一人っ子の場合、認知症になった親の財産管理をすべて一人で担うことになる。兄弟間のトラブルは起きにくい反面、相談できる家族がおらず、一人で抱え込むプレッシャーがかかりやすい。また、家族信託で受託者になった場合は「チェック役がいない状態で財産を管理する」形になるため、設計の段階で第三者の監督機能(信託監督人等)を検討する必要がある。
5問の診断で今すぐ危険度と損失額を確認できます。
▶ 認知症診断後 手続きナビ(無料診断)
一人っ子で認知症の親を介護するときの特徴
一人っ子が認知症の親の財産管理・介護を担う場合、次のような特徴がある。
- 役割分担を話し合う相手がいない(兄弟との調整が不要な代わりに、すべて自分で判断する)
- 介護負担の集中(介護保険サービスを活用しない場合、すべて自分にかかる)
- 成年後見申立てのとき、「親族間の対立」が理由の専門職選任リスクは低いため家族後見が認められやすい
- 相続後の遺産分割で争う相手がいない(ただし配偶者との間での分割は必要)
一人っ子が家族信託を設計するときの注意点
一人っ子が受託者として家族信託を設計する場合、以下の点に注意する必要がある。
チェック機能の欠如:兄弟がいる場合は他の家族が暗黙のチェック役になるが、一人っ子の場合はそれがない。受益者である親が認知症の場合、受益者自身も自分の財産管理を監督できない。この状態は「後から問題が発覚しても気づきにくい」というリスクを含む。
信託監督人の設置を検討する:信託法では「信託監督人」を置くことができる(信託法第131条)。信託監督人は受益者の代わりに受託者を監督する役割を持つ。司法書士等の専門職を信託監督人に指定することで、定期的な帳簿確認・報告受領が行われる体制にできる。信託監督人の報酬は月5,000円〜1万円程度が多い。
受益者代理人の設置も選択肢:受益者(親)が判断能力を失った後に受益者の権利を代わりに行使する「受益者代理人」(信託法第138条)を設ける方法もある。
一人っ子が任意後見を選択する場合
一人っ子が受任者として任意後見契約を結ぶ場合は、任意後見が開始した後に「任意後見監督人」(家庭裁判所が選任する第三者)が定期的に受任者の活動を監督する。これにより、一人で管理することの不透明さを制度的に解消できる。
任意後見監督人の報酬(月1万円〜2万円程度)が継続的にかかるが、透明性の確保という意味では効果的だ。
一人っ子で法定後見を申立てる場合
法定後見を申立てる際、一人っ子が後見人候補者として名前を挙げれば、親族間の対立がない分、家族後見が認められやすい状況にある。ただし財産規模が大きい場合は、専門職が選任されることもある。
法定後見が開始した後は、家庭裁判所への定期報告が義務となる。一人で報告書類を作成・提出する必要があるため、司法書士に報告書の作成補助を依頼するケースもある(別途費用)。
介護サービスを早期に活用して自分自身の負担を下げる
一人っ子は介護の実務もすべて自分にかかりやすい。要介護認定が出たら、積極的に介護保険サービスを活用する。
- 訪問介護(ヘルパー):食事・排泄・入浴の介助。週数回から利用可能
- デイサービス(通所介護):日中の活動場所・介護者の休養(レスパイト)になる
- ショートステイ(短期入所):数日〜数週間の施設入所で、介護者が仕事や休暇を取れる
- 介護相談窓口(地域包括支援センター):ケアマネジャーの紹介・介護者向けの相談ができる
「一人っ子だから全部自分でやらなければ」という思い込みは、介護疲れの原因になる。制度を積極的に使うことが一人っ子の最優先事項の一つだ。
この記事のまとめ
- 一人っ子は兄弟トラブルリスクが低い反面、判断・負担のすべてが自分にかかる
- 家族信託の受託者になる場合は信託監督人の設置を検討する(チェック機能の補完)
- 任意後見を選択する場合は任意後見監督人が自動的に監督機能を担う
- 法定後見申立ての場合は親族対立がないため家族後見が認められやすい
- 介護保険サービス(訪問介護・デイサービス・ショートステイ)を積極活用して自分自身を守る
出典:信託法第131条(信託監督人)・第138条(受益者代理人)、介護保険法(訪問介護・通所介護・短期入所)、法務省「任意後見制度について」
5問の診断で今すぐ危険度と損失額を確認できます。
▶ 認知症診断後 手続きナビ(無料診断)

コメント