンプの操作によって生じる圧力で消火剤を放射する消火器です。このうち加圧用ガス容器を使うものは、使うときに、加圧用ガス容器のガスで圧力をかけて、消火薬剤を出します。加圧用ガス容器は、本体容器の中に付くものも、外に付くものもあります(規格省令第25条第1項第2号・第3号)。中に付くものは外から見えないので、断面図で問われる形が考えられます。
化学泡消火器は、本体容器(外筒)と内筒に別々の薬剤を入れ、使うときに混ぜて、反応で泡を出します。断面図で、本体容器の中に内筒があるものが化学泡消火器です(規格省令の用語は「本体容器」と「内筒」です)。
2. 部品は、名前と一緒に「決まっている数字」まで書けるようにする
部品の問題は、名前を書かせるだけでなく、その部品についての規格の数字や色を一緒に問う形も考えられます。規格省令に数字や色が決められている主な部品は、次のとおりです。
安全栓は、黄色のリングで、上に引き抜く
安全栓は、消火器が誤って作動しないようにするための部品です(規格省令第21条)。手さげ式の消火器(押し金具をたたく一動作で作動するもの、ふたをあけて転倒させる動作で作動するものを除く)と据置式の消火器の安全栓には、次の決まりがあります。
- 内径が2センチメートル以上のリング部、軸部、軸受部でできていること
- リング部の塗色は、黄色仕上げとすること
- 上方向(消火器を水平面上に置いた場合、垂直軸から30度以内の範囲)に引き抜くよう装着されていること
写真で黄色いリングを示して「この部品の名前と役割を答えよ」と問われた場合、「安全栓。不時の作動を防止する」まで書けるようにしておきます。役割の言葉は、規格省令の「不時の作動を防止するため」をそのまま覚えておくと、書き方に迷いません。
指示圧力計は、緑色の範囲と、3つの表示
指示圧力計は、蓄圧式の消火器の中の圧力を示す計器です(規格省令第28条)。鑑別で書く形で整理すると、次のとおりです。
- 使用圧力の範囲を示す部分を、緑色で明示する
- 表示する事項は、圧力検出部の材質、使用圧力範囲(単位メガパスカル)、(消)の記号の3つ
- 指示圧力の許容誤差は、使用圧力の範囲の圧力値の上下10パーセント以内
表示の3つは、写真で指示圧力計の文字盤を見せて、「表示しなければならない事項を答えよ」と問う形が考えられます。「材質」「使用圧力範囲」「(消)の記号」の3つを、セットで覚えておきます。
ろ過網は、どの消火器に付くかも覚える
ろ過網は、薬剤の通り道がつまらないように、本体容器の中の薬剤導出管の入口に付ける網です(規格省令第17条)。付けるのは、手動ポンプにより作動する水消火器、ガラスびんを使用する酸アルカリ消火器・強化液消火器、化学泡消火器です。数字は、次の2つが決まっています。
- ろ過網の目の最大径は、ノズルの最小径の4分の3以下
- ろ過網の目の部分の合計面積は、ノズルの開口部の最小断面積の30倍以上
使用済の表示装置は、使ったことが分かる仕組み
手さげ式の消火器には、使用した場合、自動的に作動し、使用済であることが判別できる装置を設けることになっています(規格省令第21条の2)。ただし、指示圧力計のある蓄圧式の消火器、バルブを有しない消火器、手動ポンプにより作動する水消火器は除かれます。「なぜ指示圧力計のある蓄圧式は除かれるのか」は、指示圧力計を見れば、使ったかどうかが分かるからだと考えると、覚えやすくなります(この理由づけは当サイトの整理で、条文には書かれていません)。
減圧孔は、キャップを外す途中で圧力を逃がす
キャップ若しくはプラグ又は口金には、キャップ又はプラグをはずす途中で、本体容器内の圧力を完全に減圧できるように、有効な減圧孔又は減圧溝を設けることになっています(規格省令第13条第4号)。点検要領でも、「安全弁及び減圧孔(排圧栓を含む。)」が点検の項目になっていて、つまりのあるものは清掃します。消防試験研究センターが公開している乙種の過去の問題の例でも、第6類の鑑別で、写真の部分の名前(安全栓)と、別の部分の働き(減圧孔)が問われていました。減圧孔は「キャップをはずす途中で本体容器内の圧力を排出する」、安全弁は「容器の中の圧力が上がりすぎたときに圧力を逃がす」と、働きで区別しておきます。
3. 点検に使う器具は、点検要領の図の名前で覚える
点検要領には、点検に使う器具が図で示されています。名前は、点検要領の書き方のまま覚えておくと、書くときに迷いません。
| 器具の名前 | 何に使うか(点検要領の記述) |
|---|---|
| キャップスパナ | キャップの開閉に使う。ハンマーで叩いたり、タガネをあてたりしない |
| 内部点検用の照明器具 | 本体容器の中に入れて、腐食や防錆材料の脱落がないかを見る |
| 反射鏡 | 本体容器の中の、裏面などの見にくい箇所を確認する |
出典:消防庁「消防用設備等の点検要領」第1 消火器具(第1-1図 キャップスパナ、第1-3図 内部点検用の照明器具、第1-4図 反射鏡)
