鉄粉(Fe)は第2類危険物(可燃性固体)に分類されます(指定数量500kg・危険等級III)。禁水性物質であり、水・酸との接触で水素ガスを発生します。法令上「鉄の粉であって、目開き53μmの網ふるいを通過するものが50%以上のもの」が対象で、粗粒の鉄粉は除外されます。消火には乾燥砂・膨張ひる石を使い、水・泡・CO₂・ハロゲン化物は使用禁止です。
鉄粉の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 第2類危険物(可燃性固体) |
| 指定数量 | 500kg |
| 危険等級 | III |
| 外観 | 灰黒色〜黒色の粉末・金属光沢 |
| 融点 | 1,538℃(鉄の融点) |
| 比重 | 約7.87(水より非常に重い) |
| 禁水性 | あり(水・酸とH₂発生) |
| 消火方法 | 乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩 |
出典:消防法施行令別表第一(第二類)。
鉄粉の法令上の定義と除外規定
消防法上「鉄粉」として規制されるのは、特定の粒径以下の粉末のみです。粗粒の鉄(鉄屑等)は危険物に該当しません。
- 鉄粉の定義:「鉄の粉であって、目開き53μm(マイクロメートル)の網ふるいを通過するものが50%以上のもの」(消防法施行規則第1条の3)。
- 除外:53μmの網ふるいを通過するものが50%未満の鉄粉は、第2類危険物から除外される。
- 金属粉との違い:金属粉の除外基準は150μm(鉄粉の約3倍の粒径)。鉄粉のほうが小さい粒径まで規制される。
試験では「鉄粉の篩目は何μmか」という問いで53μmが正解として出題されます。金属粉(150μm)との混同が最も多い出題パターンです。
鉄粉と水の反応
鉄粉は水・酸と反応して水素ガス(H₂)を発生します。H₂は可燃性・爆発性があるため、鉄粉火災への注水は厳禁です。
- 水との反応(高温):3Fe + 4H₂O → Fe₃O₄ + 4H₂↑(四酸化三鉄と水素)
- 常温での酸との反応:Fe + 2HCl → FeCl₂ + H₂↑(例:塩酸との反応)
- 水との常温反応は遅いが、粉末状で粒径が細かいほど反応速度が上がり危険性が増す。
高温(燃焼中)の鉄粉に水をかけると急激に水素ガスが発生し、水蒸気爆発のような激しい爆発が起こる危険があります。
鉄粉の消火方法
| 消火剤 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 乾燥砂・膨張ひる石 | 可 | 窒息効果・水分なし |
| 水 | 禁止 | H₂ガス発生→爆発危険 |
| 泡消火剤 | 禁止 | 水分含む |
| CO₂ | 禁止 | 高温の鉄がCO₂と反応する危険 |
| ハロゲン化物 | 禁止 | 金属とハロゲンが激しく反応 |
鉄粉の発火と粉じん爆発
鉄粉は粒径が小さいほど表面積が大きく、空気との接触で酸化熱が蓄積して自然発熱する危険があります。また、空気中に分散すると粉じん爆発の可能性があります。
- 粉じん爆発の爆発下限界:約120g/m³(アルミニウム粉より高いが十分危険な濃度)。
- 自然発熱:湿った状態で保管すると酸化熱が蓄積して発火することがある。
- 対策:乾燥した密閉容器での保管・水・湿気との接触を避ける。
鉄粉の保管方法
- 密閉容器で乾燥した状態を維持する(湿気・水分との接触防止)。
- 高温・火気から遠ざける。
- 酸・アルカリ・酸化性物質との接触を避ける。
- 第1類(酸化性固体:過塩素酸塩・硝酸塩等)との混在貯蔵・混載は禁止。
鉄粉の産業用途
| 分野 | 用途 |
|---|---|
| 粉末冶金 | 鉄粉を圧縮・焼結して歯車・軸受等の部品を製造 |
| 磁性材料 | 磁気記録媒体・電磁シールド材料 |
| 溶接材料 | 溶接棒の被覆材の一部 |
| 食品・医療 | 使い捨てカイロの発熱剤(鉄粉+塩水+活性炭) |
| 土壌改良 | 重金属汚染土壌の還元処理 |
禁水性第2類の比較(鉄粉・金属粉・マグネシウム)
| 物質 | 除外基準(篩目) | 指定数量 | 水との反応 |
|---|---|---|---|
| 鉄粉 | 53μm・50%以上通過が対象 | 500kg | H₂発生 |
| 金属粉(アルミ等) | 150μm・50%以上通過が対象 | 500kg | H₂発生 |
| マグネシウム | 2mm通過しないものは除外 | 500kg | H₂発生 |
乙2試験での鉄粉の出題パターン
| 問われる内容 | 答え |
|---|---|
| 鉄粉の篩目(除外基準) | 53μmの網ふるいを通過するものが50%以上 |
| 金属粉の篩目との違い | 鉄粉=53μm・金属粉=150μm |
| 鉄粉の消火方法 | 乾燥砂(水・CO₂・ハロゲン禁止) |
| 鉄粉と水が反応したとき(高温) | Fe₃O₄とH₂(水素ガス)が発生 |
| 鉄粉の指定数量 | 500kg(危険等級III) |
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