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一級ボイラー技士の試験と実務で重要な課題が、煤煙(ばいえん)の発生と低温腐食です。燃料の不完全燃焼・硫黄分の燃焼生成物が原因で起こるこれらの問題を体系的に理解しましょう。
煤煙(すす・黒煙)の発生原因
煤煙は燃料中の炭素が完全に燃焼せず、固体の炭素粒子として排出される現象です。
発生原因
- 空気不足:空気比が低すぎると(m<1.1程度)未燃炭素が増加する
- 混合不良:燃料と空気の混合が不均一で局所的に空気が不足する
- 燃料の霧化不良:重油の粒子が大きすぎると燃焼時間内に燃焼しきれない
- 炉温不足:起動時・低負荷時に炉温が低いと燃焼が不安定になる
- 過大な燃焼量:炉の燃焼室容積に対して燃料供給量が多すぎる
煤煙の影響
- 煙突からの黒煙排出(大気汚染防止法の規制対象)
- 伝熱面へのすすの付着(熱伝導率の著しい低下)
- ボイラー効率の低下
- すす火災(積もったすすが着火する危険)
すすが熱効率に与える影響
すす(熱伝導率:0.06〜0.12 W/m·K)は鋼鉄(熱伝導率:50 W/m·K以上)と比べて熱伝導性が極めて低いため、わずかな厚さでも大きな断熱効果を生じます。すすが1mm付着すると熱効率が数%低下するとされています。
低温腐食のメカニズム
低温腐食(低温端腐食)は、排ガス中の硫黄酸化物が水蒸気と結合して硫酸が生成・凝縮し、金属を腐食する現象です。
発生メカニズム(化学反応)
- 燃料中の硫黄(S)が燃焼:S + O₂ → SO₂(二酸化硫黄)
- SO₂の一部がさらに酸化:2SO₂ + O₂ → 2SO₃(三酸化硫黄)
- SO₃と水蒸気が反応:SO₃ + H₂O → H₂SO₄(硫酸)
- 排ガス温度が硫酸露点以下になると金属面に凝縮→腐食発生
硫酸露点
硫酸蒸気が凝縮し始める温度を硫酸露点(または酸露点)といいます。排ガス中のSO₃濃度・水蒸気分圧によって変わりますが、通常の重油燃焼では120〜150℃程度です(硫黄分が多い燃料ほど露点が高くなる)。
低温腐食が発生しやすい場所
- 節炭器(エコノマイザー):排ガス最下流に位置し、温度が最も低い
- 空気予熱器:節炭器よりさらに排ガス温度が低い
- 煙道・煙突内壁:特に操業停止後の結露で顕著
低温腐食の防止対策
排ガス温度の管理
排ガス温度を硫酸露点より高く維持することが基本です。一般的に節炭器出口の排ガス温度を150〜170℃以上に保ちます。ただし排ガス温度が高すぎると排ガス熱損失が増えるため、適切なバランスが必要です。
低硫黄燃料の使用
硫黄分の少ない燃料(A重油・低硫黄重油)を使用するとSO₃生成量が減り、露点が下がります。
腐食耐性材料の使用
低温腐食が避けられない部位(空気予熱器等)にはステンレス・ガラス管・セラミックコーティング材を使用することがあります。
給水予熱(節炭器入口温度の管理)
節炭器で冷水を受け入れると管壁温度が硫酸露点以下になります。給水温度を適切に保つ(脱気器で加熱する等)ことで低温腐食リスクを下げます。
煤煙と低温腐食の試験ポイント
- 煤煙の主な原因:空気不足・混合不良・霧化不良
- 低温腐食の原因:SO₃ + H₂O → H₂SO₄(硫酸)の凝縮
- 硫酸露点:120〜150℃(重油)
- 腐食しやすい場所:節炭器・空気予熱器(排ガス下流部)
- 防止策:排ガス温度を露点以上に維持・低硫黄燃料
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則・JIS・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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