居宅介護支援事業所(ケアマネ事務所)のケアマネジャーには、特定の事業者に偏らず利用者の立場に立ったケアプランを作成する「公正中立」の義務があります。省令第13条に基づき、同一法人のサービスをケアプランに過剰に位置付けることは禁じられており、特定事業者の集中割合が高い場合の届出義務もあります。この記事では公正中立の確保に関するルールと実務上の注意点を整理します。
公正中立の原則:省令第13条の定め
省令第13条第1号では、指定居宅介護支援の提供に際して、「利用者の意向・心身の状況・置かれた環境を踏まえ、利用者の選択を尊重する」こと、「特定の居宅サービス事業者への不当な囲い込みを行わない」ことが明示されています。
「不当な囲い込み」とは、利用者が希望していないにもかかわらず、ケアマネジャーが経営上の理由(同一法人であることや紹介料等)から特定の事業所のサービスをケアプランに位置付けることです。
特定事業者集中割合の届出義務(令和3年改定〜)
令和3年4月改定から、特定のサービス種別においてケアプランに位置付けた同一法人の事業者の割合が一定基準を超えた場合に、市区町村への届出と利用者への説明が義務化されました。
| 対象サービス | 届出が必要な基準 | 確認期間 |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 前6か月間に作成した居宅サービス計画のうち、同一法人の訪問介護事業者への割合が80%超 | 毎年3月・9月の前6か月 |
| 通所介護 | 同上・80%超 | 同上 |
| 福祉用具貸与 | 同上・80%超 | 同上 |
80%超になった場合は、市区町村への報告と「正当な理由がない場合」の利用者への説明が必要です。「正当な理由」とは、当該地域に他に選択できる事業者がない場合・利用者が特に希望している場合等です。
集中割合の計算方法
集中割合は、直近6か月間(4月〜9月または10月〜3月)に作成した居宅サービス計画の全件数のうち、同一法人(ケアマネ事務所が属する法人)の訪問介護・通所介護・福祉用具貸与事業所を位置付けた件数の割合で計算します。
同一法人の居宅介護支援事業所と同一法人のデイサービスを持つ「複合型法人」では、特に注意が必要です。
独立型ケアマネ事務所と法人内ケアマネ事務所の違い
居宅介護支援事業所を開業する際、単独で法人を設立して独立した事務所を運営する「独立型」と、訪問介護・通所介護等の法人が同一法人内で居宅介護支援事業所も設置する「複合型」があります。
| 類型 | 公正中立上のリスク | 対策 |
|---|---|---|
| 独立型(居宅介護支援のみ) | 低い。他法人のサービスを利用者のニーズに応じて選べる | 特になし。集中割合の管理は通常通り実施する |
| 複合型(他の介護サービスと同一法人) | 高い。同法人のサービスを意図せず選びやすくなる環境がある | 集中割合を定期的に確認・管理者が客観的な視点でケアプランを審査する体制を設ける |
公正中立を確保するための実務的な取り組み
- 利用者への選択肢の提示:ケアプラン作成時に複数の事業者を利用者に紹介する(省令第13条第4号に定める複数の事業者の紹介義務)
- 本人・家族の意向の記録:なぜこの事業者を選んだかを、本人の希望として記録に残す
- 集中割合の定期モニタリング:管理者が半年に1回、集中割合を確認し、80%に近い場合は早めに対策を講じる
- 内部での討議:特定事業者への集中が生じた場合、管理者がケアマネジャーと理由を話し合い、利用者の意向に基づくものかどうかを確認する
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参考・出典
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(平成11年老企第22号通知)
この記事は2026年11月時点の法令に基づいています。詳細は事業所所在地の市区町村に確認してください。
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