キッチンカーの1日の売上、どう計算するか。

キッチンカーの1日の売上は、「客単価 × 1日の食数」で計算します。固定店舗と違って席数・回転数という概念がなく、出店時間内に何食作れるか・何人に売れるかが売上の上限を決めます。

この記事では、キッチンカーの1日の売上を計算するための考え方と、食数・客単価を決める要因を解説します。また、キッチンカー固有のテーマとして「固定出店先をどうやって取るか」「スポット出店の探し方」についても解説します。これらはキッチンカーの売上安定に直結する実務的な情報です。

売上の計算式

キッチンカーの1日の売上の基本計算式は次のとおりです。

  • 1日の売上=客単価 × 1日の食数
  • 月の売上=1日の売上 × 月の出店日数

たとえば、客単価900円・1日50食・月20日出店の場合、月の売上は次のように計算できます。

  • 1日の売上=900円 × 50食=45,000円
  • 月の売上=45,000円 × 20日=900,000円

固定店舗の飲食店では「席数×回転数×客単価×営業時間」で計算しますが、キッチンカーには席がないため「食数」が回転の代わりになります。

食数の上限は「調理能力」で決まる

キッチンカーで1日に売れる食数には物理的な上限があります。それを決める主な要素は次のとおりです。

調理能力(1時間に作れる食数)

キッチンカーの厨房設備は限られています。コンロが1口のみ・シンクが1槽のみ、という設備では、1度に仕込める量が制限されます。1時間に提供できる食数は、メニューの複雑さ・調理工程・仕込みの状態によって変わります。シンプルなメニュー(クレープ・たこ焼き・焼きそばなど)は回転が速い傾向があります。

たとえば昼の2時間を出店時間とし、1時間に20食提供できる能力なら、最大食数は40食です。

仕込み量(事前に準備した量)

当日の仕込み量が少ない場合、売れる食数はそれ以上になりません。スポット出店では集客数が読みにくいため、仕込みすぎると食材ロスが増え、少なすぎると機会損失になります。

出店場所に慣れてくると仕込み量の精度が上がります。開業当初は「多めに仕込んでロスが出ても、少なすぎて途中売り切れにならない」ようにする判断も一つの考え方です。

出店時間の長さ

1日の出店時間が2時間か6時間かでは、同じ調理能力でも食数の上限が変わります。企業の昼食タイムに特化した出店(ランチ1時間半)と、マルシェに終日出店(5〜6時間)では、計算の前提が変わります。

客単価の目安

客単価は業態・商品構成によって変わります。次の表は一般的な参考値です(業界の経験則であり、公的な統計に基づくものではありません)。

キッチンカーの業態別の客単価の目安(参考)
業態 客単価の目安
クレープ・スイーツ系 400〜900円程度
焼きそば・たこ焼き・B級グルメ 500〜800円程度
丼もの・カレー・ランチ系 700〜1,200円程度
ハンバーガー・サンドイッチ 700〜1,300円程度
ステーキ・肉料理 900〜2,000円程度
エスニック・本格料理 700〜1,500円程度

ドリンクのセット販売(+200〜300円)やトッピング追加で客単価を上げる工夫もあります。

固定出店とスポット出店の食数の違い

同じメニュー・同じ調理能力でも、出店の形態によって食数の期待値は変わります。

固定出店とスポット出店の特徴の比較
項目 固定出店 スポット出店
例 企業・工場の昼食、商業施設への定期出店 マルシェ・フェス・イベント、道の駅など
食数の予測しやすさ 出店を重ねるほど予測できるようになる 天候・集客次第でばらつきが大きい
仕込み量の精度 場所に慣れると精度が上がる 慣れても読みにくい
リピーターの形成 形成しやすい(同じ顔ぶれが来る) 形成しにくい(顧客が毎回変わる)
天候の影響 屋内の場合は影響を受けにくい 雨天・悪天候で来客が激減する可能性がある
売上の安定性 安定しやすい 不安定になりやすい

