避難器具の種類 8種類一覧。施行令第25条の表で確認する。




消防法施行令第25条の表に規定されている避難器具は8種類です。すべり台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・すべり棒・避難用タラップ・避難ロープの8つで構成されています。消防設備士第5類(乙5・甲5)の試験では、この8種類の名称と特徴・構造・整備の手順が出題されます。

この記事では、施行令第25条の原文をもとに8種類の避難器具を整理します。

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施行令第25条の表に規定されている避難器具は8種類

消防法施行令第25条第1項は、避難器具を設置しなければならない防火対象物の条件を定めています。同条第2項の「避難器具の種類」として、次の8種類が表に列挙されています。

  • すべり台
  • 避難はしご
  • 救助袋
  • 緩降機
  • 避難橋
  • すべり棒
  • 避難用タラップ
  • 避難ロープ

出典:消防法施行令第25条(e-Gov法令検索・消防法施行令)

試験で「避難器具は何種類か」という問いが出た場合は「8種類」が正解です。7種類(避難ロープを除いた数)は誤りです。

すべり台。傾斜した面を使って滑降する

すべり台は、建物に固定された傾斜の付いたレール状の装置を使って避難する器具です。主に幼稚園・保育所・老人ホームなど、自力で避難が難しい人が多い施設に設置されます。傾斜部分(すべり面)と手すりで構成されており、ゆっくりと安全に降りることができます。

設置に必要な面積が大きいため、設置できる建物の条件が限られます。建物の外壁に固定する「固定式」が主流です。

避難はしご。最も広く使われる避難器具

避難はしごは、避難器具の中で最も広く設置されている器具です。構造によって次の種類に分かれます。

種類 特徴
固定はしご 壁面に固定された常設のはしご。常時使える状態にある。
立てかけはしご 収納しておき、使用時に外壁に立てかけるタイプ。
吊り下げはしご(ハッチ型) バルコニーや開口部から吊り下げて使うタイプ。マンションのバルコニーに多い。
ハッチ用はしご 上蓋(ハッチ)付きの床開口部と一体になったタイプ。

施行規則第27条では、固定はしごについて「横さんは防火対象物から10cm以上の距離を保有すること」と規定されています(壁からの隙間の確保)。

救助袋。垂直式と斜降式の2種類がある

救助袋は布製の袋状の器具で、袋の中に入って滑り降りることで避難します。構造によって2種類に分かれます。

種類 特徴 使われる場所
垂直式救助袋 建物の外壁に沿って垂直に降下する。螺旋状の内部構造で速度を調整する。 高層階・設置スペースが狭い場所
斜降式救助袋 斜め(前方)に向かって滑降する。地上に開口部の前方スペースが必要。 低中層階・前方に空間がある場所

救助袋は一人ずつ使用し、設置位置から地上までの高さと斜降角度(斜降式の場合)を事前に確認します。

緩降機。ロープと調速機で安全に降下する

緩降機は、使用者が調速器(ガバナー)付きのロープを使って建物の外壁を伝いながら降下する器具です。ロープには安全帯(胸部バンドまたは腹部バンド)が付いており、使用者が装着して降下します。ロープは2本1組で構成されており、一人が降下している間にもう一方のロープに次の人が装着できる設計になっています。

調速機(ガバナー)により降下速度が一定以下に保たれます(速度の基準は消防庁長官が定める型式試験基準による)。比較的小型で設置スペースが少なくて済むため、マンション・ホテルなど多くの用途の建物で使用されています。

避難橋。建物間を渡って避難する

避難橋は、隣接する建物または同一建物の別の棟の間に設けられた橋状の通路を使って避難する器具です。主に高層建物間の連絡通路として設置されます。日常的にも通行できる常設型が多いですが、非常時専用のタイプもあります。

すべり棒。消防署で使われる棒状の降下器具

すべり棒は、縦に設置された棒を使って上の階から下の階に素早く移動する器具です。消防署の出動時に使われるものが代表的ですが、防火対象物への設置対象になることもあります。使い方が特殊なため、使用訓練が必要な器具です。

