法定後見の申立てをしたとき、必ずしも家族が後見人に選任されるわけではない。家族が候補者として名前を挙げても、家庭裁判所が「専門職後見人を選任する方が適切」と判断した場合は、見知らぬ司法書士・弁護士が後見人になる。なぜ家族後見人が認められないのか、どうすれば家族後見が認められやすいのか、実態を整理した。
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家族が後見人になれない理由の上位
最高裁判所「成年後見関係事件の概況」(令和5年)によれば、法定後見で選任された後見人等のうち親族後見人は約26%、専門職(司法書士・弁護士・社会福祉士等)が約74%を占める。
家族が候補者として申立て書類に記載しても専門職が選任されやすい理由には次のようなものがある。
- 親族間に対立・利益相反がある:兄弟の一部が後見申立てに反対している・相続を巡って対立がある場合は家族後見が認められにくい
- 財産規模が大きい:一般的に財産が多いほど専門職が選任されやすい。家庭裁判所が「不正使用のリスクを回避する」目的で専門職を選ぶ
- 候補者に不適格事由がある:民法第847条に規定する欠格事由(破産者・本人に対して訴訟をしたことがある者等)に該当する場合は選任されない
- 後見人候補者の適格性が認められない:候補者が高齢・体調不良・多忙で後見業務を継続できないと判断された場合
家族後見が認められやすい条件
逆に、家族後見が認められやすい条件は次の通りだ。
- 親族間に対立・意見の相違がない(兄弟全員が申立てに同意している)
- 財産規模が比較的小さい(後見制度支援信託の要件に該当しない規模)
- 候補者(家族)が適格で、後見業務を継続できる状況にある
- 申立て書類に「家族後見が適切な理由」を詳しく記載できる
「後見制度支援信託」が関係する場合
家族が後見人に選任された場合でも、家庭裁判所から「後見制度支援信託」の活用を促されることがある。後見制度支援信託は、本人の財産のうち日常的な支出を超える部分を信託銀行等に信託し、後見人による不正使用を防ぐ仕組みだ。
信託財産の引き出しには家庭裁判所の指示書が必要になるため、後見人(家族)の裁量で自由に使える財産が制限される。
家族後見に対する家庭裁判所の監督
家族が後見人に選任された後は、定期的に家庭裁判所への報告が義務付けられる。報告内容は「本人の生活状況(収入・支出・財産の増減)」「介護の状況」等で、財産目録と年間収支状況の書類を作成・提出する。
書類作成が難しい場合は、司法書士に「後見報告書類の作成補助」を依頼する方法もある(別途費用)。
この記事のまとめ
- 法定後見で専門職が選任される割合は約74%(令和5年・最高裁統計)
- 家族後見が認められにくい理由:親族間の対立・財産規模が大きい・候補者の適格性問題
- 家族後見が認められやすい条件:全員同意・財産規模が小さい・候補者が適格
- 家族後見でも後見制度支援信託の設定を求められることがある
- 選任後は定期的な家庭裁判所への報告が義務(書類作成が難しければ司法書士に依頼)
出典:民法第847条(後見人の欠格事由)・第855条(後見人の選任)、最高裁判所「成年後見関係事件の概況」(令和5年)、家事事件手続法(後見審判の手続き)
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