「後見人の報酬が高い」「後見人と合わない」「介護施設への入所手続きが遅い」という理由で、成年後見を「やめたい」と思う家族は多い。しかし法定後見は一度開始すると、基本的に終了させることが難しい制度だ。終了できるケースと、使いにくいと感じたときに取れる対応策を整理した。
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法定後見が終了できる3つのケース
法定後見が終了するのは原則として次の3つのケースに限られる。
- 本人(被後見人)が死亡した場合:本人の死亡によって後見は終了する(民法第653条準用・一身専属的権利の消滅)
- 本人の判断能力が完全に回復した場合:後見開始の審判を取り消す申立てをして、家庭裁判所が認めた場合(民法第10条)。認知症でこれが認められるケースは現実的には極めて少ない
- 後見から保佐・補助への段階変更:判断能力の程度が変わった場合に、後見から保佐・補助に変更される場合がある。後見が終了するわけではなく、より軽い段階の制度に移行する
「費用が高い」「後見人と合わない」「手続きが面倒」という理由では終了できない。
後見人を変えることはできるか
後見人を別の人物に変えることは可能だが、家庭裁判所の手続きが必要だ。
後見人の解任:後見人に「正当な理由」がある場合、家庭裁判所は後見人を解任できる(民法第846条)。正当な理由として認められる例としては「財産の横領・使い込み」「本人への虐待・ネグレクト」「後見業務の怠慢・不正行為」等が挙げられる。「費用が高い」「性格が合わない」という理由は一般的に解任事由として認められない。
後見人の辞任:後見人自身が「正当な事由」があって辞任したい場合、家庭裁判所の許可を得て辞任できる(民法第844条)。辞任後は新しい後見人が選任されるため、後見は継続する。
「後見人への不満」があるときの現実的な対応
専門職後見人(司法書士・弁護士)への不満がある場合の対応策は次の通りだ。
- 直接、後見人に要望を伝える:「施設の見学に来てほしい」「月一度は状況を報告してほしい」等の具体的な要望を伝える。多くの専門職後見人は本人・家族との連携を重視しており、要望に応えてもらえる場合が多い
- 家庭裁判所の担当裁判官・書記官に相談する:後見人の対応に問題があると感じた場合、家庭裁判所に「後見人の活動についての相談」として連絡できる
- 社会福祉士会・司法書士会の「後見に関する相談窓口」を利用する:後見人の資格団体に設けられた相談窓口に相談できる
法定後見の「使いにくさ」への対策(開始前)
法定後見の使いにくさを回避するために、開始前に取れる最善の準備は「任意後見契約」の活用だ。
任意後見は本人が判断能力を持っている間に「誰に・どのような内容で」後見を任せるかを自分で決める。信頼できる家族や専門家を受任者として指定し、後見内容(報酬・活動範囲・報告頻度)を契約書で具体的に定められる。
「法定後見は使いにくい」と感じている家族は、まだ任意後見が設定できる段階であれば今すぐ動き出す必要がある。
この記事のまとめ
- 法定後見が終了できるのは「死亡」「判断能力の完全回復」「段階変更」の3ケースのみ
- 「費用が高い」「性格が合わない」という理由では終了も解任もできない
- 後見人への不満は直接要望を伝える・家庭裁判所に相談・資格団体の窓口を利用
- 法定後見の使いにくさを回避するなら、判断能力があるうちに任意後見契約を締結する
出典:民法第10条(後見取消しの審判)・第844条(後見人の辞任)・第846条(後見人の解任)・第853条以下(後見人の義務)、家事事件手続法(後見審判の手続き)
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