避難用タラップ。固定式の金属製はしご

避難用タラップは、建物の外壁に固定された金属製の梯子状の器具です。固定はしごに似ていますが、傾斜した踏み桟(タラップ型)が特徴です。船のタラップと同じ構造を持ちます。工場・倉庫など工業系の建物に設置されることがあります。

避難ロープ。最もシンプルな避難器具

避難ロープは、建物の外壁に固定点を設けてロープを垂らし、使用者がロープをつたって降下する器具です。8種類の中で最もシンプルな構造です。

設置できる建物の条件は限定されており、主に避難が容易な特定の用途(主として自力避難できる人が利用する建物)かつ低層階に限定されます。

試験で覚えるべきポイント

第5類の試験では、次のポイントが繰り返し出題されます。

問われるポイント 内容
種類の数 施行令第25条の表に規定されている避難器具は8種類
各器具の用途・特徴 すべり台・救助袋(垂直式・斜降式)・緩降機・避難橋・すべり棒・避難用タラップ・避難ロープのそれぞれの仕組み
設置できない階 避難階(1階等・地上に直接出られる階)と11階以上の階には設置義務がない(施行令第25条第1項)
用途別の設置条件 防火対象物の用途によって収容人員・階数の基準が異なる(施行令第25条の表)

設置の対象とならない階

施行令第25条第1項の括弧書きで「避難階及び十一階以上の階を除く」と規定されています。つまり、次の階には避難器具の設置義務がありません。

  • 避難階(地上に直接出ることができる階)
  • 11階以上の階(高層部分は別の避難設備が必要とされるため)

出典:消防法施行令第25条第1項(e-Gov法令検索)

用途・階数・設置スペースで器具が決まる

避難器具の種類は、設置する建物の用途・利用者の特性・設置スペースによって選ばれます。施行令第25条・第26条では、用途別に「設置できる器具の種類」と「設置を免除できる条件」が定められており、すべての器具がすべての用途に設置できるわけではありません。

主な用途 器具選定の特徴
老人ホーム・病院・保育所((六)項) 自力避難が難しい利用者が多いため、使用者が操作しなくても降下できる器具(救助袋等)が設置されることが多い
高層部分(高い階) 避難ロープは主として自力避難できる人が利用する低層向けのため、高層部分には適さない
隣接建物がある場合 建物間に架設できる場合は避難橋が選択肢になる
バルコニーが狭い集合住宅 吊り下げはしご(ハッチ型)・緩降機が設置スペースを取らないため適している

出典:消防法施行令第25条・第26条(e-Gov法令検索)

設置スペースの特徴。狭い場所に向く器具と広い場所が必要な器具

各器具の設置に必要なスペースの特徴を整理します。施行規則第27条および型式試験基準(消防庁長官が定める基準)では、降下空間・操作面積の基準が定められています。

器具 設置スペースの特徴
緩降機・吊り下げはしご(ハッチ型) バルコニーや開口部から降下するため、前方の広いスペースは不要。建物外壁沿いに降下できれば設置できる。集合住宅に多い。
斜降式救助袋 袋が斜め前方に張られるため、地上の前方に広い展張スペースが必要。建物前面が開けた場所に適する。
垂直式救助袋 建物外壁に沿って垂直降下するため、前方スペースが不要。高層階にも対応しやすい。斜降式より設置スペースが小さくて済む。
すべり台 傾斜したすべり面を設けるため、設置スペースが最も大きくなる器具の一つ。保育所・幼稚園等に設置されることが多い。
避難橋 隣接建物との間に架設するため、建物間の距離・高低差の条件が必要。日常通行できる常設型が多い。
すべり棒 縦に設置する棒のため、器具自体のスペースは小さいが、降下後に着地するスペースが必要。

器具ごとの点検で確認する主なポイント

消防用設備等の点検は機器点検(6ヶ月に1回)と総合点検(1年に1回)に分かれます。避難器具の点検では、次の内容を確認します。

点検の種類 確認する主な内容
外観点検(機器点検の一部) 取付け金具・フック・ロープ・袋の外観(腐食・変形・ほつれ・切断の有無)・標識の設置状況・格納箱の状態
機能点検(機器点検の一部) 格納・展張の動作確認(実際に展張して降下空間が確保されているか)・ロック機構の確認
作動点検(総合点検) 実際に器具を使って降下できる状態にあるか(緩降機の調速機の動作・救助袋の展張状態・はしごの展開状態等)