固定出店が月の売上の中心になると、収支の見通しが立てやすくなります。スポット出店は上乗せ収入として活用するのが、売上を安定させる考え方の一つです。

固定出店先を取るための方法

キッチンカーで安定した収入を得るために最も重要なことの一つが、固定出店先の確保です。企業の社員食堂代わりのランチ需要や、工場・オフィスビルへの定期出店は、食数が読めるうえにリピーターが付きやすいのが特徴です。

企業・工場への直接営業

企業の総務部・施設管理部・庶務担当に「社員の昼食需要に対応できるキッチンカー」として直接提案する方法です。福利厚生の一環として位置づけると提案しやすくなります。特に社内食堂がない・近隣に飲食店が少ない企業・工場では受け入れられやすい場合があります。

企業への営業で重要なのは「週に何回来られるか」「雨の日はどうするか」「メニューの種類をどう揃えるか」を具体的に説明できることです。企業担当者が気にするのは社員の利便性であり、そこへの答えが準備できているかが鍵になります。

キッチンカーマッチングサービスを使う

企業とキッチンカー事業者をつなぐマッチングサービスが複数存在します。代表的なものとして「キッチンカー.jp」「モビマル」「ツクツク!!キッチンカー」などがあります。登録すると企業側から出店依頼が来る仕組みになっており、固定出店先を自力で探す手間を省けます。利用手数料・登録条件はサービスごとに異なるため、契約前に各サービスの条件を確認することが必要です。

公共施設・学校への出店交渉

公園・公共広場・行政施設の敷地内への出店は、自治体や施設の管理者への申請が必要ですが、固定出店先として機能する場合があります。地元のイベントや施設での定期出店の許可を取れると、安定的な出店場所の一つになります。

スポット出店先の探し方

マルシェ・フェス・イベントへのスポット出店を探す方法としては、次のような手段があります。

マルシェ情報サイト・SNS

地域のマルシェ・クラフトフェアを主催する団体が出店者を募集しています。「マルシェ 出店者 募集 [地域名]」でSNS(Instagram・X)や地域情報サイトを検索すると、出店者募集の情報が見つかることがあります。

道の駅・観光施設

道の駅や観光施設の運営者に直接問い合わせる方法です。観光シーズンの繁忙期に出店者を募集している施設もあります。施設ごとに出店条件・許可手続きが異なるため、事前確認が必要です。

キッチンカー事業者のコミュニティ・協会

地域のキッチンカー事業者が集まるコミュニティや、一般社団法人日本キッチンカー協会(一般社団法人:任意参加)のような団体に参加すると、出店情報・仲間からの紹介が得られる場合があります。

出店日数と天候のリスク

月の出店日数は計画どおりにならないことがあります。天候・出店先のイベント中止・車両トラブルなどが原因として挙げられます。

月20日出店を計画していて雨天で5日出店できなかった場合、実際の出店日数は15日になり、月の売上は25%減少します。固定費(駐車場代・車両保険・通信費・借入返済)は出店日数に関係なくかかるため、収支への影響は掛け算で大きくなります。

天候に左右されるスポット出店の比率が高い時期は、月の売上が計画の70〜80%にとどまるリスクを前提に資金計画を立てることが重要です。固定出店を増やすことが天候リスクを下げる最も直接的な方法です。

売上を自分のケースで計算する

客単価・1日の食数・月の出店日数などを入力して月の売上・収支・損益分岐を計算したい場合は、キッチンカー開業 収支シミュレーターが使えます。楽観的な前提と保守的な前提を両方試算することで、開業後のリスクを事前に確認できます。無料で使えます。

収支の全体像については、「キッチンカーの収支、開業前に知っておくべき数字の全体像。」で解説しています。


記事中の客単価・食数の目安は公的な統計に基づくものではなく、一般的な参考値です。実際の売上は出店場所・商品・営業力・天候によって大きく異なります。マッチングサービスの条件・費用は各サービスにご確認ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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