器具の問題は、名前と一緒に「使うときの注意」を書かせる形も考えられます。キャップスパナなら「ハンマーで叩いたり、タガネをあてたりしない」、キャップを開けるときなら「容器内の残圧に注意し、残圧を排除する手段を講じた後に開ける」が、点検要領に書かれている注意です。
4. 点検の判定は、「どうだったら、どうする」の組み合わせで覚える
点検要領の判定は、「こうなっていたら、こうする」という組み合わせで書かれています。鑑別で問われる形として考えられるのも、この組み合わせです。代表的なものを挙げます。
指示圧力計の針が、緑色の範囲の外にある
蓄圧式の消火器の指示圧力計について、点検要領には次の2つが書かれています。
- 指針が緑色範囲の下限より下がっているものは、消火薬剤量を点検すること
- 指示圧力値が緑色範囲外のものは、指示圧力計の作動を点検すること
針が下限より下がっている状態は、緑色範囲の外でもあります。写真で針が下限より下にある指示圧力計を示されたら、「消火薬剤量を点検する」を中心に、「指示圧力計の作動も点検する」を添えて書くと、取りこぼしを減らせます。なお、指示圧力計のない二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器は、質量を測定して確認します(点検要領)。
耐圧性能の点検は、所定の水圧を5分間
本体容器の耐圧性能の点検(水圧試験)は、製造年から10年を経過したもの、または外形の点検で本体容器に腐食などが見つかったものが対象です(この点検を実施してから3年を経過していないものは除く)。点検要領では、所定の水圧を5分間かけて、変形、損傷又は漏れがないことを確認します。所定の水圧は、本体容器に表示された耐圧試験圧力値です(規格省令第12条第1項第1号の試験に用いた圧力値で、第38条第1項第14号で表示することになっています)。試験のときは、消火器に保護枠等をかぶせます。
数字は「10年」「3年」「5分間」の3つです。10年と3年は「どの消火器が対象か」、5分間は「水圧をかける時間」で、問われる場面が違います。
ノズルのつまりは、原因で処置が変わる
外形の点検のノズル、ホーン及びノズル栓では、つまりの原因によって処置が分かれます。点検要領では、異物によるつまりは清掃すること、消火薬剤の漏れ又は固化によるつまりのあるものは、消火薬剤量を点検すること、とされています。加圧式の粉末消火器(開閉バルブ付きのものを除く)でつまりなどがあるものは、加圧用ガス容器の封板及びガス量、消火薬剤量及び性状を点検します。ホースの外形の点検の処置は、消火薬剤の漏れ又は固化によるつまりのとき「消火薬剤量を点検する」で、ホースの清掃は内部及び機能の点検で行います。「つまっていたら掃除」だけでは、書き足りないことになります。
「廃棄」「補充」「清掃」は、点検要領の※の書き方で覚える
点検要領の判定には、「※」の印で、見つかったときの処置が書かれています。処置には、「廃棄する」「補充する」「清掃する・締め直す」のほか、「消火薬剤量を点検する」のように別の点検に進むものなどがあります。鑑別で「この状態のときの処置を答えよ」と問われたときは、この言葉をそのまま使うと、書き方に迷いません。
| 見つかった状態 | 点検要領の処置 |
|---|---|
| 銘板のないもの、型式失効に伴う特例期間を過ぎたもの | 廃棄する |
| 本体容器の内面に著しい腐食、防錆材料の脱落等のあるもの | 廃棄する |
| 水バケツ・水槽に著しい変形、損傷、腐食等のあるもの | 廃棄する |
| 水バケツ・水槽などの水量等が規定量ないもの | 補充する |
| 本体容器に腐食のあるもの(外形の点検) | 耐圧性能に関する点検を行う |
| 本体容器が著しく腐食しているもの、錆がはく離するようなもの(外形の点検) | 廃棄する |
| ノズル・ホーン・ノズル栓の、異物によるつまり | 清掃する |
| ホース・ノズルの、消火薬剤の漏れ又は固化によるつまり | 消火薬剤量を点検する |
出典:消防庁「消防用設備等の点検要領」第1 消火器具(機器点検の判定方法の※)
「腐食がある」だけでは廃棄にならず、まず耐圧性能に関する点検を行い、「著しい」腐食のときに廃棄する、という書き方になっている点に注意します。外形の点検で腐食が認められたものは、放射の試験もしません。判定の基準(どうなっていればよいか)と、※の処置(どうなっていたら何をするか)は、分けて覚えておくと混ざりません。
5. 標識の文字と塗色は、言葉どおりに書けるようにする
表示と標識は、覚える量は少ない分野です。そのぶん、言葉を正確に書けるようにしておきます。
| 設置したもの | 標識に表示する文字 |
|---|---|
| 消火器 | 消火器 |
| 水バケツ | 消火バケツ |
| 水槽 | 消火水槽 |
| 乾燥砂 | 消火砂 |
| 膨張ひる石・膨張真珠岩 | 消火ひる石 |
出典:消防法施行規則第9条第4号