出典:消防法第17条の3の3・消防法施行規則第31条の6(e-Gov法令検索)

点検で発見した不具合(ロープのほつれ・取付け金具の腐食・格納箱の破損等)は整備または交換が必要です。整備は乙5以上の消防設備士が担当します。

避難器具の標識の設置義務

消防法施行規則第27条の規定により、避難器具を設置した場所には「避難器具」の標識を設けることが義務付けられています。標識は設置場所を明示し、器具の操作方法が分かるよう掲示する必要があります。

標識の設置は点検の確認項目にも含まれており、破損・脱落・不鮮明な状態では不備と判定されます。標識の設置と維持管理も消防設備士の業務の一部です。

出典:消防法施行規則第27条(e-Gov法令検索・消防法施行規則)

設置を免除できる条件。施行令第26条

消防法施行令第26条では、次の条件に該当する場合に避難器具の設置を免除できる旨が定められています。試験では「設置しなくてよい条件」として出題されます。

免除の条件(概要) 適用の考え方
避難上支障がないと消防長または消防署長が認める場合 建物の構造・他の避難設備の整備状況等を総合的に判断する(消防法施行令第26条第1項)
スプリンクラー設備・自動火災報知設備等が設置されており、かつ、避難上支障がないと認められる場合 他の防火設備が充実している建物では免除が認められることがある

出典:消防法施行令第26条(e-Gov法令検索・消防法施行令)

設置免除の条件は「条文の原文」と「実際の判断基準(消防本部の判断)」の両方を理解することが重要です。試験では施行令第26条に規定されている免除の条件(概要)を覚えることが求められます。

各器具の特徴まとめ。試験直前に確認する8種類

試験直前に確認すべき各器具の特徴と覚えるべきポイントをまとめます。

器具名 最大の特徴 試験で問われやすいポイント
すべり台 傾斜面を滑り降りる。自力操作不要。 設置スペースが最大・保育所等に多い
避難はしご 最も普及している器具。固定式・吊り下げ式等の種類がある。 横さんと壁の距離10cm以上(施行規則第27条)
救助袋(垂直式) 布製の袋の中を垂直降下。螺旋構造で速度を調整。 垂直式は前方スペース不要。高層に適する。
救助袋(斜降式) 布製の袋の中を斜め前方に降下。地上前方に展張スペースが必要。 斜降式は前方に広いスペースが必要。
緩降機 調速機付きロープで外壁を伝い降下。ロープ2本1組。 降下速度は型式試験基準による。乙5でも甲5でも頻出。
避難橋 隣接建物間に架設した橋で避難する。 建物間に設けられる特殊な器具。常設型が多い。
すべり棒 縦に設置された棒を使って降下する。 使用訓練が必要。消防署でよく使われる器具。
避難用タラップ 外壁に固定された金属製のはしご。タラップ型の踏み桟が特徴。 工場・倉庫に多い。固定はしごとの違いに注意。
避難ロープ 8種類の中で最もシンプルな構造。 設置できる建物の条件が最も限定されている。

避難器具の維持管理と記録

設置した避難器具は、点検結果を「消防用設備等点検結果報告書」に記録し、消防長または消防署長に報告する義務があります(消防法第17条の3の3)。

点検結果の報告期間は、特定防火対象物(病院・旅館・百貨店等)では1年に1回、非特定防火対象物(工場・事務所等)では3年に1回です。報告書の作成は消防設備点検資格者または消防設備士が行います。避難器具の種類・設置場所・点検内容・発見した不備・補修した内容を正確に記録することが求められます。

出典:消防法第17条の3の3(e-Gov法令検索)

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作成日:2026年11月5日 作成者:fufumumu_design
出典:消防法施行令第25条(e-Gov法令検索・消防法施行令)・消防法施行規則第27条(同)

この記事を書いた人

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