硝酸の性質と消火方法。腐食性・金属への反応・乙6試験ポイントを整理する。

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硝酸(化学式:HNO₃)は第6類危険物(酸化性液体)の一種で、危険等級IIに分類されます。消防法別表第一に定める指定数量は300Lです。乙6の性質消火(性消)では、硝酸が金属と反応する挙動・二酸化窒素ガスの発生・消火方法・発煙硝酸の特性が頻出テーマです。強酸でありながら鉄には不動態膜を形成して溶けにくい点も問われます。

硝酸の基本情報

項目 内容
化学式 HNO₃
危険等級 II
指定数量 300L
外観 無色〜淡黄色の液体(高濃度は黄褐色)
臭い 刺激臭
比重 1.51(68%水溶液・市販品)
融点 -42°C
沸点 86°C(68%水溶液・共沸点)
消火方法 大量の水

硝酸の化学的性質

強酸としての性質

硝酸は塩酸・硫酸とともに代表的な強酸の一つです。希硝酸・濃硝酸・発煙硝酸(高濃度)の区別があり、濃度によって反応性が異なります。希硝酸(薄い硝酸)は多くの金属と反応して溶解させます。濃硝酸では「不動態」を形成する金属があります。

金属との反応

硝酸の金属との反応は試験での重要テーマです。

金属 硝酸との反応
銅(Cu) 溶解する(希硝酸:一酸化窒素ガス発生、濃硝酸:二酸化窒素ガス発生)
銀(Ag) 溶解する
鉄(Fe) 希硝酸には溶ける。濃硝酸では不動態膜を形成して溶けにくい
アルミニウム(Al) 濃硝酸では不動態膜を形成して溶けにくい
金(Au) 溶けない(王水のみに溶ける)
白金(Pt) 溶けない(王水のみに溶ける)

「硝酸は金・白金を溶かす」は誤りです。金と白金は硝酸では溶けず、王水(濃塩酸と濃硝酸の混合物)にのみ溶けます。

二酸化窒素(NO₂)の発生

高濃度の硝酸(発煙硝酸・濃硝酸)は褐色〜赤褐色の二酸化窒素ガス(NO₂)を発生します。このガスは有毒で、吸入すると肺を傷つけます。高濃度の硝酸が入った容器を開けると褐色の煙が出ることがあります。

発煙硝酸(高濃度硝酸)

86%以上の高濃度硝酸は「発煙硝酸」と呼ばれ、空気中で白煙(二酸化窒素と水蒸気の混合)を発生します。反応性が特に高く、有機物・可燃物と接触すると発火する危険があります。

腐食性

硝酸は皮膚・目・金属・多くの材質に対して強い腐食性を持ちます。皮膚に付着するとキサントプロテイン反応(黄色く変色)が起きます。蒸気も有毒です。

硝酸の消火方法

硝酸の消火には大量の水を使用します。フッ素を含まない第6類(過塩素酸・過酸化水素・硝酸)は水系消火が可能です。ただし、少量の水を加えると激しく発熱することがあるため、大量の水で希釈しながら消火します。

消火作業時は防護具(防護服・ゴーグル・防毒マスク)を着用します。二酸化窒素ガスを吸入する危険があるため、風上から消火します。

硝酸の保管方法

  • 密封容器(ガラス製またはポリエチレン製)で保管
  • 直射日光・熱源・火気から遠ざける(光で分解してNO₂が発生)
  • 可燃物・有機物と一緒に保管しない(接触で発火の危険)
  • 金属製容器は腐食されるため使用しない(ステンレスは一般的に使用可能だが保管物の種類と濃度による)

試験で問われるポイント

金属との反応(よく出る)

「硝酸は金・白金を溶かす」は誤りです。正しくは「硝酸は銅・銀は溶かすが金・白金は溶かさない」です。鉄・アルミニウムは濃硝酸で不動態膜を形成します。

危険等級がIIである点

硝酸は危険等級IIです(危険等級Iは過塩素酸・三フッ化臭素・五フッ化臭素・五フッ化ヨウ素)。「硝酸は危険等級I」は誤りです。

大量の水で消火できる点

「硝酸は水厳禁」は誤りです。硝酸はフッ素を含まないため大量の水で消火します。

褐色ガスの発生

高濃度の硝酸(発煙硝酸)は褐色〜赤褐色の二酸化窒素ガス(NO₂)を発生します。「硝酸から発生するガスは無色無臭」は誤りです。

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出典:消防法別表第一(危険物の品名・指定数量)、危険物の規制に関する政令、消防試験研究センター「危険物取扱者試験 試験科目及び問題数」。作成日:2026年11月。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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