消火器の使い方は「安全栓を抜く→ノズルを火元に向ける→レバーを握る」の3ステップです。消火器の技術上の規格を定める省令(規格省令)は操作性能(第5条)・放射性能(第10条)の要件を定めており、試験にも出題されます。この記事では操作手順・規格省令の要件・種類別の操作の違い・使用後の対応・試験での出題ポイントを整理します。
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規格省令の操作性能要件(第5条)
消火器の技術上の規格を定める省令(規格省令)第5条第1項は「消火器は、保持装置から取りはずす動作、背負う動作、安全栓をはずす動作及びホースをはずす動作を除き、一動作(化学泡消火器・据置式・背負式は二動作以内、車載式は三動作以内)で容易に、かつ、確実に放射を開始することができるものでなければならない」と定めています。
この規定から、安全栓をはずす動作とホースをはずす動作は「放射開始のための動作数」にカウントされないことがわかります。「安全栓を抜く→ノズルをホースから向ける→レバーを握る」という手順でも、規格省令上の「一動作」はレバーを握る最後の操作を指します。
規格省令第5条第2項の表では、一般的な消火器(水消火器・強化液・粉末・機械泡等)は「レバーを握る」方式で放射を開始します。
規格省令の放射性能要件(第10条)
規格省令第10条は放射性能として次の要件を定めています。
| 条号 | 内容 |
|---|---|
| 第10条第1号 | 放射の操作が完了した後すみやかに消火剤を有効に放射するものであること |
| 第10条第2号 | 放射時間は温度20℃において10秒以上であること |
| 第10条第3号 | 消火に有効な放射距離を有するものであること |
| 第10条第4号 | 充てんされた消火剤の容量または質量の90%(化学泡は85%)以上の量を放射できるものであること |
放射時間「10秒以上」は規格省令の最低基準です。市販の10型ABC粉末消火器(消火剤1kg)の放射時間は製品によって約10〜25秒程度です。放射距離の数値は規格省令に具体的な数値の規定はなく「消火に有効な放射距離を有すること」という要件です。製品ラベルに記載される放射距離(例:3〜5m)は製品ごとの実測値です。
消火器の操作手順(蓄圧式・レバー型を例に)
蓄圧式の粉末消火器(最も一般的なABC型)の操作手順を詳しく説明します。
ステップ1:安全栓を抜く
消火器上部の安全栓(ピン)を垂直に上に引き抜きます。安全栓はレバーの誤操作による不意の放射を防ぐための安全機構です(規格省令第5条の「安全栓をはずす動作」に相当)。安全栓が入ったままではレバーを握っても放射されません。安全栓はプラスチックまたは金属製のリングが付いており、指を引っ掛けて引き抜きます。
ステップ2:ホースを火元に向ける(据置式・大型は別)
一般的な持ち運び型はホースがノズルと一体になっています。ノズル(先端)を火元の方向に向けます。炎全体ではなく「炎の根元・燃えている物の根元」を狙います。炎の上部や空中に向けても消火薬剤が火元に届かないため効果が低いです。
ステップ3:レバーを強く握る
レバーを上下両方から強く握ります(上のホース握り部分と下のレバー部分)。握る力が弱いと放射量が減ります。レバーを離すと放射が止まります(蓄圧式はレバー操作で放射量を調節できる)。
放射中の動き方のポイント
放射中は次の点に注意します。
- 風上に立つ:煙・炎が自分の方向に来ない位置(風上)から放射します。風下に立つと薬剤が自分に向かって飛んでくることがあります
- 初期位置は3m以上離れた位置:最初は火元から少し離れた位置(3m程度)からノズルを向け、消火しながら近づきます
- 左右に掃くように動かす:ノズルを固定したままではなく、炎の根元に沿って左右に掃くように動かして薬剤を当てます
- 放射は止めない:放射時間は10秒以上ですが製品によっては短い場合もあります。一度放射を開始したら全量を使い切るつもりで操作します
消火器の種類別の操作の違い
| 種類 | 放射開始の操作 | 特徴 |
|---|---|---|
| 蓄圧式粉末消火器(一般的なABC型) | 安全栓を抜く→レバーを握る | レバーを離すと放射が止まる(途中停止可能) |
| 加圧式粉末消火器(旧型) | 安全栓を抜く→レバーを握る(内部でガス容器が開放) | 一度レバーを握ると全量が放射される(止められない) |
| 化学泡消火器(旧型・現在は少ない) | 安全栓をはずす→逆さにして押ボタンを押す(二動作以内) | 逆さにする操作が加わる |
| 据置式消火器(大型) | ホースを延ばしてノズルを向ける→レバー操作(二動作以内) | 本体を動かさずノズル部分だけを持って移動 |
蓄圧式消火器はレバーを離すと放射が止まる(途中停止可能)のに対し、加圧式は一度操作すると全量が放射されます。現在普及している一般的な消火器の多くは蓄圧式です。
訓練用消火器との違い
消防訓練では「水消火器(訓練用)」が使われます。実際の粉末消火器と外観・操作が同じですが、内容物が水のため繰り返し使用できます。乙6の整備実務では、訓練後の水消火器の整備(水の抜き取り・内部乾燥・薬剤または水の再充填)を担当する場合があります。
水消火器の整備も消火器整備の一部として乙6の業務範囲に含まれます(消防法第17条の5・施行令第36条の2)。訓練後に放置すると内部が腐食するため、使用後すみやかに整備することが重要です。
使用後の消火器の取り扱い
消火器を使用した後は次の対応が必要です。
- 残量の確認(放射後に薬剤が全量放射されているか)
- 乙6資格者(または委託業者)への整備依頼(薬剤充填・部品確認)
- 整備後に消防設備として再設置、または廃棄
蓄圧式消火器の場合、使用後は指示圧力計の針が「0」または「緑ゾーン以下」に落ちています。圧力が抜けた状態で放置すると次回の使用時に放射できません。使用済み表示(使用済み封シール・安全栓の状態)も確認の対象です。
試験での出題ポイント整理
| 問われ方 | 正しい答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 放射時間の最低基準は | 温度20℃において10秒以上 | 消火器の技術上の規格を定める省令第10条第2号 |
| 放射の操作(安全栓・ホースをはずす動作を除く)の動作数は | 一動作(化学泡・据置式・背負式は二動作以内) | 消火器の技術上の規格を定める省令第5条第1項 |
| 消火剤の放射できる量の最低基準は | 充てんされた量の90%以上(化学泡は85%以上) | 消火器の技術上の規格を定める省令第10条第4号 |
| 加圧式と蓄圧式の放射調節の違いは | 蓄圧式はレバーで調節可・加圧式は一度操作すると全量放射 | 構造の違いによる(試験で問われることがある) |
まとめ
消火器の操作は規格省令第5条第1項で「安全栓・ホースはずしを除き一動作で放射開始」と規定されています。放射時間は規格省令第10条第2号で「温度20℃において10秒以上」が最低基準です。実際の操作手順は「安全栓を抜く→ノズルを火元の根元に向ける→レバーを握る」で、放射中は風上から炎の根元に向けて左右に掃くように動かします。蓄圧式はレバー操作で放射量を調節できますが加圧式は全量放射されます。使用後の消火器は整備(薬剤充填等)または廃棄が必要で、この整備業務が乙6の業務独占です(消防法第17条の5)。
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