キッチンカーの出店料、相場と計算の仕方。

キッチンカーの出店料は、「売上の○%」という歩合制と、「1日○円・1か月○円」という固定制の2種類があります。出店場所ごとに料金の仕組みが異なり、収支計画に直接影響するため、開業前に計算方法を理解しておくことが重要です。

この記事では、キッチンカーの出店料の種類・相場・収支への影響を解説します。また、出店交渉の実際・複数場所の組み合わせ戦略・出店場所を長く使い続けるためのポイントも解説します。

出店料の2種類:歩合制と固定制

出店料の支払い方式には大きく2つあります。

出店料の種類と特徴
方式 仕組み メリット デメリット
歩合制(売上連動) その日の売上の○%を出店料として払う 売れなかった日は出店料も少ない。リスクが低い 売れれば売れるほど出店料も増える。高売上日の実収入が下がる
固定制(定額) 1日○円・週○円・月○円といった定額を払う 売上が多いほど出店料率(対売上比)が下がる 売れなかった日も定額を払う。赤字日のダメージが大きい

マルシェやイベントでは歩合制(売上の10〜30%程度)が多く、企業の敷地内や商業施設への固定出店では月額固定制が多い傾向があります。ただし場所ごとに条件が異なるため、契約前に確認することが必要です。

出店料の相場(目安)

出店料の相場は出店場所・立地・人通りによって大きく変わります。以下は一般的な参考値ですが、公的な統計に基づくものではありません。

出店場所別の出店料の目安
出店場所の種類 料金の目安 方式
企業・工場への固定出店 月1〜3万円程度(場所・来店数による) 月額固定が多い
商業施設・駅前 月3〜10万円程度(立地・施設の集客力による) 月額固定or歩合
マルシェ・クラフトフェア 売上の15〜30%、または1日5,000〜15,000円程度 歩合or日額固定
音楽フェス・大型イベント 売上の20〜30%が多い。日額固定の場合は数万円〜 歩合が多い
道の駅・観光施設 売上の10〜20%程度、または月額固定 場所による

これらはあくまで参考値であり、実際の条件は場所の管理者との交渉・契約によって決まります。

出店料率(FG比率のG)の計算方法

収支計画では、出店料が売上に対して何%になるか(出店料率)を把握することが重要です。

歩合制の場合、出店料率は契約の歩合率そのものです。たとえば売上の20%が出店料なら、出店料率は20%です。

固定制の場合は、売上によって出店料率が変わります。たとえば月3万円固定の出店料で月の売上が20万円なら出店料率は15%、売上が30万円なら10%になります。売上が上がるほど出店料率は下がります。

  • 出店料率(%)=出店料 ÷ 売上 × 100

キッチンカーでは、食材費率(原価率)と出店料率を合計した「FG比率」を60%以内に抑えることが黒字の目安とされています(業界の経験則であり、公的な基準ではありません)。食材費率が35%なら、出店料率は25%以内が目安です。

食材費率(原価率)については、「キッチンカーの原価率、飲食店と何が違うか。」で解説しています。

歩合制と固定制、どちらが有利か

単純にどちらが有利とは言えませんが、状況によって有利不利が変わります。

開業当初で売上の読みが不安定な時期は、歩合制の方が「売れなかった日のリスク」を抑えられます。一方、固定出店が確立して安定して50〜60食売れるようになってきたら、固定制の方が出店料率を低く抑えられる場合があります。

たとえば、1日の売上が30,000円の場合に固定制の1日3,000円(出店料率10%)と歩合制の20%(出店料6,000円)を比べると、固定制の方が3,000円安くなります。しかし、1日の売上が10,000円だった場合は、固定制だと出店料率が30%になりますが、歩合制ならば20%(2,000円)に抑えられます。

出店交渉の実際

固定出店先との交渉は、条件を一方的に提示されるのではなく、双方の利益を確認しながら進めることが多いです。企業の総務担当者が求めていることは「社員の昼食の充実(福利厚生)」であり、キッチンカー側が提供できる価値(週何回来られるか・何種類のメニューを用意できるか・アレルギー対応の可否)を明確に伝えることで交渉が進みやすくなります。

交渉のポイントとして次の点が挙げられます。

1. 最初は低い出店料から始める提案もある

初回出店時は「まず試してもらう」という意味で、出店料を低く設定(または無料)にして出店実績を作る方法をとる事業者もいます。企業側がキッチンカーを知らないうちは実績がないため条件交渉しにくい面があります。「最初の1か月は○%・実績を見て翌月以降を話し合う」という提案をすることで、お互いのリスクを下げながらスタートできることがあります。

2. 競合との差別化が交渉力になる

他のキッチンカーと何が違うか(料理の種類・アレルゲン対応・価格帯・出店可能な曜日・雨天対応)を整理しておくことが交渉で役立ちます。企業担当者は「この場所に合うか」を見ています。

3. 出店料以外の条件も確認する

出店料の金額だけでなく、「電源が使えるか」「給排水が使えるか」「駐車スペースがあるか」「天候で中止の場合の扱い」「契約期間・更新の条件」も確認が必要な条件です。これらが事前に確認できていないと、開業後にコストや手間が想定外に増えることがあります。

複数の出店場所を組み合わせる戦略

収支を安定させるために、出店場所を複数確保することが一般的です。週の出店日ごとに場所を変えることで、天候・イベント中止の影響を分散できます。

出店場所の組み合わせ方の一例を示します。

出店場所の組み合わせの例
曜日 出店場所のタイプ 特徴
月〜水(3日) 企業・工場への固定出店 売上が読めるが昼の時間帯に限られる
木(1日) 別の企業・公共施設への固定出店 固定収入の上乗せ
土・日(週2日) マルシェ・イベントへのスポット出店 売上の変動はあるが固定の上乗せになる

この例では、週5日の固定出店+週末のスポット出店という構成です。固定出店の比率が高いほど月の売上が安定します。

ただし出店場所が増えると移動距離・燃料費も増えます。出店料が安くても移動コストが高い場所は、実際のコストが高くなることがあります。出店地点間の移動時間・燃料費も含めてトータルで収支を考えることが大切です。

固定出店先を長く使い続けるためのポイント

固定出店先との関係を長く続けるためには、企業担当者・施設の管理者との信頼関係が重要です。

具体的な行動として次の点が効果的と言われています。

  • 雨天時の扱い(出店を中止する場合は前日・当日の早い時間に連絡する)
  • メニューのマンネリ化を防ぐための定期的な季節メニューの追加
  • 年末年始・GWなど長期休暇前後の出店有無の早期案内
  • アレルギー・食事制限がある社員への対応(メニュー表の掲示など)

固定出店先を1か所失うと月の収入が大きく変わるため、複数の固定出店先を持ちながら、どれか1か所が終わっても対応できる余裕を持つことが経営の安定につながります。

出店料を収支計画に組み込む

出店料を自分のケースで入力して、月の収支・FG比率・損益分岐に与える影響を計算したい場合は、キッチンカー開業 収支シミュレーターが使えます。

歩合制(売上の○%)・固定制(月○円・日○円)どちらにも対応しています。無料で使えます。

収支全体の構造については、「キッチンカーの収支、開業前に知っておくべき数字の全体像。」で解説しています。


記事中の出店料の相場・目安は公的な統計に基づくものではなく、一般的な参考値です。実際の出店料は場所の管理者との契約条件によって異なります。FG比率60%の目安は業界の経験則であり、公的な基準ではありません。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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