「水バケツ」は「消火バケツ」、「乾燥砂」は「消火砂」と、設置したものの名前と標識の文字が違う点に注意します。標識は、見やすい位置に設けることも決まっています。
消火器の塗色は、外面の25%以上を赤色仕上げとすることが、規格省令第37条で決められています。「全体を赤く」ではなく「25%以上」です。
適応する火災の絵表示は、地色で見分ける
消火器には、適応する火災の種類ごとに、「普通火災用」「油火災用」「電気火災用」の文字と、絵表示を付けることになっています(規格省令第38条第4項)。絵表示の色は、次のとおり決められています。
| 火災の区分 | 表示する文字 | 絵表示の色 |
|---|---|---|
| A火災 | 普通火災用 | 炎は赤色、可燃物は黒色、地色は白色 |
| B火災 | 油火災用 | 炎は赤色、可燃物は黒色、地色は黄色 |
| 電気火災 | 電気火災用 | 電気の閃光は黄色、地色は青色 |
出典:消火器の技術上の規格を定める省令第38条第4項
写真で絵表示を見せて「適応する火災を答えよ」と問われたときは、地色が手がかりになります。白は普通火災、黄は油火災、青は電気火災です。
記述で気をつけたいのは、単位と、似た言葉
単位や名前の書き違いがどう採点されるかは、公表されていません。内容が分かっていても書き方で損をしないよう、次の3つに注意して書けるようにしておきます。
- 単位を書き忘れる。「5」ではなく「5分間」、「2」ではなく「2センチメートル以上」、「25」ではなく「25%以上」
- 「以上」「以下」「以内」を落とす。規格の数字は、ほとんどが範囲で決まっています。「2センチメートル」と「2センチメートル以上」は、意味が違います
- 似た言葉を取り違える。「安全栓」と「安全弁」、「消火砂」と「乾燥砂」、「加圧式」と「蓄圧式」など
「安全栓」は誤って作動しないための部品、「安全弁」は容器の中の圧力が上がりすぎたときに圧力を逃がす部品です。1文字違いで、役割はまったく違います。
書く練習は、「見ずに書く」「原文で答え合わせ」を繰り返す
記述は、読んで覚えたつもりでも、実際に書くと手が止まることがあります。練習は、次の3段階で進めると、どこが書けないかが分かりやすくなります。
- 何も見ずに、答えを紙に書く。名前だけでなく、役割や数字、単位まで書く
- 模範解答と見比べる。名前の漢字、単位、「以上・以下」まで一致しているかを見る
- 書けなかったものは、根拠の原文を読む。規格省令や点検要領の一文を読むと、言葉の選び方が分かる
写真を使った練習は、市販のテキストや、消防試験研究センターが公開している過去の問題の一部(センターのホームページ「過去に出題された問題」)が使えます。センターは、教育目的(非営利)の場合を除き、許可のない複製・転用などの二次利用を禁止しているので、自分の学習のために見る形で使います。
当サイトの乙6の問題集アプリには、当サイトが描いた消火器の模式図(8枚)を見て答える鑑別の練習があります。答えを書いたあとに、模範解答と採点の目安の語句が表示され、自分の答えに同じ語句が入っているかが色で分かります。最初の2つの図の問題と、文章の鑑別の一部は、無料で試せます。
問題集の中身、無料と有料の違い、例題と、乙6の記事の一覧は、消防設備士 乙6の試験対策のページにまとめています。
このアプリは、消防庁や消防試験研究センターとは関係のない、民間の学習サービスです。図は当サイトが描いた模式図で、本番の試験の写真や図そのものではありません。
鑑別の準備は、筆記の勉強と同時に進める
鑑別で問われる内容は、筆記の「構造・機能・整備」と重なっています。筆記の勉強で部品や数字を覚えたときに、「写真で見せられたら、名前と数字を書けるか」を一緒に確かめると、別々に勉強するより手間が少なくすみます。
試験の全体像と勉強の順番は消防設備士 乙6の勉強法をまとめた記事に、鑑別で使う数字の一覧は乙6で覚える数字のまとめに、合格ラインの考え方は乙6の合格率と難易度の記事に、加圧式と蓄圧式の違いや消火剤ごとの決まりは消火器の種類と仕組みの記事にまとめています。
出典
- 一般財団法人消防試験研究センター「試験の方法」「過去に出題された問題」https://www.shoubo-shiken.or.jp/ (2026年10月1日に確認)
- 消火器の技術上の規格を定める省令(第1条の2、第12条、第13条、第17条、第21条、第21条の2、第25条、第26条、第28条、第34条、第35条、第37条、第38条)、消防法施行規則(第9条)(e-Gov法令検索)
- 消防庁「消防用設備等の点検要領」第1 消火器具 https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/items/youryou1.pdf


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