認知症グループホームの収入は、要介護度と単位数でどう決まるか。

介護

認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)の収入は、1日あたりの介護報酬単位数×地域区分の単位単価×稼働日数×利用者数で決まります。基本報酬の単位数は要介護度によって異なり、1ユニット(定員9人)・要介護3〜5中心・地域区分「その他」(1単位=10.00円)で処遇改善加算Ⅰを取得した場合、月の介護報酬収入は200万〜240万円程度が試算されます。地域区分と要介護度の構成で収入が大きく変わる構造を理解することが、収支計画の基本です。

基本報酬は1ユニットと2ユニット以上で単位数が異なる

認知症GHの基本報酬単位数は、ユニット数によって2段階に分かれています(指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準・平成18年厚生労働省告示第128号。令和6年4月改定)。

要介護度 1ユニット(単位/日) 2ユニット以上(単位/日)
要介護1 765 753
要介護2 801 788
要介護3 824 812
要介護4 841 828
要介護5 859 845

1ユニットの方が単位数が高く設定されています。小規模な運営に対する配慮からです。1ユニットの事業者が2ユニット目を開設すると、全ユニットの基本報酬が「2ユニット以上」の単価に切り替わります。2ユニット目の開設判断では、この単価の下がりを収支計画に織り込む必要があります。

地域区分の単位単価によって実際の金額が変わる

介護報酬は「単位数」で定められており、実際の金額は「1単位あたりの単価(円)」をかけて計算します。この単価は地域区分によって異なります。認知症GHは人件費割合が55%に分類されます。

地域区分は1〜7級地と「その他」の8区分です(厚生労働大臣が定める1単位の単価・令和6年)。「その他」は1単位=10.00円です。1級地(東京23区等)は1単位=11.40円で、同じ単位数でも金額が14%高くなります。

事業所を設置する場所の地域区分は、厚生労働省の告示で市区町村ごとに定められています。開業予定地の地域区分を確認することが、収入試算の前提になります。

処遇改善加算は基本報酬と各加算の合計に乗算する

介護職員等処遇改善加算(令和6年6月一本化)は、基本報酬と加算等の合計単位数に一定割合を乗じて計算します。認知症GHの加算率は次のとおりです(令和6年厚生労働省告示第128号)。

区分 加算率
処遇改善加算Ⅰ 18.6%
処遇改善加算Ⅱ 17.8%
処遇改善加算Ⅲ 15.5%
処遇改善加算Ⅳ 12.5%

処遇改善加算は取得の要件(職場環境等要件・賃金改善計画・定期的な届出)があります。最も高い加算Ⅰを取得するためにはより多くの要件を満たす必要がありますが、その分収入の上乗せが大きくなります。

多くの事業者が加算Ⅰを取得しています。収支計画では、取得できる加算を正確に見込むことが重要です。

夜間支援体制加算・医療連携体制加算の上乗せ額

基本報酬に加算できる主な加算の単位数は次のとおりです。

加算名 単位数 算定方法
夜間支援体制加算Ⅰ 50単位/日 専従夜勤者1名以上配置
夜間支援体制加算Ⅱ 25単位/日 定期巡回等の体制
医療連携体制加算Ⅰイ 57単位/日 看護師常勤の場合
医療連携体制加算Ⅰロ 47単位/日 看護師常勤以外
医療連携体制加算Ⅰハ 37単位/日 医療機関との連携

夜間支援体制加算Ⅰ(50単位/日)を取得した場合、1ユニット9人・30日間で13,500単位の上乗せになります。「その他」地域(1単位=10円)なら月135,000円・年1,620,000円の収入増です。夜間の専従職員1名の人件費との収支比較が必要です(詳細は記事④で解説します)。

要介護度の構成で月収入はどう変わるか

認知症GHの利用者は要介護2〜5が中心です。要介護度の構成によって月の収入が変わります。1ユニット定員9人・稼働率100%・30日間・地域区分「その他」(1単位=10円)・処遇改善加算Ⅰ取得(18.6%)の条件で計算すると次のようになります。

要介護度の想定 基本報酬の月合計(処遇改善加算前) 処遇改善加算Ⅰ後
要介護3中心(全員要介護3) 約222万円 約264万円
要介護4中心(全員要介護4) 約227万円 約269万円
要介護5中心(全員要介護5) 約232万円 約275万円

※計算式:単位数×9人×30日×10円×(1+18.6%)の概算。夜間加算・医療連携加算は含まず。

要介護度が高い利用者の方が単位数が高く、収入が増えます。ただし、要介護度が高い利用者は夜間の対応頻度が増えることも多く、人件費の増加との兼ね合いが生じます。

入金サイクル:2か月遅れの仕組み

介護保険の費用は、サービス提供月の翌月末日までに国保連(国民健康保険団体連合会)に請求し、翌々月中旬以降に入金されます。4月提供分は6月中旬以降の入金です。

利用者から受け取る自己負担(1〜3割)は月末前後に受け取ることが多く、国保連入金より早く手元に入ることがあります。ただし、収入の7〜9割を占める国保連入金が2か月遅れる点は、月次資金繰りの計画に必ず織り込む必要があります。

稼働率が変動する月(入居者の退去・新規入居のタイミング)は、国保連への請求額がその2か月後の入金に反映されます。急な欠員が生じた月は、2か月後の収入が減少します。この時間差を把握しておくと、資金繰りの計画が立てやすくなります。

出典

  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号。令和6年4月改定)
  • 厚生労働大臣が定める1単位の単価(令和6年厚生労働省告示第127号)

ユニット数・定員・要介護度の構成・各種加算・地域区分を入力して、実際の月次収入を計算してみてください。処遇改善加算の有無による収入の変化も確認できます。

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関連記事:認知症対応型共同生活介護(認知症GH)の開業、最初に確認すること。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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