飲食店のドリンクは原価率が低く、利益率が高い品目です。生ビール・ハイボール・ソフトドリンクは原価率10〜30%程度が目安で、料理の原価率35〜40%と比べると大幅に低くなります。ドリンクの注文率(客1人あたりのドリンク注文数)を上げることで、全体の原価率を下げながら客単価を上げる効果があります。公庫の記入例(洋風居酒屋)の客単価約2,500円には料理とドリンクの合計が含まれており、ドリンクの比率を高めることで同じ客数でも月次損益を改善できます。
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ドリンクの原価率は料理より低い
飲食店のドリンクは、料理と比べて原価率が低く設定できます。複数の業界資料をもとにした目安は以下のとおりです。
| ドリンクの種類 | 原価率の目安 | 販売価格の例(居酒屋) | 原価の目安 |
|---|---|---|---|
| 生ビール(中) | 25〜35% | 500〜600円 | 125〜210円 |
| ハイボール | 15〜25% | 500〜600円 | 75〜150円 |
| サワー系 | 15〜25% | 480〜580円 | 72〜145円 |
| ワイン(グラス) | 20〜35% | 600〜900円 | 120〜315円 |
| ソフトドリンク | 10〜20% | 300〜500円 | 30〜100円 |
| ノンアルコールビール | 30〜40% | 500〜600円 | 150〜240円 |
※上記は一般的な参考値です。仕入先・ボリューム・業態によって異なります。
ドリンクの原価率20%と料理の原価率35%を比較すると、同じ500円の売上でドリンクの限界利益は400円(80%)、料理の限界利益は325円(65%)になります。客1人あたりのドリンク金額を増やすことで、全体の原価率が下がり、月次の利益が増えます。
ドリンク比率が変わると全体の原価率がどう変わるか
月商322万円(公庫の記入例・軌道後)の内訳を、料理とドリンクの比率別に分けて原価率を試算します。
| ドリンク比率(月商内) | ドリンク売上 | 料理売上 | 全体の原価率(ドリンク原価率20%・料理原価率40%の場合) | 月次の原価額 |
|---|---|---|---|---|
| 20% | 64.4万円 | 257.6万円 | 36.0%(64.4×20%+257.6×40%)÷322 | 115.9万円 |
| 30% | 96.6万円 | 225.4万円 | 34.0% | 109.5万円 |
| 40% | 128.8万円 | 193.2万円 | 32.0% | 103.0万円 |
ドリンク比率が20%から30%に上がると、全体の原価率が36%から34%に下がり、月次の原価が約6.4万円減ります。同じ月商322万円でも月次の利益が6.4万円改善します(年間で約76.8万円の差)。
ドリンクの注文率を上げる3つの方法
ドリンクの注文率(1テーブルあたり・1人あたりのドリンク注文数)を上げるための方法を整理します。
第1は「飲み放題コース・お得なセットの設定」です。飲み放題コースを設けると、1人あたりのドリンク消費が増え、原価率は上がるものの客単価・回転率・注文管理の手間が改善するケースがあります。飲み放題の採算は「1人あたりの飲み放題単価 ÷ 平均消費数 × 原価率」で試算できます。
第2は「最初の一杯のスムーズな提供」です。着席後すぐにドリンクを注文してもらう声がけ・テーブル注文の仕組みが、1人あたりのドリンク注文数に影響します。最初の1杯の注文が遅れると、その分だけドリンクの注文機会が減ります。
第3は「次の1杯のタイミングで声がけする」ことです。ドリンクが残り少なくなったときに「次のお飲み物はいかがでしょうか」と声がけすることで、追加注文につながります。これはスタッフへの接客教育の範囲で実施できます。
ドリンクメニューの設計で原価率を下げる
ドリンクメニューの品数・構成によっても原価率が変わります。
| 施策 | 効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| オリジナルカクテル・自家製ドリンクを追加 | 原価率を20%以下に抑えながら差別化できる。競合のメニューと被らない | 調製の手間・スタッフのスキルが必要 |
| ボトルワイン・ビールのラインナップを絞る | 在庫管理が楽になり廃棄リスクが減る | 選択肢が減りすぎると顧客満足が下がる場合がある |
| ドリンク単価を50〜100円引き上げる | 同じ注文数でも客単価が上がる | 価格帯が競合と比べて高くなりすぎると注文率が下がるリスク |
ドリンク比率の目安と業態の関係
ドリンク比率は業態によって異なります。
| 業態 | 一般的なドリンク比率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 居酒屋・ダイニングバー | 30〜50% | アルコール比率が高い。ドリンクで利益を上げる構造 |
| カフェ | 50〜70% | ドリンクが主力。コーヒー等の原価率は低め |
| ランチ主体の定食・カジュアルダイニング | 5〜20% | ドリンクはドリンクバー・ソフトドリンクのみ。ドリンク比率は低い |
| バー・ラウンジ | 60〜80% | ドリンクがほぼすべての売上。高単価で原価率を抑えやすい |
居酒屋業態では、ドリンク比率を30〜40%に維持することで全体の原価率を30〜33%前後(FL改善の余地)に抑えることができます。ドリンクの注文率向上は、設備投資なしで実施できる利益改善策の中でも最も効果が出やすい施策の一つです。
原価率・FL比率の目標値の設定は飲食店の開業 収支シミュレーターで確認できます。原価率を下げる方法全体については飲食店の原価率を下げる方法で詳しく説明しています。
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本記事のドリンク原価率・ドリンク比率の目安は業界の一般的な参考値をもとにしており、実際の数値は仕入先・ポーション・業態によって異なります。本ツールは当方が作成した民間のシミュレーターであり、日本政策金融公庫が作成・提供するものではありません。むむ(fufumumu_design)作成・2026年11月確認。


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